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2005年9月

2005/09/27

Steve Hackett 1st-4th 再発

スティーヴ・ハケットのソロ・アルバム1st-4thまでがボーナス・トラック入りデジタル・リマスターで英国EMIから 再発された。これは同じカリスマ・レーベルのヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーターの今年の6月~8月の再発とほぼ同じコンセプトの装丁・リマスタリングで、監修も同じくMark Powellが行っているもの。一部噂されたCCCDではなく、通常のCDDAだった。CDは80年代にヴァージンから出たきりで、音質的にも改善が求められていた。今回久々にリマスタリングされ、かなりの音質改善が伺われる。(ムーグ・ベース・ペダルのヴォーーンという響きなど良く出ていた。)再評価と新たなファンの獲得のきっかけになることを願いたい。

ジェネシスのメンバーで個人的に一番好きなミュージシャンで、とても一人のミュージシャンとは思えないソロ・ワークスの引き出しの多さ、ヴァラエティーさに驚かされる。ロック以外にもブルース、クラシック、原題音楽、R&B、サンバなどに傾倒しており、それぞれハンパでない。ロック中心の1st-4thでも叙情性とおどろおどろしさ、繊細さと暴力性が交互に展開しており、最初聴いた時は一筋縄には行かない音楽性に圧倒されてしまった。ソロ・アーティストとしての溢れるばかりの創作意欲がいかんなく発揮されている。

各アルバムのボーナス・トラックは以下のとおり。

Voyage Of The Acolyte (1976)
Ace Of Wands (Live)London’s Theatre Royal, Drury Lane in 1979
Shadow Of The Hierophant (Extended playout version)

 ハケットのお父さんの物置から見つかったという17分ヴァージョンの
 Shadow Of The Hierophantが凄い。クドくて。フィル大活躍。

Please Don't Touch (1978)
Narnia (John Perry vocal)
Land Of 1000 Autumns / Please Don’t Touch (Live)
London’s Theatre Royal, Drury Lane in 1979
Narnia (Alternate version w/Steve Walsh vocal)

 ジョン・ペリー・ヴァージョンのNarniaがレア。
Land Of ~ Pleaseのメドレーは裏ジャケの時間表示が間違っていて
 いた。1分44秒となっているが、正しくは7分52秒。
 Narniaも各ヴァージョンの時間表示が間違っている。
 Land Of 1000 Autumns / Please Don’t Touchのライブはめちゃくちゃ
 凄い。
 
Spectral Mornings (1979)
Everyday (Alternate Mix)
The Virgin And Gypsy (Alternate Mix)
Tigermoth (Alternate Mix)
The Ballad Of The Decomposing Man (Alternate Mix)
Clocks (12" Single Version)
Live Acoustic Set(Live)11th June 1979 at the Pavillion de Paris.
Tigermoth (Live Version)11th June 1979 at the Pavillion de Paris.

 意図のよく分からない別ミックスが沢山入ってますが、そんなに極端に
 印象は変わっていない。パリのアコースティック・メドレーが良い。

Defector (1980)
Hercules Unchained (B side of single version of The Show)
Sentimental Institution (Live)London’s Theatre Royal, Drury Lane in 1979
The Steppes (Live)1981 Reading Festival
Slogans (Live)1981 Reading Festival
Clocks (Live)1981 Reading Festival

 シングルB面がレアです。レディング・フェスの演奏もテンション高い。これも
 完全盤が欲しいところ。

ソロ的に大成功したのはサードの"Spectral Mornings"だが、個人的に思い入れがあるのはセカンドの"Please Don't Touch"。プログレとR&B系ボーカリストの叙情的融合がここまでうまくいったアルバムはないだろう。痛快で奇怪で感動的。ラストのICARUS ASCENDINGは冬になると聴いて哀愁に浸りたくなってしまう。

しかし、やはり永遠の名曲は"Spectral Mornings"で、ここまで単調なフレーズなのに、ここまで素晴らしいギターを弾けるのはハケットだけだと思う。残念ながら過去3回の来日公演では何故か演奏されておらず、日本のファンには幻の名曲となりつつあるが、いつの日か生で聴けることを望みたい。

ちなみに80年代以降で一番好きな作品は1993年の"Guitar Noir"。ラストの"Tristesse"は、真冬の南ドイツの湖のほとりで、夕暮れに聴いて涙が出てしまったほど。

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2005/09/21

MAGMA 大阪公演

magmaquattro
Christian Vander率いるフランスのバンド、MAGMAの約4年ぶりの来日公演を9月13日と14日に大阪クラブ・クアトロで見た。今回は趣向の違う2種類の構成で大阪、東京それぞれ2日間づつ演奏するという変則的な内容。(なぜか大阪と東京では構成が初日と二日目で入れ替わっていたのだが、メンバーの要望だったのだろうか。)
MAGMAは1998年の初来日を全4回、2001年の2回目を大阪と京都の2回見ており、それぞれ生涯のベスト5に入る内容だったので、今回も期待に溢れていたのだが、想像を遥かに超える素晴らしさで、観客も盛り上がりまくり、早くも今年のベスト・アクトに認定。

初日は2部構成で第1部はグランド・ピアノ1台とボーカル5人のみによるTheusz Hamtaahk~Wurdah Itah~Mkanik Destruktiw Kommandohの抜粋演奏。今回個人的に一番感動したのがこのセットでMAGMAがボーカル・グループとしていかに優れているかを再認識。さらに定番のHhaiを素晴らしいコーラスワークで歌い上げた。MAGMAの音楽の歓喜の部分を感じとれる超名曲である。

第2部はボーカルを排除した楽器隊のみでの演奏で、Kohntarkosz、Sowiloi-KMX-EXII-opus3、Mekanik Zain。正直、本来ボーカルが入る曲をあえてインストでやっているので物足りない感じがした。ギターのJames McGawはギター・シンセでヴァイオリンの音を出したりして、かつてのヴァイオリニストDidier Lockwoodを彷彿させた。全盛期のMAGMAの定番だったツイン・キーボードも、今回Emmanuel BorghiFrederic D'Oelsnitzとの2人のメンバーで実現。ステージ両側に配置されたフェンダー・ローズ・ピアノがカッコ良かった。MAGMAではドラムもベースもリード楽器と化するので、キーボードがリズムをとることになっている。2人いると心強いだろう。

若いメンバーが2001年の頃より更に馴染んでおり、特にボーカルのAntoine PaganottiとベースのPhilippe Bussonnetは技量ともに全盛期のメンバー(Antoineは自分の親だったりするるが)に劣らず、オフィシャル・メンバーとして定着していたのが嬉しかった。
2001年の来日公演後にMAGMAに参加したHimiko PaganottiはAntoineと同じく、元メンバーのベーシスト、Bernard Paganotti(95年に加藤登紀子のコンサートで生演奏を見たことアリ。)の子供で、日本人の母親の血を引く妖艶な容姿が密かに人気を集めていたようだ(2ちゃんねるプログレ板MAGMAスレッド参照)。
ベテランのStella VanderIsabelle Feuilleboisは貫禄を感じさせる存在感で、特にStellaは裏リーダーとしてステージを仕切っていた。

2日目はフル・メンバーによる休憩無しの全力疾走の構成で、Attahk収録のRindeのイントロから始まり、Christianのボーカルとドラミングおよび間奏のソロ合戦をたっぷりとフューチャーした本来の形で再度Hhaiを演奏。続く形で長年のファンにとっては今回の目玉とも言えるUduWudu収録のZombies(これをライブで聴けるとは!)がプレイされ、お客も大歓声と共にヒートアップ。そしてハイライトとなる最新スタジオ作KA(Kohntarkosz Anteria)の完全演奏。Ineditsで断片的にしか聴けなかったこの曲が1時間近くに渡って完全演奏され、それを日本で聴ける日が来ることを誰が想像しただろうか・・・。
終盤の「ハレルヤ!」コールのあたりで観客も大爆発したようなタテノリを見せ、絶頂に達していた。他のどのミュージシャンの演奏でも感じられない、神がかった何かが本当に憑依してしまったかのようなパフォーマンスに音楽の奇跡を感じてしまった。これがMAGMAなのだ。生で見ない限り絶対にわからないMAGMAの持つ驚異を今回も思い知らされた。何ものにも代え難い圧倒的な存在。
KA完奏が終わり、完全燃焼した後での最後の曲はファースト1曲目のKobaia。偉大なる最初の1歩はこの曲から始まった。ただのファンにとっても感慨もひとしおという感じの名曲である。終演後、鳴り止まぬ拍手とMAGMAコールで再び登場し、2001年と同じく、Christianのボーカルをフューチャーしたballadeを全員でおごそかに演奏。前に出てきて両手でマイクを持ちつつ、全身で音楽を表現するChristianにはやはり圧倒される。感動の涙が溢れた。

ファン歴24年で、22年前にはコピー・バンドをやっていたので、コバイア語の歌詞は今でも暗記しており、MDKやHhaiは一緒になって歌ってしまった。他にも一緒に歌っていた人は多かったようだ。若いファンも大勢見に来ており、大絶賛状態だったので、新世代への受け継ぎも順調のようだ。嬉しい。昔、学園祭でMAGMAを演奏した時は大顰蹙を買っていたが、今の時代ならコピー・バンドでも受け入れてもらえそうな気も。

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2005/09/11

恋するベトナム

本放送の時は、1,2話位しか見られなかった西田尚美主演のドラマ『恋するベトナム』の再放送の最終回を見た。全編ベトナム・ロケのみで製作されているのが画期的。主人公が旅する行程が2002年の10月に私が2週間かけて旅したルートとほぼ同じで、ホーチミン→ニャチャン→ホイアン→フエ→ハノイ(私はそこからハロン湾まで行ったけど)と懐かしい景色を再体験できて嬉しかった。私は2000円位で1800キロ縦断できる乗り降り自由の格安バスツアーの旅だったけど。

ベトナムは一度行ったらハマってしまうというのは本当で、完全に虜になってしまった。一生住んでもいいと思ったりもした。しかしこの3年行けず仕舞いになっている。向こうで知り合ったベトナム人のメル友とも音信が途絶た。

ドラマ自体はストーリーの流れがもうちょっとな~。という感じ。西田尚美は非常にいいんだけど、とりまきの男達がな~。

昨日のお昼はベトナム・レストランでフォーを食べた。フォーを前に食べたのはモントリオールのレストランだったりする。またベトナムに行って、80円位で食べられる絶品のフォー・ボー・チーを味わいたいもんです。

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2005/09/04

妖怪大戦争

yokaidaisenso
年上のロック友達夫婦が見てきて「凄かった!」と絶賛していたので、遅まきながら『妖怪大戦争』を鑑賞。
「Dead Or Alive」「殺し屋イチ」の三池崇史が監督ということで、ムチャクチャ暴走する映画とは予想していたが、予想を遥かに上回る暴走ぶりでしかも子供にちゃんと訴えかけるものがある爽快感溢れる傑作だった。予備知識ゼロで見に行ったら、忌野清志郎とかが妖怪役で出ていてびっくり。栗山千明はキルビルを彷彿させる熱演。妖怪達の宿敵となる豊川悦司演じる加藤って、『帝都物語』で嶋田久作がやってたあの加藤か。荒俣宏も水木しげる先生も参加してるから何でもアリなんですね。すげ~。

でも、これを実相寺昭雄とかに監督させずに三池崇史にやらせたというのはエラい。しかし三池崇史でもイチかバチかの賭けだったでしょう。なんせ「お正月家族で揃って楽しめるファミリー映画を撮ってくれ」という依頼で「カタクリ家の幸福」を作ってしまう人だし・・・。しかし蓋を開ければ大成功という感じ。お笑いと残酷さとアドベンチャーと家族愛が絶妙にミックスされていて大人が見ていても最高に楽しい。

ツボにハマったのは子供の頃なら誰でも一度はやってみたかったであろう「ジェット機の翼につかまって飛んでみる」を実現させたこと。あのシーンがとにかく最高!傘おばけの「でもおれ、カサやし・・・」にも爆笑。水木先生の特別出演にも感激した。ラストにもニヤリ。
あと、主人公の役の子が美少年すぎるのはいかがなものか・・・。

できれば夏休み真っ只中に子供達の満場の歓声と共に鑑賞したかった作品。

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