黒田亜樹 & 神田佳子 ライブ。キース・エマーソンへの手紙 vol.2
クラシック、現代音楽のピアニスト、黒田亜樹さんと、パーカショニストの神田佳子さんによる、エマーソン・レイク&パーマーの楽曲を現代音楽風にアレンジした演奏会を神戸クレオールで見た。昨年の日記にも書いたように、去年の同時期、同会場にて、2人によるライブがあったが、その時点で演奏されたELPナンバーは『タルカス』『ピアノ協奏曲第1番 第三楽章』『展覧会の絵』の3曲のみ。今回はほぼ全曲がELPのレパートリーで、大いに盛り上がった。
演奏曲目は、『アレグロ・バルバロ(バルトーク)(ELPの『未開人』の間奏部)』、『ロミオとジュリエット(プロコフィエフ)』、『ホウダウン(コープランド)』、『ピアノ協奏曲NO.1 全楽章』、休憩を挟んで『展覧会の絵』、伊福部昭の『ゴジラ』(これのみELPではないが、昨年エマーソンがゴジラのサントラを担当した繋がりと神田さんのアルバムに収録されていることから演奏)、『タルカス』、そしてアンコール替わりに再び『ホウダウン』。
テーマは「主婦のプログレ」とか冗談を言いながら、和気藹々とした雰囲気だったが、演奏は凄まじくてまさに体育会系のような体力勝負の熱演だった。世界中のELPのトリビュート・バンドが束になってかかっても敵わないような、説得力のある繊細で凶暴なアプローチで、ELPというかキース・エマーソンの本質を突いていたような気がする。
ELP自体、やっている音楽の質とは裏腹にパフォーマンスのハデなバンドで、花火やナイフを使ったり、グランドピアノをクレーンで吊り下げて大回転したりと、サービス精神はキッスなどと相通じるところがあるが、音楽の本質的な部分で、ここまでアグレッシヴにELPをカバーするのは、現代音楽を基礎とする演奏力だけでは足りないかと思う。やはり黒田さん、神田さんの本質的に過激な部分が、あそこまで演奏を凄まじい次元に高めたのではないだろうか。ELPのライブ・ヴァージョンよりも早く演奏されるホウダウンには圧倒された。
黒田さん、神田さんのコンビネーションは完璧なので、どうかこの演奏を記録してほしいと思うのですが。
次回はぜひ『トッカータ(ヒナステラ)』を!
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