ジェフ・ベック 大阪公演
JEFF BECK9度めの来日公演を7月8日、大阪厚生年金会館大ホールで見た。初めて見たのが、テリー・ボジオ、トニー・ハイマスと3人で演った1989年の大阪城ホールで、あと99年、2000年と見て、今回が4度目。ライブ・ワイアーからのリアル・タイム世代にしてはライブを見るのが遅かったミュージシャン。Who Else!からの打ち込みビートを中心とした3部作はとんでもない衝撃で、ベックが常に前進するミュージシャンであることを思い知らせ、同時期の来日公演でもそのことを再確認させられた。
今回はアルバムの発表を伴わない唐突な来日公演で、何とボーカリスト(『フラッシュ』で歌っていたジミー・ホール)も連れてくるというので、今までにない内容を予感させた。いきなり1曲目から『ジェフのボレロ』で、その後も新旧とりまぜ、途中で5分だけの必要最小限の休憩をとってのグレイテスト・ヒッツ的な展開。途中でジミー・ホールが出てきて、数曲歌ってまたすぐ引っ込んだりし、、なぜかジミヘンのカバーを2曲も披露したりで、少々散漫な内容だなとも思ったが、ジェフのプレイはあいかわらずで、あの独特のギター・トーンもフレーズを超越したフィンガリング・テクニックもジェフ以外有り得ないものだった。難度の高い『スキャッター・ブレイン』など、昨年通販で出たライブ・アルバムのようにフレージングがたどたどしかったりしたが、あえてこの曲に61歳の今挑戦するところにパンクな精神が伺えた。個人的には『ダイヤモンド・ダスト』を生で聴けただけでも十分だった。
バックのビニー・カリウタはザッパ時代からのファンで、手数の多いテクニカルなプレイを期待していたが、時折超絶なドラミングを見せるものの、スティングや宇多田ヒカルのバックのように堅実なプレイもこなして、ほどよいバランス。しかしジェフのプレイに完全にマッチしているかといえば、まだまだのような気も。テリー・ボジオのプレイを再び聴きたかったが、彼は、我が道を行くひたすらドラムソロだけに近いプレイをしてしまうし・・・。ベースのピノ・パラディーノは昨年のTHE WHOのバックの時のように控えめなプレイに徹していた。ベックとは90年代前半にも組んでいるので、それなりのコンビネーションではあるはず。ジミー・ホールは数曲歌うためだけに来たようだが、明らかに現在のジェフの音楽性から後退している趣向。とにかく歌ものも演りたかったんだろう。『フラッシュ』でも聴けるように自分で歌うと音痴なので仕方なかったんだろうという感じ。
アンコールでは前回、前々回で唖然とするようなテクニックを披露してくれた、ジェニファー・バットンが飛び入りでキターを弾いた。今回はスタッフとして参加している模様。前2回のライブが凄かったのは彼女の手腕によるところが大きかったことを思い知らされる凄いプレイ。
歳をとらないミュージシャンというのは凄まじい。今回はサービスたっぷりの内容だったが、ベックはまだまだ前進していくんだろうと信じたい。
2005年7月8日 大阪厚生年金会館大ホール
1. Beck's Bolero
2. Stratus
3. You Never Know
4. Cause We've Ended As Lovers
5. Rollin' And Tamblin'
6. Morning Dew
7. Behind The Veil
8. Two Rivers
9. Star Cycle
10. Big Block
11. Scatterbrain
5minutes intermission
12. Nadia
13. Angel (Footsteps)
14. Led Boots
15. Diamond Dust
16. Hey Joe
17. Manic Deprssion
18. Goodbye Pork Pie Hat
19. Brush With The Blues
20. Blue Wind
Encore
21. Earthquake ~ Blast From The East
22. Going Down
23. People Get Ready
24. Over The Rainbow
Member
Jeff Beck - guitar
Pino Palladino - bass
Vinnie Colaiuta - drums
Jason Rebello - keyboards
Jimmy Hall - vocal
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