インサイド・ディープ・スロート
映画雑誌「スクリーン」「ロードショー」を小学校低学年から購読していたので、新作紹介を読んで「ディープ・スロート」の存在は1975年の公開当時から知っていた(当時の映画雑誌はポルノ映画もきちんとレビューしていた)。しかし、実はこれがすでに3年前の1972年にアメリカで公開されており、検閲のため2/3以上をカットされたため、残りの2/3を日本で追加撮影し、ツギハギして公開されたものであったとは知らなかった。「ディープ・スロート」がアメリカの社会現象となるほどの物議をかもしていたことも大きな話題になっていたが、もっと強烈なイタリアやドイツ製ポルノがレビューされていたし、その意義がイマイチわからないままの小学校6年生だった。
「インサイド・ディープ・スロート」は全米がその存在に沸きかえり、政治問題にまで発展した、アメリカ初のハードコア・ポルノ映画の実情を追いかけたドキュメンタリー。監督・主演女優・主演男優・配給先の全てを不幸のどん底に突き落とし、「悪魔のいけにえ」と同様、マフィアがらみのプロダクションにより、300万円ほどの超低予算映画から産み出された「タイタニック」を超える6億ドル以上の興行収入の1セントもスタッフ・キャストに渡らず、全てが暗闇に消えたという、ヤバすぎる作品を、関わった人々とのインタビューで掘り下げている。
自主制作同然のヤバいB級フィルムには目がないし、そういうものは70年代には氾濫していた。ビデオではないフィルムの雑な画素にどうしようもない魅力を感じる。映像というものに誰もが本気でロマンを追い求めていた時代ってもう来ないような気がする。映画が毒であり、政治を動かすものであった時代の本物の「ブルーフィルム」を追及したドキュメント。
当の「ディープ・スロート」自体は数十秒しか紹介されていないのだけど、今月DVDが出るらしいので見てみたくなった。
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コメント
どーもですー。お久しぶりです。
これ丁度今六本木でやってまして気になってたんですよね…。面白そうなんだけど、元の方観ないと楽しめないかな、なんて思って何となく二の足踏んでました。元の映画のほうも、バカエロコメディくらいの知識しかなくて、「マフィアがらみのプロダクション」等、この日記読んで初めて知りました。
やけにそそるし、観たらまた感想書いてください。それによっては、僕も行きます。笑
投稿: すっさ | 2005/11/21 02:11
知らなかった…
そういうことをふまえて見たなら、おいそれとセ●ズリこけませんね(たぶん嘘)
「ディープスロート」見たこと無いんですが、ただ、スーパーテクが話題になって、超ヒットしたポルノだとばかり思っていました。
スケールもひどさも違うと思いますが、
なんかだいぶ前にTVで見た、全盛期のピンクレディーが給料2~30万で働いてたというのを思い出しました。
投稿: こうりん | 2005/11/21 15:30