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2007/08/06

アンソニー・フィリップス 紙ジャケ

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Genesisのオリジナル・ギタリスト、Anthony Phillipsの初期5作品がArcangeloより紙ジャケ・リマスターで再発され、最初のオリジナル・アルバム3枚"The Geese & The Ghost"(1977)、"Wise After The Event" (1978)、"Sides" (1979)を買った。正確には"Wise After~"と"Sides"の間に、1972-1976年の間に録り貯めていた作品集、"Private Parts & Pieces" (1978)がリリースされていて、これも8月24日に紙ジャケで再発されるとのこと。

久々に聴き直したが、どれも瑞々しく美しい。12弦アコースティック・ギターの素晴らしさが、これでもかと堪能できる。

ジェネシスの元バンドThe Anonの頃からの盟友、マイク・ラザフォードが全面的に協力し、フィル・コリンズもボーカルで参加しているファースト・アルバム"The Geese & The Ghost"は、ボーナス・ディスク付きで、同時期のアルバム未収録曲、"Silver Song"のフィル・コリンズ・ボーカル・ヴァージョンが収録されている。アンソニー・フィリップスに版権が戻って実現したようだ。ファーストはバンド色が希薄で、ドラムもアンソニーとマイク・ラザフォードでプレイしており、生のオーケストレーションに重点が置かれている。

セカンドの"Wise After The Event"は一番好きなアルバムで、透明感に溢れたボーカルと12弦のコンビネーションがとにかく素晴らしい。バンド・サウンドとしても、マイク・ジャイルズ&ジョン・G・ペリーの完璧なリズム・セクションが良い仕事をしている。プロデューサーのルパート・ハインの貢献も大きいと思われる。当時シングル盤のB面のみの収録だった哀愁に溢れる"Squirrel"がとにかく感動的で、夏の夜に聴くと涙が出てくる。こんな悲しげな曲には滅多に出会えないと思う程、しんみりとしてしまう。こちらもスタジオ・デモなどを加えたボーナス・ディスク付き。

サードの"Sides"は前作と同じプロデュース、リズム・セクションで、よりロック的なアプローチで製作されており、スティーブ・ハケットのアルバムを思わせるポップさを感じる。ラストの"Nightmare" はまさにプログレ全開というようなハードなナンバーで、ハケットとか好きな人にも気に入られるだろう。こちらはボーナス・トラックとして"Magdalen" のインスト・ヴァージョンが入った1枚もの。

ライブ・ツアーが嫌でジェネシスを辞めただけあって、ソロ活動においてもライブ・ツアーをやらない人で、引き篭もって黙々と音楽を作っているイメージだが、それが理由で、秀作が揃っていていながら知名度が低いのは惜しい。ライブを積極的に行えば、マイク・オールドフィールドのようなポジションにいることができたのかもしれないが、こういうタイプのミュージシャンがいてもいいのかもしれない。

あと、セカンドとサードにクレジットのあるThe Vicarは、アンソニー本人のこと。

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