ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT
ハリウッド映画によくある、勘違い日本文化が満喫できるということで、日本公開を指折り数えて楽しみにしていた『ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT』を見た。『パールハーバー』や『SAYURI』のようにマジ切れしたくなる「国辱映画」とは別に、大した内容でもないこの手のツッコんで爆笑していればいい「ヘンな日本描写」映画はある意味好き。
結果、大爆笑できたけど欧米人の日本に対する文化感って、1967年の『007は二度死ぬ』から1歩も進んでいないなーという感じ。
アメリカで公道レースで問題を起こして、日本に住む父親に引き取られることになった主人公が通うのが普通の公立高校で、そこにはアフリカ系やヒスパニック系の学生が普通にいたり、給食が純和風御膳だったり、主人公の海軍の父親が三田の長屋に住んでデリヘルを呼んでたり、カーチェイスのシーンになると車線が広ったり、渋滞も消たり、パトカーは190キロ以上のスピードオーバーは追跡不可能と見なして無視する決まりなどトンデモ設定満載。
日本人俳優のセリフも、妻夫木は例のCMの「ようこそ。ゴー!」、柴田理恵(高校の先生)はいつもの調子そのまんまで「ショーン君、うわばきに履き替えなさい!」、KONISHIKI「しょーがねーなー」など、数える程。セーラームーンのセーラーマーズをやってた北川景子は主人公と行動を共にするメカニック役で結構登場するのにセリフはほとんど無し。ヤクザのボス役の千葉真一のみ普通にセリフありとうい感じで、英語の台詞のある主要な日本人役はアジア系アメリカ人が演じている。なんだかなー。
ハリウッド版『呪怨』は監督が日本人だけあって、完璧に近い日本描写で、それはそれで良かった(DVDの俳優・スタッフ勢ぞろいでのコメンタリーは和気藹々と日本の文化がいかに衝撃的だったかを語っていて、映画本編よりもおもしろかった)。
『キル・ビル』は最初からトンデモ日本描写を狙っていたから問題外(でも『吸血鬼ゴケミドロ』とか『サンダ対ガイラ』から引用していたりして、かなりマニアック)。
ソフィア・コッポラがアカデミー賞を獲った『ロスト・イン・トランスレーション』は、外国人の総体的な意識としての日本に対する違和感がよく出ていたそうで、欧米人が日本に対して感じる違和感の見本市のような映画。でもこれ日本に対する正当な理解が皆無で国辱映画。
そこらへんと比べると、ワイルドスピードの稚拙な日本感は取るに足らない安っぽさだけで、論ずるに値しない微笑ましいものだった。でもこれを見て安易に日本で暴走を企てようとするアメリカ人が出そうで怖いけど。
肝心のテーマである公道レースの描写だが、はっきりいって、去年公開された、「なぜか設定は日本なのに、登場人物は全て台湾&香港の俳優(ヒロインの鈴木杏除く)」の香港映画『頭文字D』のほうが圧倒的に上で、全体的な完成度も、ワイルドスピードは遠く及ばない。しかも終盤の峠バトルは完全に『頭文字D』のパクリになっている。要はリメイクをしたかったのだと思う。『頭文字D』の予算は『ワイルドスピード』の10分の1以下だと思うのだが、カースタントのクオリティーはより繊細でリアル。香港映画恐るべし。
満足できなかった人はぜひ口直しに『頭文字D』をDVDでご覧ください。中国人俳優が演じる日本人という違和感はご愛嬌ということで。
( ゚Д゚)σビシッ(д` )レディ、
( ´д`)セットヽ(゚Д゚ )ビシッ
( ゚д゚ ) ( ゚д゚ ) ( ゚д゚ )
ギョォォォ-!
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