MAGMA 大阪公演
Christian Vander率いるフランスのバンド、MAGMAの約4年ぶりの来日公演を9月13日と14日に大阪クラブ・クアトロで見た。今回は趣向の違う2種類の構成で大阪、東京それぞれ2日間づつ演奏するという変則的な内容。(なぜか大阪と東京では構成が初日と二日目で入れ替わっていたのだが、メンバーの要望だったのだろうか。)
MAGMAは1998年の初来日を全4回、2001年の2回目を大阪と京都の2回見ており、それぞれ生涯のベスト5に入る内容だったので、今回も期待に溢れていたのだが、想像を遥かに超える素晴らしさで、観客も盛り上がりまくり、早くも今年のベスト・アクトに認定。
初日は2部構成で第1部はグランド・ピアノ1台とボーカル5人のみによるTheusz Hamtaahk~Wurdah Itah~Mkanik Destruktiw Kommandohの抜粋演奏。今回個人的に一番感動したのがこのセットでMAGMAがボーカル・グループとしていかに優れているかを再認識。さらに定番のHhaiを素晴らしいコーラスワークで歌い上げた。MAGMAの音楽の歓喜の部分を感じとれる超名曲である。
第2部はボーカルを排除した楽器隊のみでの演奏で、Kohntarkosz、Sowiloi-KMX-EXII-opus3、Mekanik Zain。正直、本来ボーカルが入る曲をあえてインストでやっているので物足りない感じがした。ギターのJames McGawはギター・シンセでヴァイオリンの音を出したりして、かつてのヴァイオリニストDidier Lockwoodを彷彿させた。全盛期のMAGMAの定番だったツイン・キーボードも、今回Emmanuel BorghiとFrederic D'Oelsnitzとの2人のメンバーで実現。ステージ両側に配置されたフェンダー・ローズ・ピアノがカッコ良かった。MAGMAではドラムもベースもリード楽器と化するので、キーボードがリズムをとることになっている。2人いると心強いだろう。
若いメンバーが2001年の頃より更に馴染んでおり、特にボーカルのAntoine PaganottiとベースのPhilippe Bussonnetは技量ともに全盛期のメンバー(Antoineは自分の親だったりするるが)に劣らず、オフィシャル・メンバーとして定着していたのが嬉しかった。
2001年の来日公演後にMAGMAに参加したHimiko PaganottiはAntoineと同じく、元メンバーのベーシスト、Bernard Paganotti(95年に加藤登紀子のコンサートで生演奏を見たことアリ。)の子供で、日本人の母親の血を引く妖艶な容姿が密かに人気を集めていたようだ(2ちゃんねるプログレ板MAGMAスレッド参照)。
ベテランのStella VanderとIsabelle Feuilleboisは貫禄を感じさせる存在感で、特にStellaは裏リーダーとしてステージを仕切っていた。
2日目はフル・メンバーによる休憩無しの全力疾走の構成で、Attahk収録のRindeのイントロから始まり、Christianのボーカルとドラミングおよび間奏のソロ合戦をたっぷりとフューチャーした本来の形で再度Hhaiを演奏。続く形で長年のファンにとっては今回の目玉とも言えるUduWudu収録のZombies(これをライブで聴けるとは!)がプレイされ、お客も大歓声と共にヒートアップ。そしてハイライトとなる最新スタジオ作KA(Kohntarkosz Anteria)の完全演奏。Ineditsで断片的にしか聴けなかったこの曲が1時間近くに渡って完全演奏され、それを日本で聴ける日が来ることを誰が想像しただろうか・・・。
終盤の「ハレルヤ!」コールのあたりで観客も大爆発したようなタテノリを見せ、絶頂に達していた。他のどのミュージシャンの演奏でも感じられない、神がかった何かが本当に憑依してしまったかのようなパフォーマンスに音楽の奇跡を感じてしまった。これがMAGMAなのだ。生で見ない限り絶対にわからないMAGMAの持つ驚異を今回も思い知らされた。何ものにも代え難い圧倒的な存在。
KA完奏が終わり、完全燃焼した後での最後の曲はファースト1曲目のKobaia。偉大なる最初の1歩はこの曲から始まった。ただのファンにとっても感慨もひとしおという感じの名曲である。終演後、鳴り止まぬ拍手とMAGMAコールで再び登場し、2001年と同じく、Christianのボーカルをフューチャーしたballadeを全員でおごそかに演奏。前に出てきて両手でマイクを持ちつつ、全身で音楽を表現するChristianにはやはり圧倒される。感動の涙が溢れた。
ファン歴24年で、22年前にはコピー・バンドをやっていたので、コバイア語の歌詞は今でも暗記しており、MDKやHhaiは一緒になって歌ってしまった。他にも一緒に歌っていた人は多かったようだ。若いファンも大勢見に来ており、大絶賛状態だったので、新世代への受け継ぎも順調のようだ。嬉しい。昔、学園祭でMAGMAを演奏した時は大顰蹙を買っていたが、今の時代ならコピー・バンドでも受け入れてもらえそうな気も。
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