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2007/06/22

Genesis Herning, Hamburg公演 part1

Dsc01273Dsc01243Dsc01254昨年の11月8日の日記にチケット販売について書いた、Genesisの再結成ツアーが遂に開始され、6月14日デンマークのHerning、15日ドイツのHamburg公演を見た。ジェネシスを見るのは、98年2月にCalling All Stationツアーをドイツで3回見て以来9年ぶり、フィル・コリンズ入りだと前回の来日公演(87年3月)の最終日を大阪城ホールで見て以来20年ぶり。

ヘルシンキ経由で前日にコペンハーゲン入りし、一緒に見に行くデンマーク人の友人と合流。彼は98年のベルリンのコンサートの後に偶然電車の中で知り合ったジェネシス・ファンで、いつか一緒にジェネシスを見ようと約束し合った仲。到着早々その友人から、今日偶然デンマークの伝説のプログレバンド、Secret Oysterの30年ぶりの再結成ライブがあるとの情報を得て、それを見に行って過ごす。これに関しては別途書く予定。

翌日、友人と電車で3時間半かけてコペンハーゲンから北西約400キロにある田舎町Herningに移動。列車とチケットの手配は友人がしてくれた。過去3回ジェネシスはコペンハーゲンでのコンサートをキャンセルしており、今回も首都でのコンサートは実現していない。ヘルシンキの初日から3日後で、まだまだ2回目のウォームアップ・ギグということで、あえて僻地を選んだのかもしれない。
Herning01Herning駅に到着して、バスにて会場のあるMessecenterに移動。駅で「町をあげてジェネシスを歓迎」みたいな小冊子を配っていて、市の重役じきじきのコメントなども載っていた。到着すると天気は快晴で、野外コンサートにはぴったりの日和である。宿泊場所は会場の敷地内にあるテント村で、宿泊料と使い捨て(?)テント込みで料金を払ったとのこと。テントを見て絶句。子供1人位が入ってちょうどよさそうな小ささで、これに大人2人とでっかい旅行バッグ2個が入るのかと。

テントにマットを敷いたりしていると、すぐ隣の会場スペースから、大音量で"Behind The Lines"などのサウンドチェックが漏れて来て、早くもおもいっきり演奏曲のネタバレをされてしまう。事前にリハーサルのセットリスト情報などを見ないようにして本番を楽しみにしていたのに・・・。

会場入り口でチケットをもぎってもらい、観客スペースが開くのを待つ。並んですぐの18時頃にゲートが開き、何百何千というコアなファンの全力疾走が開始。売店の店員達が爆笑しながら「がんばれ!がんばれ!」と声援を送っているのが微笑ましかった。なんとか中央最前列を友人がゲットしたので、そのすぐ斜め後ろあたりに陣取った。

ステージセットはWe Can't Danceツアーのものよりちょっとハデな位、つまり過去最大の規模で、バリライトも、背景全体をカバーするオーロラヴィジョンも凄まじかった。プログラムを見るとやはり、古くはピンク・フロイドのザ・ウォール・ツアーから、この手のメガロ・ステージを一手に設計している巨匠、Mark Fisherによるものだった。とても1日で設置することができないであろう大きさなので、おそらく複数のセットを用意し、事前に翌公演会場で設置して、交互に使用いるのではないだろうか。

開演まで2時間もあったが、アメリカやイギリスから来たファン達と話がはずんで、盛り上がる。イギリスから来たおじさんがピーターが1日だけ復活した82年のミルトンケインズを見たとのことで、皆に羨ましがられていた。和気藹々とした雰囲気が心地よい。同じ頃ドイツのゲルゼンキルヒェンで初日を迎えようとしているPeter Gabrielのコンサート会場にいる友人に携帯電話でメールすると、土砂降りの雨の中、前座が始まろうとしているところということ。今回ピーターは後になってジェネシスのツアー日程に完全に自分のツアーをぶつけてきており、二者択一を迫られたヨーロッパのファンの心境はいかにという感じ。
雨が降らないと判断されたせいか、ステージ上のバリライトが設置された骨組みに取り付けられた雨天用ビニールシートが脚立に上ったスタッフによって1枚づつゆっくり取り外され、観客から拍手が起こったりもして、いよいよ盛り上がる。

2時間たっていよいよコンサートが開始。オープニングは何と私も大好きな映画"「アメリカン・ビューティー」のテーマ曲"Dead Already"。この曲も大好きだったのだが、なぜにこれを?あとラジオのチューニング風コラージュと共にメンバーが登場し、大歓声に包まれる。

Behind the Lines / Duke's End / Turn It On Again
Dsc01242リハーサルでもやっていた"Behind The Lines"のオープニング部分でスタート。約5メートルとあまりに近い距離なので、なんか実感が湧かない。"Three Sides Live"などよりもスローテンポなアレンジでちょっともったりした感じ。オープニングからフィルがドラムを叩いている姿はやはりカッコイイ。マイクがベースを持って始まる展開も久々のはず。トニーのキーボードはシンプルに3台だけで、音源ユニットで音色を制御している模様。チェスター&ダリルもあいかわらず安定している。"Duke's End"に強引に繋げて、"Turn It On Again"に繋がる。いつもハイライトに演奏されるこの曲を頭に持ってくることで、セットリストの斬新さをアピールしているようにも感じる。タウラスのベースペダルの音が心地よい。

No Son Of Mine
Land Of Confusion
Dsc01248前回のCASツアーのオープニングと同じ流れ。デンマーク語を交えつつのフィルのMCもいつもどおり。自分のデジタルカメラで観客を写したりして、観客を煽る。
                                                                                                                                                                                                                                                                                                           
In The Cage / The Cinema Show / Duke's Travels / Afterglow
Dsc01255マイク・ラザフォードが新しい12ストリングスとベースのダブルネック・ギターに持ち替えるのを見て大興奮してしまった。重いのでもう使わないとインタビューで語っていたことがあると思うのだが・・・。特注で軽く作らせたのだろうか。とにかくオールド・ファンにとって、マイクのダブルネックはトレードマークのようなものなので、それだけでもう目頭が熱くなってくる。
87年までは定番だったおなじみのメドレーで、今回はDuke's Treavelsが挿入されている。ちょっと強引さも感じたが、回を重ねると、そのうちまとまってくるかもしれない。

Dsc01246キーボード・ソロの部分になって、手に汗を握ってしまう。今のトニーにこのソロがちゃんと弾けるのだろうか・・・。のだめのピアノ発表会を見守る千秋先輩くらいハラハラしながら見守る。「がんばれ!トニー!」タラリラタラリラタリタリタラタリとトニー特有のアルペジオが連発。「よし!なんとか形になっていた!」ホッと安堵のため息が出る。しかしプロのミュージシャンを見るのにこんな姿勢でいいのか!(言っておくが、3人のジェネシスではトニーが一番好き。)
Afterglowはいつ聴いても感動的。周囲がまだ明るくて、いつもは圧倒的な「大団円」になる照明の効果が出ていなかったのが残念。

Hold on My Heart
小休止的なポジション。フィルも椅子に座りながら歌う。人気があるのかないのかよくわからない曲。最前列のコアなファンにはあまりウケていなかった。

Home by the Sea / Second Home By The Sea
客に両手を上げさせてウォーーーと叫ばせる演出は同じ。前ツアーはドラム1人だったので後半の迫力がもうひとつだったが、やはりツイン・ドラムでこれをやると凄い迫力。

Follow You, Follow Me
フィルがヘッドセットマイクをつけて、ドラムを叩きながら歌うという珍しい演出。前回のCASツアーではアコースティック・ヴァージョンだったが、そのままオリジナルに忠実なアレンジで演奏。チェスターはシェイカーを振っていた。背後に映されたDukeをモチーフにしたアニメーションがか可愛いかった。個人的には深い想い出のある曲で涙が出そうになる。タリラリタリラリというトニーのソロも大好き。

Firth of Fifth / I Know What I Like
We Can't Danceツアーのメドレーから切り取った感じで、Firthの部分はCASツアーと同じアレンジ。キーボード・ソロの部分で手に汗を握ってしまう。今のトニーにこのソロがちゃんと(ry
I Knowは歌い出しをフィルがトチってしまい、やり直す。まだまだこなれていない模様。背面の画面全体に1976年公演の"Genesis In Concert"の同曲の部分が流され、それとシンクロする形で現在のフィルがタンバリンでパフォーマンスする。お客全員から拍手喝采が起こり、皆一緒に歌う。

Mama
Dsc01272「ハハーッツハ!」の部分はフィルの顔のアップがスクリーン全体に映る。これも伝統になりつつある演出。フィルのコンディションはいいようで声もよく出ていた。
                                                                   
                                                                    
                                                                                                                                       
Ripples
間違いなく、今回の目玉曲。最後に全編に演奏されたのは80年のツアーだったはず。出だしをフィルがとちってしまい、やり直す。まだこなれていないのだろう。しかし今回の選曲の中で一番感動した。号泣。

Throwing It All Away
Dsc01278背景に観客の顔のアップが次々と映し出される演出。みな最高の笑顔をしていて、感動的。個人的には"Invisible Touch"の中で一番好きな曲。1日中リピートして聴いていたこともあった。ラブソングとしては不滅の名曲だと思う。

Domino
87年ツアーでもおなじみのいろんな位置にいる観客に連鎖反応で歓声を上げさせるパフォーマンスが楽しかった。最初うまくいかなくて、フィルが失笑叱咤すると、次から大歓声が起こる。これをぜひ生でやってみたかったので、夢がかなった想い。しかし4万人近くでの大歓声は凄い迫力。

Drum Duet / Los Endos
Dsc01283
Dsc01287ここらへんも定番。Los EndosはSteve Hackettの1996年の日本公演や2003年のGuitar Warsでも演奏されたが、やはりトニーのキーボードで聴くのは格別であった。まだ周囲が明るくて照明の効果が完璧でなかったのが少し残念だが、やはりこのエンディングに勝るものはない。

Tonight, Tonight, Tonight / Invisible Touch
Dsc01288なぜかLos Endosで本編終了とならず、ダメ押しにヒット曲を演奏する。ジェネシスが一番ヒットしていた頃のファンに対するサービスであろう。例によってTonightのほうはショート・ヴァージョンでメドレー形式。最後に盛大に花火が打ち上がって本編終了。

I Can’t Dance
Dsc01294演出的にはI Can't Danceツアーと変わらないものだった。ヴィジョンの効果が凄まじい。ヘンな曲だが、ジェネシスの新境地を開いた曲でもある。フィル、マイク、ダリルが一列にステージを練り歩くのもWe Can't Danceツアーと同じ。
                                                                     


Carpet Crawlers
Dsc01301前ツアーで演奏して、本ツアーでされていないCAS以前の曲は、アコースティック・ヴァージョンでやった"Lovers Leap""Dancing With The Moonlit Knight"を除けば"The Lamb Lies Down On Broadway"とこの曲だけだったので、この曲をやるかなという予想はついていた。が、アンコール最後での演奏は効果的で感動的だった。欧州ツアー最終日、7/14のローマのフリー・コンサートでゲイブリエルが飛び入りするという噂がまことしやかに流れているが、この曲に飛び入りすれば今世紀最大の盛り上がりを見せるだろう。

今回のセットリストで想定外だったのはBehind the Lines / Duke's End / Duke's Travels と Ripples。
想定内だったのにやらなかったのはThat's All, Jesus He Knows Me, Abacabの3曲
とにかく"Ripples"が今回の大収穫だった。

まだツアー2日目ということもあって、曲をなぞっているだけという印象もあった。しかしとにかく復活したジェネシスを5メートルの位置で見られたのは何物にも替え難い一生の想い出になった。2005年にイタリアでVan Der Graaf Generatorの再結成を見た時のような「伝説の復活」のような興奮はなかったが、ジェネシスは好きな部分も退屈に思う部分も含めて、家族のように大切な自分の人生の一部分だった。二度とよりを戻すことはないと思われた3人が集結したのは、理由が何にせよ感動的であった。

Dsc01308

終了後、気温は下がり、ハンバーガーとビールで体を暖め、テントで凍死しそうになりながら一泊。翌日早朝に徒歩で駅に戻り、次の公演会場へと向かった。
                                                                    
15日の土砂降りのハンブルグ公演、16日のPeter Gabrielのマインツ公演に続く・・・。


14 June Herning, Denmark Messecenter

Tony Banks / Keyboards
Phil Collins / Drums, Percussion, Vocal
Mike Rutheford / Bass, Guitar, Backing Vocal
Daryl Stuermer / Guitar, Bass, Backing Vocal
Chester Thompson / Drums, Percussion

Behind the Lines / Duke's End / Turn It On Again
No Son Of Mine
Land of Confusion
In The Cage / The Cinema Show / Duke's Travels / Afterglow
Hold on My Heart
Home by the Sea / Second Home By The Sea
Follow You, Follow Me
Firth of Fifth / I Know What I Like
Mama
Ripples
Throwing It All Away
Domino
Drum Duet / Los Endos
Tonight, Tonight, Tonight / Invisible Touch
encore
I Can’t Dance
Carpet Crawlers

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コメント

はじめまして。すばらしいコンサートレポート拝見して、感動してます。私は、この日のコンサートのブートビデオ見ました。
トラックバックさせていただきましたので、よろしくお願いします。

投稿: Holy Knebworth | 2007/06/23 22:55

>Holy Knebworthさん
どうも、コメント&トラックバックありがとうございます。
そちらのサイトも拝見しました。すごい情報収集量ですね。
YouTubeやTorrentの発達で、ライブ翌日にはビデオが全世界に
広がってしまう凄い時代になりましたねー。
私もいくつかの映像を見て、感慨にふけっております。
Herningはまだまだ「公開リハーサル」レベルを抜け切っていない
気もしましたが、最前列で見たジェネシスは生々しくて、帰って
リアリティーがありました。
またそちらのサイトもちょくちょく寄らさせていただきますね。

投稿: tangerine | 2007/06/24 05:35

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» 今度はHerningのDVDブート [Allabout GENESIS]
今度は、ツアー2日目、6月14日デンマークのHerningでのブートDVDが、もう出回ってる。 [続きを読む]

受信: 2007/06/23 22:57

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