Terry Bozzio / Out Trio 大阪公演
Terry Bozzioがドラムを担当するOut Trioの大阪公演を1月24日に心斎橋のBIGCATで見た。1998年頃予定されたTony Levin, Steve Stevensとのプロジェクト、BLSでの来日公演がキャンセルとなってしまったので、前回の来日は1989年のJeff Beckのバックとして。その時はBad English, Steve Lukather,Chuck Berryなどとの共演フェスティヴァルでの出演で、8月10日の大阪城ホールでの公演を見ている。
ベックの時は70分強のステージ中ずっとドラム・ソロをしていたといった感じで、まさに雷神。さすが手の皮が剥けないように手袋をして、ペダルのキックバックで脛を痛めないように甲冑を付けていただけのことはあった。
今回はAlex MachacekをリーダーとするOut Trioのメンバーとしての来日で、ベースはテリーとの付き合いは長いというDoug Lunn。凄いドラムセットは船で送った模様。通常の基本セットからかなり数を減らしたようだが、それでもこの物量。これほどの物量を見たのは黒田亜樹&神田佳子のELPカバー・ライブ以来。
会場に入ると、ステージ前でドラムセットを携帯カメラで撮る人が続出で、すでに盛り上がりまくっている。いい感じ。それを許す主催者の心意気も素晴らしい。ライブ前にアナウンスされた前説も好感のあるものだった。
久々に見るテリー・ボジオはやはり圧倒的で、世界最高峰のテクニックをすぐ目の前で見られる感動に打ちのめされた。ライブDVDでもチェック済みだったが、Alex Machacekはアラン・ホールズワース・タイプのギタリストで曲はストイックな面とテクニカルな面が程よくミックスされていてカッコイイ。テリーも全開テクニカル・プレイにこだわらずに思ったよりストイックに攻めてくる。最近はMetropole OrchestraやTosca Stringsとやった現代音楽的なアプローチも深くプレイに浸透しており、パーカショニストとしての本領も発揮しているようだ。
2部構成で休憩が入り、凄い!と友人達と盛り上がる。後半はラスト曲でギターの弦が切れるというハプニングがあったが、替えのギターは用意せずに、その場で弦を張り替える余裕を見せていた。ちょっとだけFrank Zappaの"Inca Roads"をやってくれたのも嬉しかった。終演後はサイン会があったのだが、仕事の時間となってしまい、友達夫婦にサイン用のCDを託して泣く泣く退出。その後メールでしっかりサインは貰えたけど、和気藹々としていてあの場にいられなかったのは残念だったとのレポート。無念。
テリーといい、昨年見たスティーヴ・ヴァイやヴィニー・カリウタといい、フランク・ザッパ門下生が今も最前線でがんばっているのが嬉しい。ザッパの門下生は「笑ってしまうしかないような極端なスーパー・テクニック」を持ち合わせている面で共通しているが、テリーはその最たる例で、その凄まじい物量のドラム・セットが全てを物語っている。チェスター・トンプソン、ビニー・カリウタ、チャド・ワッカーマンなど他のザッパ門下生のドラム・プレイはジェネシスやジェフ・ベックやアラン・ホールズワースのバックで見ているが、テリーの手数はその中でも群を抜いており、バッキングではないリード・ドラムとしての派手なプレイを堪能するのにはもってこいのキャラクターである。しかし他の同系列ドラマーとは違って、テリーにはそれだけの物量の必然性を証明し、聴衆を納得させるだけの小手先だけではない確実なテクニックがあり、何よりザッパで培われた音楽的品格があると思う。
え、Missing Personsは品格あったかって。それは・・・。
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