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2004年5月

2004/05/29

すいか@日テレ

まるで奇跡のようにどっぷりと心に染み入ってしまうような物語というものに、生涯どれだけ出会えるのか分かりませんが、私にとって大切な思い出となったものが、昨年の夏に日本テレビで土曜日9時に全10回で放送されたドラマ『すいか』です。視聴率的には失敗という結果に終わったこのドラマですが、出演者のともさかりえが日記にしたためたように「大切な宝物」になってしまった人も多いと聞きます。閑散としていた2ちゃんねるの実況板でもそれを実感しておりました。最近、私と同じくこのドラマが好きで録画ビデオを持っている方にやっと巡り会い、借りることができて久々に見直しました。第1回は見逃していたのでまさに夢のよう。既にレンタル・ビデオもDVDも発売されておりますが、近所の寂れたレンタル・ビデオ屋には置いておらず、DVDも4枚組で1万8千円以上してちょっと手が出ず、歯がゆい思いをしていたのでした。
未見だった第1回のオープニングに双子の少女が登場したところで全てを察し、「絆のお姉さんがまだ生きている!」と目頭が熱くなってしまいました。まあ見ていた人には分かってもらえるかなあ。
ゆったりとした時間の流れで毎回少しづつ心を豊かにしていく主人公早川基子(小林聡美)に自分を当てはめた人も多かったのではないでしょうか。日常、日常、日常の積み重ねも、幸せなど心の持ち方でいつでも見つけられるのだと。
主要人物に加えて、ほんのちょい役の人たちにまで不思議な魅力と愛おしさを感じてしまう脚本と演出の力には、もう言葉もありません。ドラマのサウンドトラックとしては希に見る傑作と感じた音楽も重要なファクターとして物語を演出していました(CCCDでしか発売されていないのが残念)。唯一、非現実的な存在として全編を貫く3億円横領逃亡犯、馬場万里子(小泉今日子)の存在が、感情的にはとても大きなものとなってフィクションの素晴らしさを醸し出しています。逃亡の果てに警察に追い詰められた小泉今日子が、全力疾走しながら「苦しいよ!早川!苦しいよ!」と唯一の親友を頼り泣き叫ぶ姿ほど人生にもがき苦しむ演技は見たことがないと言ってもいい程です。
舞台となった下宿、ハピネス三茶のあの夏の風景は、昼下がりの扇風機と風鈴と猫の鳴き声と共に、永遠のオアシスとして、多くの視聴者の心の記憶に刻まれたのではないでしょうか。
『やっぱり猫が好き』でも有名な脚本の木皿泉(男女2人のユニット)はこの作品で、放送終了後7ヵ月目の今年4月に第22回 向田邦子賞を受賞しました。

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ドーン・オブ・ザ・デッド

先週、ジョージ・A・ロメロ監督の映画史に残る傑作『ゾンビ』(1979年公開、原題は同じくDAWN OF THE DEAD)のリメイク、『ドーン・オブ・ザ・デッド』を見てきました。オリジナル・ゾンビは人生のベスト10に入る大好きな映画で、1980年にテレビで最初に放送された『なぜか音楽だけサスペリアに差し替えられたヴァージョン』で初めて見る以前にも、オリジナル・ストーリーで夢にまで見るほどハマっていました。その後1985年の米国発売ホームビデオ版を友達の家で死ぬ程見まくり、1995年発売のディレクターズ・カット版とダリオ・アルジェント監修版を合わせた2万6百円もする4枚組レーザー・ディスクセットを買ったりもしました。
今回のリメイクはロメロはタッチしておらず、前評判ではオリジナル崇拝者は「見る前はブーイングで、見たら納得」という話だったんすが、まさにそう感じ。テンポが良くて全然別の映画になっています。オリジナルの、見ているほうまでウィルスに侵されてしまったような病的で退廃的なだるいトーンが薄れて(そこがとても好きだったんですが)、ポンポンと話が進んで行くけど、チープにならない。残虐シーンもほとんど無しだけど、脚本と演出がいいのか怖さもダウンしない。走るゾンビも違和感なかったです(やっぱりスローなゾンビが好きだけど)。終盤、改造車で窮地を突破するところがまるで『マッドマックス2』のクライマックスみたいになるけど(もしくはタンジェリン・ドリームが音楽やったフリードキン監督版『恐怖の報酬』)それもまた良し。ここでやっとスプラッターらしく電気ノコギリ大虐殺が展開して溜飲を下げた感じ。嬉しかったのはオリジナル版のSWATのふたりと、トム・ザビーニが特別出演してたこと。
これ見た若い人がレンタルで『ゾンビ』見て残虐シーンにビビってしまうんだろうなあ。

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2004/05/21

エイリアン・アルティメット・コレクションDVD

20世紀フォックスのSFスペクタクル映画『エイリアン』シリーズの1~4作目を特典映像満載で9枚組DVDボックスにまとめた『エイリアン・アルティメット・コレクション』を購入。リドリー・スコットの出世作である79年の1作目から全作をリアル・タイムで映画館で見ている。87年に池袋パルコで行われたギーガー展でのエイリアンのデザイナーであるスイスのエアブラシ・アーティスト、H・R・ギーガーの講演会にも行くことができたし、終了後画集にサインを貰って、握手もしてもらったほどの筋金入りファンである。しかし本当に傑作だと思うのは1作目のみで、それ以降は所謂娯楽大作と割り切って見ていた。

ジェームズ・キャメロン監督の2作目は戦争スペクタクル映画で、アドレナリンが上がるカタルシス溢れる内容だが、今見ると内容は今イラクで米軍がやっていることとまるで同じである。自分の国でもない異国に押しかけて植民地化し、文化の違う先住民(厳密にはエイリアンも他の惑星からの移住者であるが)を皆殺しにした挙句、核攻撃で絶滅させようとする。ブッシュも本音はイラクを核兵器で始末してしまいたいところではないだろうか。理解できないもの=絶滅させるというべきという図式はこのシリーズ全体に貫かれたテーマでもある。

「デリカテッセン」で注目され「アメリ」で人気が爆発したフランスのジャン・ピエール・ジュネが2作の間に監督した「エイリアン4」も、前作でエイリアンと心中したリプリーの復活という最悪のシナリオを独特のユーモアも交えてある水準まで昇華していて、無理があるものの楽しい1作である。メイキングではシガニー・ウィーバーがバスケット・ボールをロングのバック・シュートで入れるシーンを本番一発でキメてしまい、現場が歓喜に沸きまくるシーンが印象的だった。

若干27歳だったデヴィッド・フィンチャーのデビュー作である3作目はファンの間でも一番問題作で評価も低い内容だったが、今回本編ではカットされたシーンを大量に復活させた145分の完全版で蘇った。特に牛から産まれるエイリアンという当初の設定は圧巻。しかしこの完全版にはフィンチャーは一切タッチしておらず、他の3作ではそれぞれの監督がコメンタリーやインタビューに参加していたが、それにも一切応じていない。フィンチャーにとっては二度と思い出したくない悪夢のような体験であったことは長時間のメイキング映像を見て理解できた。上層部の混乱と無理解から脚本家が8人も変わった挙句、まともに脚本も完成していない状態での撮影スタートで、次々に予定や設定が変更され、現場にまでやってきたプロデューサーに口を出され、混乱に混乱を重ねて、延期につぐ延期の挙句、どうにか完成した作品をズタズタに編集されてしまったのだ。
今回の完全版を見るとフィンチャーが本当に描きたかった囚人惑星の殺伐とした描写や宗教にのめりこむ囚人の苦悩。容赦なく死んでいく重要人物への無慈悲さに大きく深みが加わったようである。前作の続編ではなく1本の映画としてみると全く印象が変わって、傑作といってもいい程である。
ハリウッドの最悪の環境を象徴している映画の見本であるが、そのシステムを勉強するには、ボーナス特典のメイキング映像はもってこいの内容である。
惜しむべきは最初予定されていたウィリアム・ギブスンの脚本での映画化が実現していればなと。当時のインタビューで彼のアイデアが採用された部分は囚人達の後頭部に施されたバーコードの刺青だけだったとのこと。

あと苦言を呈するなら米国盤に収録されていた2作目と3作目の劇場公開ヴァージョンが収録されていないこと(その変わりに2、3作目は米国盤にはないDTS音声で収録されている)。2作目の劇場公開版は1度も日本でDVD化されていないとのこと。
あと、シガニーとか露骨に嫌がっているだろう製作中の「エイリアンVSプレデター」という映画。今まで築き上げていたサーガをなし崩しにしてしまうような幼稚な企画。誰か止める人はいなかったのであろうか。ハリウッドはそこまで腐り、落ちぶれているのだろうか。

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KEVIN AYERS大阪公演

5月15日、88年、92年、02年に続く4回目のケヴィン・エアーズ大阪公演。場所は最近よく行く新今宮のBRIDGE。伝説の初来日も92年のデュオでのアコースティック・ライブも最高の内容で、2年前のリラックスしたライブも大変楽しませてもらったので、今回も非常に楽しみにしていた。遠方から駆けつけたファンも大勢いたようだった。

前座があり、21時ごろから開始するも、3曲ほど演奏して曲の途中でギター下ろして引っ込んでしまう。あきらかに様子がおかしく、やる気のなさが伺える。まともに歌おうともしていなかった。バック・バンドもスタッフも慌てて楽屋に行くが、10分ほど休憩して再スタート、しかしまた数曲で引っ込んでしまい、さらに休憩。ようやく出てくるも、また数曲でバック・バンドをおいてきぼりにして楽屋に戻ってしまった。
結局スタッフやバンドに説得されたのかもう1曲演奏をはじめるが、私の仕事の時間になってしまい会場を出た。最後までいた友達によるとその1曲が最後だったとのこと。

23年におよぶライブ鑑賞歴で間違いなく最悪のライブだった。ライブの形態すらなしていなかった。どういう事情かは知らないが、メジャーなプロモーターなら返金ものの内容。酔っ払っていたという噂もあり、体調が不良との噂も、精神的に不安定だったというメンバーのコメントも会場であった。どちらにせよ、そういう事情なら中止にすべきだった。それによる損害が怖かったのかもしれないが、招聘元にそういうリスクはつきものだと思う。スタッフもマネージメントもこうならないように一番気をつかうべきなのに、何をしていたのだといいたい。
ケヴィンはどうやら現状では音楽で生計を立てていないらしいし、気ままに音楽生活を楽しんでいて今回の来日もその延長で楽しみたかったのかもしれない。それなら大金をとってライブをやる必要などない。最後の来日かもしれないのに、これではあまりに残念だ。

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2004/05/07

黒田亜樹『タルカス&展覧会の絵』

5月5日、ピアニストの黒田亜樹さんの3枚目のアルバム『タルカス&展覧会の絵』の発売記念インストア・イベントを心斎橋のヤマハに見に行った。アストル・ピアソラやヒナステラなどの演奏で高い評価を持つ黒田さんが満を持して青春のルーツのELPに取組んだ力作である新譜は昨年イタリアのマウロ・パガーニのスタジオ(たまたまそうだったらしいけど)の骨董品ピアノ(こんなんじゃ嫌だと最初は泣いたらしい)で録音されたもので、キース・エマーソンの絶賛に近い長い推薦文が寄せられている。「タルカス」は弦楽器も入った現代音楽風のアヴァンギャルドなアレンジが新鮮。「展覧会の絵」はELPファンも納得の王道的な出来栄えで、生で聴けるのも楽しみにしていた。今までにライブを1回見て、イベントは3回目。

教え子と思われる小学校低学年前後の女の子達とそのお母さん達が大勢を占める前で、「プロムナード」~「タルカス:噴火」をもの凄い迫力で演奏。「タルカス」はスタジオ盤よりストレートでダイナミックな感じ。幼女達はポカンとしてたけど、どうだったんでしょうねえ。その後「バーバヤガー~キエフの大門」も大迫力で演奏。向かいの靴屋が大音量で流しているヒップホップに完全に打ち勝ってました。最後は十八番のピアソラの「リベルタンゴ」も。

最前列を陣取って一生懸命見ていた少女達を見て、「この子達も皆ニューアルバムを聴き込んでELPのファンになるのかなあ。小学校上がったばっかりの少女達が『やっぱりELPは恐怖の頭脳改革までだよね~』とか語り合うのかなあ。」と考えると楽しみになってきた。
最近ハリウッド映画の新作で、バンドを首になったロック・ミュージシャンが小学校に教師を装って潜入し、ロック・バンドの醍醐味を教えるスクール・オブ・ロック』という映画を観たけど、このイベントある意味、スクール・オブ・ロックですね。

7月には東京と関西でのライブも予定されており、それではキースの『ピアノ協奏曲第1番』も演奏予定とのことで、これも楽しみです。

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2004/05/03

KISSの77年武道館公演放送

NHKアーカイブで昨夜1977年に放送されたキッスの武道館公演をアンコール放送してた。当時のヤング・ミュージック・ショーという外タレ・ミュージシャンのライブを放送する貴重なプログラムからだが、当時は放送用2インチテープがとても高価だったため、放送が終了したら上から別のものを録画して使いまわしていたそうで、もうほとんどが消滅している模様。とりかえしのつかない財産の消失だ。クイーンもジェネシスもチープトリックもデヴィッド・ボウイも、もうマスターはないとは・・・。
でもキッスは当時の関係者が別のテープにコピーを残しており、これをデジタル・リマスタリングして放送の運びとなった模様。

1977年当時、中学生で5月7日(土)の午後に放送された時は剣道部の部活中。体育館の半分をバドミントン部が使い、残りの半分を卓球部と剣道部がチマチマと使っていたのだが、急に卓球部が姿を消したと思ったら、なんと視聴覚室でこのキッスを見ていたというオチ。当時、卓球部の連中はキッス派が多数を占め、全くその良さがわからなかった私を含む剣道部はオリビア・ニュートンジョン派だったりした。懐かしい思い出である。
ということで、この放送実は見るのが初めてだったりするが、BSで数年前に放送した再結成後の2000年のニュージャージーのツアーと全くといっていいほど同じでびっくり。まあそういうエンタティーメントに徹したバンドだからそれでいいんだけど。メイクしてると老後も歳ごまかせていいな~とひしひし感じた。

番組の最後に放送された昨年3月のメルボルンでのオーケストラとの共演コンサートを見て、おもわずamazonでDVDを注文してしまった。私と同じ思いの人が多いのか、売り上げチャートの14位になっていた。

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