Steve Hackett 1st-4th 再発
スティーヴ・ハケットのソロ・アルバム1st-4thまでがボーナス・トラック入りデジタル・リマスターで英国EMIから 再発された。これは同じカリスマ・レーベルのヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーターの今年の6月~8月の再発とほぼ同じコンセプトの装丁・リマスタリングで、監修も同じくMark Powellが行っているもの。一部噂されたCCCDではなく、通常のCDDAだった。CDは80年代にヴァージンから出たきりで、音質的にも改善が求められていた。今回久々にリマスタリングされ、かなりの音質改善が伺われる。(ムーグ・ベース・ペダルのヴォーーンという響きなど良く出ていた。)再評価と新たなファンの獲得のきっかけになることを願いたい。
ジェネシスのメンバーで個人的に一番好きなミュージシャンで、とても一人のミュージシャンとは思えないソロ・ワークスの引き出しの多さ、ヴァラエティーさに驚かされる。ロック以外にもブルース、クラシック、原題音楽、R&B、サンバなどに傾倒しており、それぞれハンパでない。ロック中心の1st-4thでも叙情性とおどろおどろしさ、繊細さと暴力性が交互に展開しており、最初聴いた時は一筋縄には行かない音楽性に圧倒されてしまった。ソロ・アーティストとしての溢れるばかりの創作意欲がいかんなく発揮されている。
各アルバムのボーナス・トラックは以下のとおり。
Voyage Of The Acolyte (1976)
Ace Of Wands (Live)London’s Theatre Royal, Drury Lane in 1979
Shadow Of The Hierophant (Extended playout version)
ハケットのお父さんの物置から見つかったという17分ヴァージョンの
Shadow Of The Hierophantが凄い。クドくて。フィル大活躍。
Please Don't Touch (1978)
Narnia (John Perry vocal)
Land Of 1000 Autumns / Please Don’t Touch (Live)
London’s Theatre Royal, Drury Lane in 1979
Narnia (Alternate version w/Steve Walsh vocal)
ジョン・ペリー・ヴァージョンのNarniaがレア。
Land Of ~ Pleaseのメドレーは裏ジャケの時間表示が間違っていて
いた。1分44秒となっているが、正しくは7分52秒。
Narniaも各ヴァージョンの時間表示が間違っている。
Land Of 1000 Autumns / Please Don’t Touchのライブはめちゃくちゃ
凄い。
Spectral Mornings (1979)
Everyday (Alternate Mix)
The Virgin And Gypsy (Alternate Mix)
Tigermoth (Alternate Mix)
The Ballad Of The Decomposing Man (Alternate Mix)
Clocks (12" Single Version)
Live Acoustic Set(Live)11th June 1979 at the Pavillion de Paris.
Tigermoth (Live Version)11th June 1979 at the Pavillion de Paris.
意図のよく分からない別ミックスが沢山入ってますが、そんなに極端に
印象は変わっていない。パリのアコースティック・メドレーが良い。
Defector (1980)
Hercules Unchained (B side of single version of The Show)
Sentimental Institution (Live)London’s Theatre Royal, Drury Lane in 1979
The Steppes (Live)1981 Reading Festival
Slogans (Live)1981 Reading Festival
Clocks (Live)1981 Reading Festival
シングルB面がレアです。レディング・フェスの演奏もテンション高い。これも
完全盤が欲しいところ。
ソロ的に大成功したのはサードの"Spectral Mornings"だが、個人的に思い入れがあるのはセカンドの"Please Don't Touch"。プログレとR&B系ボーカリストの叙情的融合がここまでうまくいったアルバムはないだろう。痛快で奇怪で感動的。ラストのICARUS ASCENDINGは冬になると聴いて哀愁に浸りたくなってしまう。
しかし、やはり永遠の名曲は"Spectral Mornings"で、ここまで単調なフレーズなのに、ここまで素晴らしいギターを弾けるのはハケットだけだと思う。残念ながら過去3回の来日公演では何故か演奏されておらず、日本のファンには幻の名曲となりつつあるが、いつの日か生で聴けることを望みたい。
ちなみに80年代以降で一番好きな作品は1993年の"Guitar Noir"。ラストの"Tristesse"は、真冬の南ドイツの湖のほとりで、夕暮れに聴いて涙が出てしまったほど。
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コメント
古い記事へのコメントすみません。もしご存知でしたら教えて欲しいことがありまして。
ボクもS.ハケット好きなのですが、89年頃に出た国内版「spectral mornings」のCDのラストに2分くらいオッサンがウロウロしたり咳をしたりする音声が入ってますよね、アレは何なのでしょうか? 79年に出たLPには入ってないし、92年に出たベスト盤(非公式バイオグラフィー)にも入っていませんでした。何かご存知でしたら教えてください。
投稿: トースケ | 2005/11/08 00:18