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2005/06/21

ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーター イタリア公演

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約29年ぶりに全盛期のメンバー4人で正式に再結成した英国のバンド、VAN DER GRAAF GENERATORのイタリア・ツアーを6月11日ミラノ、13日ローマで見た。イタリア公演はリユニオン後最初のコンサートを行った5月6のロンドン、ロイヤル・フェスティバル・ホール以来2度目、3度目のステージ。メンバーはボーカル、ギター&ピアノのピーター・ハミル、ドラムスのガイ・エヴァンス、サックス&フルートのデヴィッド・ジャクソン、オルガンのヒュー・バントン。

11日の会場はミラノ市内の音楽学校で、前日に友人と会場の下見に行くと、ヴァイオリンなどの楽器を抱えた少年少女達が下校している場面に遭遇し、こういう場所でやるのかと、いささか戸惑った。しかし構内に、ざっと見て千人から千二百人位の収容人数がある音楽ホールがあり、前売り券は完売の満員御礼状態だった。

13日の会場はローマ郊外の野外テニスコート。当初12日に行われる予定が、同日にすぐ隣のオリンピック・スタジアムでサッカーのイタリアン・カップのファイナルが行われることとなり、何万人というサポーターが押しかけることが予想され、騒音や警備上の問題から、直前に変更されたもの。緻密に事前計画していただけに、非常に焦ったが、翌日はまだローマに滞在する予定だったので、何とか見ることができた。

両公演とも、"Peter Hammill Study Group"という団体がVDGGのイタリア語翻訳付き詩集を販売していた。ローマ公演は"Progressive Festival"だったらしく、ジャーマン・ロック風もしくは今のイーノがライブをしたらこんな感じかなと思わせる女性ボーカルをフューチャーしたイタリアのバンドが前座で演奏した。

ボーカルのピーター・ハミルのライブは1986年の初来日公演から合計9回見ているが、今回は初めてリズムセクション入りのライブ。ハミルのライブをリズムセクション付きで見ることは長年の夢だったのだが、それがいきなりVDGGの再結成ライブで実現することとなって、事前からかなり興奮。


ステージは全く装飾のない、楽器が配置されただけのシンプルなもので、とにかく演奏を見せようという心意気が見えてくる。バントンとハミルのキーボードが70年代の活動当時と同じように向かい合いに配置され、VDGG独特のステージの雰囲気を醸し出している。
キーボードのヒュー・バントンはローランドの電気オルガンVK-7VR760の2台のみというシンプルな構成で嬉しくなってしまった。(実はこのオルガン・シリーズのオリジナル・モデルであるVK-1を高校の頃買って、まだ所有している。)
足元にはベースパートを弾く足鍵盤が置かれている(同じくベーシストのいないバンド、ドアーズのレイ・マンザレクは左手でフェンダーのベースピアノを弾いていたが。)。

2002年に来日した際には、VDGG再結成の可能性をかたくなに否定していたハミルだけに、何がバンドの再結成に向かわせたのかが、非常に気になっていた。個人的にも、VDGGが再結成することなどジェネシスがガブリエル在籍時代の5人編成で再結成する位、考えること自体がナンセンスで有り得ないことと感じていた。
VDGGを再結成に向かわせる意義がいったいどこにあるだろう。ハミルのソロ活動の充実度から見ても、何も見当たるものはなかったのだ。

とにかくVDGG再結成のニュースが伝わり、ロンドンでの1回のみのコンサートと2枚組の新譜の発売がアナウンスされても、こちらは戸惑うばかりだった。
本人達が望む望まないにかかわらず、EMIという巨大資本のサポート無しには成り立たなかった種類のものという気もする。しかし肝心のニュー・アルバムは日本に主に流通する欧州盤と日本盤がCCCDという惨憺たる有様で、EMIもVDGGで金儲けが出来るとは思ってはいないだろう。再結成のタイミングとしては絶好だった4枚組ボックスセットの発表からも5年経ったいる。

個人的には固いことを考えずに、とにかく本人達がやってみたかったのだろうと思うことにし、どういう音楽をやるのだろうかと、生で確かめたいという想いはロンドンのチケットが売り切れになった後も続いていた。その後にイタリアを始めとするツアーの発表。イタリアの友人のサポートで、なんとかチケットを取ることができ、海外初遠征の友人も誘って強引に見に行く準備を整える。直前に聴くことができたニュー・アルバム(ハミルのオフィシャル・サイトで通販されているものはCCCDではなかった。)もよく噛み砕けていない状態でイタリアへ飛んだ。

ニュー・アルバムからの演奏はミラノ1曲、ローマ2曲(ミラノは、うっかり1曲飛ばしてしまったという話だが)のみで、あとは開き直ったかのように70年代のレパートリーを当時のアレンジどおりに演奏。まるで29年間の歴史が凍結されていたかのような、まったくブランクなど無かったかのような、当時そのままのような荒々しく若さに満ち溢れた圧倒的な演奏だった。イタリアの観衆は熱狂的で、70年代の活動当初からの人気を裏付けていた。

ニュー・アルバムのプロモーション・ツアーではなかった。何か新しいことに挑戦しようとする姿勢や未来に向かって前向きに音楽を進めようと感じさせる意気は感じられなかった。感じたのは、過去の楽曲の素晴らしさの証明と、演奏者と聴衆の歓喜だけ。
メンバー全員、もういちどVDGGの曲を演奏して、純粋に楽しみたかったのだと思った。そして、それは聴衆にとっても素晴らしい体験だった。しぶとく生き残れば夢は現実となるのだという実感。

ローマのアンコールで"Refugee"の演奏前に、ハミルはイタリア語で「トニー・ストラットン・スミスに捧げる」というような内容のナレーションをした。87年に他界したカリスマレーベルの社長で、VDGGやジェネシスの育ての親であるトニー・ストラットン・スミスが、2005年のVDGGの演奏を聴いたら、どう感じただろうか。

6/11 Conservatorio di Milano, Sala Verdi, Milano
1. The Undercover Man
2. Scorched Earth
3. Refugees
4. Every Bloody Emperor
5. Lemmings
6. (In The) Black Room
7. Darkness
8. Masks
9. Childlike Faith in the Childhood's End
10. The Sleepwalkers
11. Man-Erg
encole
12. Killer
13. Wondering

6/13 Venue Centrale del Tennis, Rome
1. Darkness
2. The Undercover Man
3. Scorched Earth
4. Every Bloody Emperor
5. Lemmings
6. Childlike Faith in the Childhood's End 
7. Still Life
8. Sleepwalkers
9. (In The) Black Room
10. Nutter Alert
11. Man-Erg
encole
12. Refugees
13. Theme One

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