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2008年1月

2008/01/27

ザッパ・プレイズ・ザッパ 大阪公演

Zpz01Frank Zappaの息子Dweezil Zappaが親の曲を完全コピーで再現するライブ・バンド、Zappa Plays Zappaの待望の来日公演初日を1月21日にZepp Osakaで見た。主催者のSMASHにはよくぞ呼んでくれたと感謝したい。

最近ではレッド・ツェッペリンの再結成ライブや、中川翔子の初ライブ「貪欲祭り」などでも亡き父親のレパートリーを子がプレイしていたが、フランク・ザッパとなると、テクニックも最高水準のものが要求され、並大抵の覚悟では完全再現などできるものではない。

かつてザッパ不在のザッパ・バンドとして挙げられるものに、ザッパ存命中の1991年11月にニューヨークで行われたトリビュート・コンサート"Zappa's Universe"(ドウィージル、スティーヴ・ヴァイも参加、スウェーデンのMats & Morganが参加していることでも有名)があるが、あれはオーケストラなども含んだ変化球だったのに対し、今回のプロジェクトは7人編成の本格的ロック・バンドで、ザッパの世界を演奏とスピリットの両面で完全に再現しようというもの。既に北米と豪州においてかなりのライブを積み重ねており、それらの音源を聴いて、あまりの完成度に度肝を抜かれた。

スペシャル・ゲストとして本物のザッパ・バンドのメンバーだったRay WhiteSteve Vaiも参加しての豪華布陣での来日公演となった。

まず、実際のザッパ・バンドを生で聴く機会は永遠に失われてしまったと思われた。ザッパのコピーバンド数あれど、おそらくテクニックだけはなんとかなっても、あの毒気とユーモアを表現できるのは不可能なはずだと諦めていた。

今回のプロジェクトは親族が本格的に取り組んだだけあって、メンバー全員、とんでもないテクニックを持っていて、複雑極まりないレパートリーを完全に再現。恐らくは実際のザッパ・バンドに限りなく近い味わいを醸し出していたと思われる。今ザッパが生きていたら、メンバーとして雇っても十分通用するだけの凄腕のミュージシャン達だった。

メンバーが登場し、ドゥイージルの指揮でちょっとした音出しをして"Florentine Pogen"からスタート、最前列の一番右端PA真ん前という、いいのか悪いのかよくわからん席(一昨年のPorcupine Tree & Robert Frippの時も偶然にも全く同じ席だった。)だったが、とにかく音の分離が凄まじく良くて、各楽器の一音一音がとてもクリアに聴こえた。

Zpz02ドゥイージルのギター・テクニックはかなり凄く、フィーリングも親に迫りつつある。一応、1986年17歳の時に出したデビュー・アルバム、"Havin' A Bad Day"(フランク・ザッパがプロデュースして、リズム隊も当時のザッパ・バンドのScott ThunesとChad Wackerman)も発売当時買ったのだが、その時は17歳の子供らしい稚拙な作品だなーという印象だった。それが21年たってこんなに立派なギタリストになって・・・。しみじみと感慨にふけってしまった。

ザッパ自身が弾くギターの音のみ抽出したザッパのライブ映像と実際のバンドの共演が前半"Cosmic Debris"と後半"Montana"に2曲あって、これが凄い。スクリーンに映し出された1974年頃のザッパのライブ映像とドゥイージルとの親子ヴァーチャル・ギター合戦も、まるで生きているうちに打ち合わせしていたかのような完成度であった。

レイ・ホワイトのエンタティナーぶりは本家バンドから全く衰えておらず、ドゥイージルに「即興でスシの歌を歌ってくれ」と言われ、「オ~サカ~、ワサビ~」などと熱唱。

特別ゲストのスティーヴ・ヴァイは70分を超えたあたりで「今日は僕の友達が来てます。スティーヴ・ヴァイです!」とドゥイージルに日本語で紹介されやっと登場し"Andy"から"City of Tiny Lites"までの7曲とアンコールの"Muffin Man"に参加。プレイはかなり控えめで、ヴァイ目当てに来たファンはちょっと物足りなかったかも。ザッパ・バンド時代の肩書きがスタント・マンならぬスタント・ギターだったので、影に徹していようと思ったのか。ヴァイ自体を見るのは1988年のデイヴ・リー・ロスのバック&1994年3月のソロ初来日から5度目だが、やっと彼のキャリアの原点に戻ったかのようなプレイが見られて幸せだった。

本編ラストは『イリノイの浣腸強盗』、レイ・ホワイトのボーカルで聴けたのは格別。
アンコール1曲目は難易度ナンバー1で、ザッパ・バンドでは演奏されず、ドイツの現代音楽集団アンサンブル・モデルンなどがカバーしていた"G-Spot Tornado"。これを軽々と演奏してしまうところが凄い。
最後はメンバー紹介をたっぷり含んだ"Muffin Man"、父親も映像で再登場、ヴァイも再び出てきて大団円。

終演後、ドウィージルはステージに1人残って、百人以上のファンとの握手に気軽に応じてくれた。私も握手してもらう。ええ奴やんか!

とにかくザッパの名曲の数々を最高の状態で生で聴けたのは、何物にも替え難い経験であった。ドゥイージルは遺産相続人としての義務を完璧に全うしてくれた。これほどの親孝行はないだろう。

東京・横浜公演のセット・リストを見ると全然違っていて、大阪が一番地味で渋い選曲だったかもしれない。"Zoot Allures", "Black Napkin", "Black Page", "Peaches" "Yo Mamma"なども生で聴きたかった・・・。

Zappa Plays Zappa   2008/01/21 Zepp Osaka

Dweezil Zappa / Guitar, Vocal
Aaron Arntz / Keyboards & Trumpet
Scheila Gonzalez / Saxophone, Flute, Keyboards & Vocals
Pete Griffin / Bass
Billy Hulting / Marimba, Mallets & Percussion
Jamie Kime / Guitar
Joe Travers / Drums & Vocals

Special Guests
Ray White / Guitar and Vocals
Steve Vai / Guitar

01. Florentine Pogen
02. Cheepnis
03. Magic Fingers
04. Carolina Hard-Core Ecstasy
05. Cosmik Debris
06. Pygmy Twylite
07. Dupree's Paradise
08. Uncle Remus
09. Willie The Pimp
10. Andy
11. Advance Romance
12. Filthy Habits
13. I'm The Slime
14. Montana
15. Echidna's Arf (Of You)
16. City Of Tiny Lites
17. The Illinois Enema Bandit

encore
18. G-Spot Tornado
19. Muffin Man

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2008/01/25

アネクドテン 東京公演 2008

Anekdoten01スウェーデンのプログレッシヴ・ロックバンド、Anekdotenの3度目の来日公演を1月12日、13日と東京初台のThe Doorsで見た。このブログにも感想を書いた前回の来日公演から約3年ぶり。このワンマン2daysの前後にも対バン形式の出演があったが、そちらは見られず。

会場は新宿から京王新線で1駅目にあるライブ・ハウスで、オールスタンディングで200人強は入っていた。会場前での順番待ちが異常に寒かったが、中に入ると整理券番号の若かったプログレ友達の♪死♪さんがほぼ最前列をキープしてくださっていたので、初日は右のベーシストJan Erik Liljestrom前、2日目は左のメロトロン奏者Anna Sofi Dahlgre前(指使いが見える位置)に陣取って見られた。演奏は両日とも2時間25分ほどに及び、結果的に3時間以上立ちっ放しなので、くたびれてしまったが。

演奏は昨年出た"A Time Of Day"からたっぷりと、勿論古い曲も両日選曲を変えてたっぷり。前回も2回見ているので、だいたいどういうライブを展開するのかは予測できていたのだが、今回も日本側で用意したよくメンテナンスの行き届いた生のメロトロンのサウンドを十分に堪能できたので良かった。キーボードのアンナは"The Old Man & The Sea"などではチェロもプレイ。間奏でチェロを置き、メロトロンまで移動したりして忙しそうだった。新作はわりとタイトな感じで、ライブで聴けるのを楽しみにしていた。初日はアンコールで"Karelia"を聴けたし、2日目は大好きな3rdの"Hole"も聴けた。"Sad Rain"も両日終盤にプレイされ、なかなか感動的だった。新旧含めてどの曲も一聴してアネクドテンと分かるところまでオリジナリティーを確立できていると思った。

普段メロトロンのみの生音を聴きなれていないので、曲間のチューニングの時に、ちょっと鳴らすだけじゃなくて、ジャーーーンと長弾きしてみてほしいねーと終演後、友人の♪死♪さんが言っていた。納得。

Jan Erik Liljestrom (bass, vocals)
Nicklas Berg (guitars, vocals, mellotron)
Peter Nordin (drums)
Anna Sofi Dahlgren (mellotron, keyboards, cello, )

2008/01/12 初台Doors
01. From Within
02. Ricochet
03. The Great Unknown
04. King Oblivion
05. Where Solitude Remains
06. In For A Ride
07. A Sky About To Rain
08. Harvest
09. The Old Man & The Sea
10. Kiss of Life
11. SW4
12. 30 Pieces
13. This Far From The Sky
14. Gravity
encore 1
15. Nucleus
16. Sad Rain
encore 2
17. Karelia

2008/01/13 初台Doors
01. Monolith
02. Harvest
03. Groundbound
04. Hole
05. This Far From The Sky
06. Prince Of The Ocean
07. In For A Ride
08. The Great Unknown
09. Startdust And Sand
10. The Old Man & The Sea
11. King Oblivion
12 .30 Pieces
13. Ricochet
14. The Sun Absolute
15. Sad Rain
encore 1
16. Nucleus
17. Book Of Hours
encore 2
18. Kiss Of Life

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2008/01/15

黒田亜樹 丸ビル35コンサート

Marubiru01ピアニスト黒田亜樹さんがコーディネイトする、丸ビル35コンサートを1月13日の14時、15時に東京の丸の内、マルビル35Fで見た。定期的にやっている企画らしく、平日は別の若い女性ピアニストの皆様による演奏があるとのこと。1回30分の無料ミニ・ライブ2回という構成。

たまたまスウェーデンのロックバンド、ANEKDOTENを見に久々に上京していたので、見るチャンスがあった次第。

黒田さんを見るのは、2005年10月9日の大阪会館の無料ミニ・コンサート以来。それより少し前に神田佳子さんとのライブ「キース・エマーソンへの手紙」を見ているが、翌年の同企画は関西ではやらなかったので久々の観賞となった。昨年の年明けに大阪でやったビデオ鑑賞会にも招待していただいたが、体調不良で中座してしまったので、その後1曲弾いた演奏も聴けず仕舞いだった。

今回は別のコンサート、レコーディングなどで来日中のローマ歌劇場管弦楽団主席奏者カルロッタ・コンラード(ヴァイオリン)、ソニア・フォルメンティ(フルート)が特別出演。現代音楽を演奏しに来日した2人が唯一クラシックを演奏する機会らしい。

場所は東京駅前のマルビルの35Fにあるイベントスペースで、無料で誰でも気軽に見られる雰囲気。同階にあるレストランは昼食4千円~みたいな高級なところで、上がって来る客層も限られている感じ。観光客もけっこういた。見晴らしは素晴らしいが、全面窓で日射しが強く、暑いくらいだった。

黒田さん一行は時間になるも登場せず、司会者がJRの事故によりダイヤ遅延で約15分遅れることを告知。
そうこうしていると、同じ黒田さんファンのプログレ仲間きくまこさんが来たので、遅れていることを説明。きくまこさんも渋谷でテルミンを弾くパフォーマンスのライブ出演するために上京しており、これからすぐリハーサルなので、遅れているなら最後まで見られないかもとのこと。

「いつも間合いなしにいきなり座って弾き出す黒田さんのことだから、到着すると間髪を入れず椅子に座って弾き始めるんじゃない?」などと冗談を言っていたのだが、息を切らして登場するやいなや、コートだけを脱いで、一言遅れたことをお詫びして、他の2人が準備する間を持たせるためにと、本当にいきなり弾き始めた。うーむ。あいかわらずだ。

Marubiru02Marubiru03Marubiru04今回は前半はモーツァルト、後半はイタリアもの中心という構成。一般人が多いので、わかり易い選曲にしたとのこと。曲目は完全に失念。メロディは覚えているのだが、クラシック音痴なので。フルートのソニア・フォルメンティは陽気で、ヴァイオリンのカルロッタ・コンラードは寡黙な印象。だがミニライブを楽しんでいるのがわかる。演奏は素晴らしく、誰でも知っているメジャーな曲を一流どころで気軽に聴けたのは贅沢だった。
2曲ほど聴いたところで、きくまこさんはリハーサルの時間になってしまい退場。

第2部はヴィバルディなどイタリアものを中心に演奏。その合間に黒田さんが子供の観客のために日本の童謡などメジャーなリクエストに応じるを演奏する予定だたのだが、一般ピープルに混じって、あきらかに怪しい中年プログレ・ファンが複数いることを察知し、急遽企画を変更してELP版ナットロッカーをいつものごとく鍵盤を叩き割る勢いでハードに演奏。私は嬉しかったが一般客はドン引きしていたかも・・・。そんなに気をつかわず、子供たちの為に演奏してあげてよろしかったのに・・・とも感じたりして。

そういえば、昨年末のレッド・ツェッペリン再結成ライブの前座で、キース・エマーソンとイエスのクリス・スクワイア、アラン・ホワイト、フリーのサイモン・カークで『庶民のファンファーレ』を演奏したらしい。いつものごとくオルガンの逆さ弾きも披露したようだ。このメンツを「裏エイジア」と銘々したい。

満場の拍手で終了後、挨拶でもして帰ろうかと思ったが、他の知人の方達と話が弾んでいたようなので、そのまま退散。アネクドテンのライブへと向かった。

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2008/01/06

Camel を聴いた三が日

Camel01英国のロック・バンドCamelの1976-77年の全盛期のライブを収録したDVD、"Moondances"が発売され、90年代以降に自主レーベルCamel Productionsからリリースされたアルバム11種類(うち7種類がオフィシャル・ブート)が年末に紙ジャケで再発されたこともあって、正月三が日はキャメルばかり聴いて過ごした。やはり素晴らしい。

個人的に好きなのはやはり、77年のリチャード・シンクレア、メル・コリンズを加えたラインナップで、オリジナル・メンバーの演奏に加え、このラインナップでの演奏も収録した"A Live Record"は永遠の名盤と思う。DVD"Moondances"には同時期の映像である1977年9月22日のHippodromeにおけるライブが収録されていて、これが圧倒的。この映像および同時収録の76年Hammersmith Odeonの映像は、以前出たレア映像集、"Footage","Footage II"にほとんどが収録されているのだが、通して見られるのは嬉しい。

90年代の復活後以降に3度も来日しているのだが、なぜか最初の2回は見に行けず、2000年のツアーを9月4日に梅田ヒートビートで1回見ただけに終わってしまった。この頃はあまり熱心に聴いていなかったので、紙ジャケ再発に伴って、改めて聴き直してみたが、91年以降にリリースされたスタジオ盤の4作"Dust And Dreams"、"Harbour Of Tears"、"Rajaz"、 "A Nod And A Wink"全てが繊細で叙情的で本当に感動してしまった。最初の2回が見られなかったことが今更ながら悔やまれる。

1980年の来日公演が当時民放FMの『ゴールデン・ライブ・ステージ』でオンエアされ、それを聴いて好きになった遅いファンである。エア・チェックしたカセットテープを毎日のように聴いていたが、高校の修学旅行に持参した時、友人がつまずいてコーラをテープにかけてしまい、修復不能になってしまった。あのライブを録音して保管している方はおられないだろうか・・・。

創始者で唯一のオリジナル・メンバーのアンドリュー・ラティマー(Andrew Latimer)は、現在病床にあり、軽くない症状という話も伝わってきている。早期回復を祈りたい。

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