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2007年8月

2007/08/19

天然コケッコー

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くらもちふさこ原作のコミックの実写映画『天然コケッコー』が公開され、この1週間で字幕ありヴァージョンも含めて、とりあえず3回観賞。現状、『インランド・エンパイア』に続くこの夏のマイ・イベント映画となっている。


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Kuramochi01くらもちふさこは、『おしゃべり階段』、『いつもポケットにショパン』から読み始め、『東京のカサノバ』『A-Girl』『アンコールが3回』あたりまで熱心に読んでいて、85年に発売された別冊マーガレットから出た豪華特集本『くらもちふさこの本』(本人の写真満載で、中川翔子の父親の故・中川勝彦らとの対談もあり)、なども買った。久々に本棚の奥を探したら出てきて、懐かしくて読み返してしまった。
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あれだけファンだったのに、80年代後半からなぜか全く読まなくなってしまっていた。90年代後半に入って、偶然『天然コケッコー』で再会。すでに80年代で作風が完成されていたと思われていたのに、さらに絵が格段に旨くなっていて、さらに設定も斬新でびっくりした。当時お金がなくて、コミックはそれまでに出版された全巻を友人に借りて読破、あとはコーラスを立ち読みしていた。今回セレクションがコンビニ・コミックで出ていて、それも購入。

Kuramochi02Kuramochi03ということで、作者、原作ともに非常に想い入れが大きかったので、映画化への想いは複雑だった。台無しにされてしまったらどうしようと思ったりもした。

結果、細かいところでエピソードの入れ替えはあるものの、原作をここまで忠実に再現していたのは見事という感じ。最近でいうと『のだめカンタービレ』クラスの忠実度。とりあえず原作ファンを納得させる面は完全にクリアできていた。

冒頭、夏の午後に子供達が誘い合って近くの海まで泳ぎに行くシーンがとにかく良くて、それだけで涙が出てきそうだった。山道を抜けて歩いていくシーンだけでも、永遠にリピートして見続けたくなるほど、自然と日常が映像に溶け込んでいる。

そよちゃん役の夏帆は想像していたより子供っぽい印象だったが、原作者も希望していた「お嬢様」度が丁度いい感じ。悩んでいるのか、悩んでも仕方ないのでぼーっとしているのか、微妙なところが巧かった。大沢君役の岡田将生も子供っぽさも出ていて、違和感がなかった。

主人公二人以外の子供達が素晴らしく、伊吹ちゃん、篤ちゃんは完璧なうえにさらにキュート。浩太郎、カっちゃん、さっちゃんも、原作から抜け出てきたとしか思えない程だった。自己主張しない演技の大人脇役陣も素晴らしい。シゲちゃんには大爆笑。なにもあんなに目力を似せなくても・・・。あと『結婚しない男』以来久々に見る夏川結衣はやっぱりいいな~。

監督の山下敦弘は『リンダ・リンダ・リンダ』の頃からの、独特の長回しや引きのショットを多用しており、時間のゆったりした流れと、自然の風景を巧く映像化している。

原作のいくつかのエピソードを繋ぎ合わせているだけという印象もあり、あえて映画化することで、何を新たに醸しだすか、原作を知らない観客の心をどれだけつかめるかということに関しては、もうちょっと見続けて研究したいところ。
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2007/08/13

はだしのゲン 2ちゃんねる実況

中沢啓治原作のマンガ、『はだしのゲン』のTVドラマをやっていたので、2ch実況板を見ながら観賞。実況板には原作を1から10まで知り尽くしているようなコアなファンが集っており、
「くるぞくるぞ!」「キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!」
の連発で、おおむね良い雰囲気で進行していった。

中岡一家に暖かい手助けをする朴さんが登場するだけで、
「朴さんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!! 」
と何十も書きこみがある程の盛り上がりは凄かった。

2ch関連でいうと、『はだしのゲソ』という原作の名場面集をAAで再現した超名作が存在していて、2chからもそう遠くない存在。政治的、思想的な問題はとやかく言わず、原作の圧倒的なダイナミズムとエネルギーは、セリフだけからも十分感じ取れることを立証している。

ゲンはただ原爆の悲惨さを主張するだけの物語でなく、悲惨さにくじけないユーモアのセンスも十分に含んだ、一流のエンタテイメントであることも再認識。

TVドラマでの限界があるのは、致し方ないが、ゲン役の小林廉と進次・隆太2役の今井悠貴演技が神レベルだったので結果オーライという感じ。石田ゆり子のお母ちゃんは、美しすぎてリアルでないけど、それなりに好演だった。中井貴一のお父ちゃんも、ちょっと逞しさに欠けるが、人選は悪くなかった。

1973年の少年ジャンプ連載時にリアルタイムで読んでいて、歳もゲンとほぼ同じだったので、心理状態に恐ろしいほど共感し、ゲンの強さに打ちのめされたものだった。ジャンプでこのマンガのページだけ、怖くてなかなかめくることができず、でもストーリーの圧倒的面白さに、読まずにはいられないジレンマに苦しんだりもした。読んでしまうと、あまりのグロさにしばらく食事ができなかったが・・・。

崩壊した家の下敷きとなって、父、弟、姉がジリジリと生きながら焼き殺されるシーンがソフィスティケイテッドされていたのは残念だったが、せっかく生まれた妹が、栄養失調で死んでしまうシーンを、容赦なく叩き付けたのは偉かった。

TV版は希望を抱かせた状態で終わるが、原作はその後も戦後の闇市を舞台とした、殺伐とした展開をしており、人生の厳しさをこれでもかと思い知らされる。こちらもしばらく読んでいないので再読したいところ。

しかし、お姉ちゃんが学校で泥棒の濡れ衣を着せられて、取調べで裸にされるシーンが、大幅に自粛されていたことに、「くやしいのう!くやしいのう!」とゲンの台詞で何百もの書き込みがあったのは、いかがなものか!

        。。。          わしゃ パンを
   わしゃ うろんがええよ!   こさえてもらうぞ

          =∧⌒∧=      ∧〓∧
         /⊃・∀・⊂ヽ   (⌒(´∀` (⌒) 
           ヽ       /    \     /
 ζζζζζζζζζζζζζζζζζζζζζζ


        ___
      /ノ-ヘ\
      | \´-`) \   ラわ――い
      (⌒)  ̄  |   とうちゃーん
      | l\__(⌒l ねえちゃーん
      \(Д`  ) )  進次ーっ
        ヽ     ノ  わしらの妹が 
         ( (   (    うまれたぞーっ
         (_ (_ ノ

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2007/08/06

アンソニー・フィリップス 紙ジャケ

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Genesisのオリジナル・ギタリスト、Anthony Phillipsの初期5作品がArcangeloより紙ジャケ・リマスターで再発され、最初のオリジナル・アルバム3枚"The Geese & The Ghost"(1977)、"Wise After The Event" (1978)、"Sides" (1979)を買った。正確には"Wise After~"と"Sides"の間に、1972-1976年の間に録り貯めていた作品集、"Private Parts & Pieces" (1978)がリリースされていて、これも8月24日に紙ジャケで再発されるとのこと。

久々に聴き直したが、どれも瑞々しく美しい。12弦アコースティック・ギターの素晴らしさが、これでもかと堪能できる。

ジェネシスの元バンドThe Anonの頃からの盟友、マイク・ラザフォードが全面的に協力し、フィル・コリンズもボーカルで参加しているファースト・アルバム"The Geese & The Ghost"は、ボーナス・ディスク付きで、同時期のアルバム未収録曲、"Silver Song"のフィル・コリンズ・ボーカル・ヴァージョンが収録されている。アンソニー・フィリップスに版権が戻って実現したようだ。ファーストはバンド色が希薄で、ドラムもアンソニーとマイク・ラザフォードでプレイしており、生のオーケストレーションに重点が置かれている。

セカンドの"Wise After The Event"は一番好きなアルバムで、透明感に溢れたボーカルと12弦のコンビネーションがとにかく素晴らしい。バンド・サウンドとしても、マイク・ジャイルズ&ジョン・G・ペリーの完璧なリズム・セクションが良い仕事をしている。プロデューサーのルパート・ハインの貢献も大きいと思われる。当時シングル盤のB面のみの収録だった哀愁に溢れる"Squirrel"がとにかく感動的で、夏の夜に聴くと涙が出てくる。こんな悲しげな曲には滅多に出会えないと思う程、しんみりとしてしまう。こちらもスタジオ・デモなどを加えたボーナス・ディスク付き。

サードの"Sides"は前作と同じプロデュース、リズム・セクションで、よりロック的なアプローチで製作されており、スティーブ・ハケットのアルバムを思わせるポップさを感じる。ラストの"Nightmare" はまさにプログレ全開というようなハードなナンバーで、ハケットとか好きな人にも気に入られるだろう。こちらはボーナス・トラックとして"Magdalen" のインスト・ヴァージョンが入った1枚もの。

ライブ・ツアーが嫌でジェネシスを辞めただけあって、ソロ活動においてもライブ・ツアーをやらない人で、引き篭もって黙々と音楽を作っているイメージだが、それが理由で、秀作が揃っていていながら知名度が低いのは惜しい。ライブを積極的に行えば、マイク・オールドフィールドのようなポジションにいることができたのかもしれないが、こういうタイプのミュージシャンがいてもいいのかもしれない。

あと、セカンドとサードにクレジットのあるThe Vicarは、アンソニー本人のこと。

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