マリリオンをパリとケルンで鑑賞
英国のロックバンド、Marillionのウィンターツアー、"Not Quite Christmas Tour"を11月28日パリ、11月30日ケルンで見た。マリリオンを見るのは前回の来日公演である1994年の"brave"ツアー全3回以来11年ぶり。1985年の初来日公演も大阪を見ている。なぜか唯一UKオフィシャル・ファン・クラブに入っているほどのファンなのだが、"brave"以降の来日公演は実現せず、日本での人気は急速に低迷し、1998年の"radiation"を最後に国内盤も発売されなくなってしまった。熱心なファンがいる一方で、日本でマリリオンを知っている人の大方は初代ボーカリスト、FISH在籍時代を聴いたことがあるだけというのが現実であろう。スティーブ・ホガース時代のほうが遥かに長い今となってはもう全く違うバンドになっているのだが・・・。
最後の来日からの11年間にヨーロッパを中心に数限りないライブを重ねている彼らだが、なぜか1度も見に行くチャンスがなかった。今回偶然タイミング良く休みがとれ、6月にVan Der Graaf Generatorをイタリアに見に行くという贅沢を行いながらの、少し後ろめたさもある遠征だった。パリのチケットはネットで購入。日本まで郵送サービスがあったのでそれで事前入手できた。ケルンのチケットはケルン在住の友人にお願いし、現地で受け取った。
2004年に出た2枚組傑作アルバム"marbles"は、それ以前の3作では希薄化されていた「プログレらしさ」が復活し、"brave"を彷彿とさせる叙情的な仕上がりになっていた。自主レーベルでアルバムをリリースするようになった頃から、彼らはプログレらしさよりも、RadioheadやU2、ビートルズからの影響が多大な曲作りをするようになって、キャッチーなポップセンスと英国バンド独特のフレーバーをバランスよく醸し出す素晴らしいバンドに成長した。なぜこのようなバンドがEMIとのメジャー契約を切られ、ファンに前金を貰ってアルバム製作をするようになるまでカツカツの活動を強いられていたのか。それはFISH時代のアクの強さを継承しているMarillionというバンド名そのものが足かせになったとしか思えない。"marbles"ではそこらへんのバランスを再検証し、ポップさと叙情性。そして繋がった長い曲という"brave"時代の路線を再び歩んでいた。
今回のクリスマス・ツアーは特にアルバムのプロモーションではなく、6月より開始された、ドラムとキーボードを除く3人編成で敢行した"Los Trios Marillos"ツアーを一区切りつけての、フル・バンドのライブで、どんな曲が飛び出すか非常に興味あるところだった。
パリの会場Elysee Montmartreは、モンマルトルの中心部にある1,000人収容ほどのクラブで、超満員の入り。前座は彼らのレーベルで強力にプッシュしているバンドGazpacho。前座が終わり、セットチェンジをして、いよいよMarillionの登場。
1997年の自主レーベル第1弾"This Strange Engine"収録の"An Accidental Man"からハードにスタート。久々に生で演奏しているMarillion(しかも熱狂的な大観客の中で)を見て感慨もひとしおである。"You're Gone"~"Beautiful"の美しさも完璧な流れである。懐かしいところで"Holidays In Eden"から"The Party"のような濡れ濡れの叙情派たっぷりの曲も演奏してくれて嬉しくなってしまった。終盤には今回唯一以前に生で聴いたことのある"brave"の"mad"も聴くことができた。アンコールは信じられないことにスティーブ・ホガース時代の第1弾、1989年の"Seasons End"より"The King of Sunset Town""Seasons End"を演奏。これらの古い曲を生で聴くことができる日が来るとは・・・。そして007の悪のテーマ風の"Cathedral Wall"で1回目のアンコールは終了。2回目の最初は2001年の"Anoraknophobia"からトッド・ブラウニング監督の1932年の伝説的問題作"Freaks"(1982年に1回だけ自主上映で見たことあり。凄すぎた)をテーマにした"Separated Out"、そして"marbles"の感動的なフィナーレ"Neverland"で紙ふぶきが舞い、大団円となる。さらにアンコールでホガースがサンタクロースのコスプレで登場し、クリスマス・ソングを歌って、和やかに終了した。色合いの素晴らしい"marble"のTシャツを一枚購入。フード付きジャケットをネットで買って着ていったのだが、「それいくらした」と尋ねられたりした。
翌日はフランス北部のリールでのライブがあったのだが、移動の都合上パスして、Thalysという高速列車でベルギーのブリュッセル経由でドイツのケルンに向かった。現地で友人と久々に再会し、チケットを受け取り、買い物やクリスマス市めぐりをして楽しんだ。翌日、会場のE-WERKへの地下鉄でのアクセスと終電の時間などを綿密にチェックして現地に向かう。郊外の工場地帯というか列車の操車場跡のようなところにあり、マリリオンのTシャツをセーターの上から着たファンが大挙して会場に向かっていたので一発で分かった。パリよりもオシャレで綺麗なクラブで200人以上は入るであろうバルコニーがあった。その分パリより大きな会場である。早めに入ったので、がんばって前のほうに移動。前座はドイツの叙情派プログレバンド"Sylvan"。本セット終了後にホガースがドイツのファンクラブに感謝の言葉を捧げ、ソールドアウトだったそうだとの報告をし、ファンクラブの為に"brave"のラスト曲"made again"を特別にプレイ。残りはパリと同じセット。
終電ギリギリに押したので、後方に移動して鑑賞。終了後すぐに会場を跡にした。しかし、その時腰に激痛が走り、全く走ることができなくなっているのに気が付いた。4時間以上背筋を伸ばして立ちっ放しだったので、腰を痛めてしまったのだった。友人宅に戻るも激痛で寝返りも打てなくなってしまった。翌日、荷物を友人に持ってもらって、なんとかケルン空港に移動。痛みに耐えながら飛行機に乗った。帰国後、整形外科に診てもらったところ、特に目立った損傷はないとのことで、ぎっくり腰にしても程度の軽いものだったらしく一安心。しかし、現在に至るも腰痛は止まず、ペインキラーと湿布のお世話になっている。
もうオールスタンディング・コンサートは無理なのかもしれない。その最後がマリリオンだったというなら、何も文句はない。
28 November 2005
Paris, France - Elysee Montmartre
An Accidental Man
You're Gone
Beautiful
Gazpacho
Genie
Fantastic Place
Out of This World
The Party
Quartz
The Damage
Mad
Go
The King of Sunset Town
Seasons End
Cathedral Wall
Separated Out
Neverland
The Erin Marbles
30 November 2005
Cologne, Germany - Ewerk
An Accidental Man
You're Gone
Beautiful
Gazpacho
Genie
Ocean Cloud
Fantastic Place
Out of This World
The Party
Quartz
The Damage
Mad
Go
Made Again
The King of Sunset Town
Seasons End
Cathedral Wall
Separated Out
Neverland
The Erin Marbles
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コメント
>もうオールスタンディング・コンサートは無理なのかもしれない。
>その最後がマリリオンだったというなら、何も文句はない。
だめです。RUSHが再来日したら椅子があってもスタンディングですよ!!(笑
投稿: ALEX | 2005/12/09 23:35
ALEXさん、ご無沙汰しております。そういえばMarillionはRUSHの前座もやってたなーと思い出しました。椅子席だと疲れたらちょっと座れるけど、ギチギチに詰めたスタンディングだと身動きとれず、死にます。ちなみにまだコルセットしてます・・・。
あ、RUSHのR30のDVD,2枚組CDとかピックが付いた特別限定版をケルンで買ってきました。40ユーロ。5,680円という感じの安さです。2枚目のレア映像集がなかなか凄いです。イースターエッグの見方、わかったら教えてください。
投稿: tangerine | 2005/12/10 00:52
Grace Under Pressure Warm Up Tour
Power Windows Tour
でMarillionがOpeningAct勤めてますね。
EasterEggは未だ未検証なので、確認したらお知らせいたします。
投稿: ALEX | 2005/12/10 01:24
EasterEggの見方ですが、現在判明しているのは以下の2つです。
DISC2
メニュー画面で→を何回か実行。
うまくいくとメニューにRush Hits ST. John's というメニューが追加されます。
もう1つは、Interviewに進んで同じく→を何回か実行すると、左人影がハイライトして、
Alex's Interview For Artist of the Decade
が現れます。
DISC1にもありそうな気がするんですが、まだ判明してません。
投稿: ALEX | 2005/12/11 17:46
お疲れ様でした。
無事に(でもないか?)帰国出来てよかったです。
腹筋背筋をバランスよく鍛えれば腰痛は軽減できるとか…
マズは毎日の散歩から始めてはどうでしょうか…次のライブに向けて(笑)
お大事に!
投稿: こうりん | 2005/12/16 00:58
>ALEXさん、イースターエッグ情報ありがとうございます。こういうのって根気で探すしかないんですかねー。大変ですね。
>こうりんさん、どうも。いや腰まだちょっと痛いんですが、だいぶんマシになりました。体調が回復したら散歩をするようにしてみます。
投稿: tangerine | 2005/12/19 17:20