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2008/07/02

Van Der Graaf Generator 東京公演

Vdgg01ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーターの初来日東京公演最終日を6月30日、原宿アストロホールで見た。VDGGを見るのは2005年6月のイタリアはミラノとローマの2公演を見て以来3度目。

当初予定されていた3公演は、仕事と重なっていたことと、諸事情を考慮しても、あまりにも高い15,000円というチケットの価格設定に、今回はパスする方向だったのだが、最終日に追加公演が出て、仕事も休みだったし、見たい気持ちが強まったので、なんとかチケットを購入。当日、早割で公演チケットよりも5,000円安い飛行機で上京した。

会場は、2004年のDavid JacksonとPeter Hammillの公演会場でもあったところ。原宿は1991~92年頃に毎週のように今は無きルイードに東京パフォーマンスドールを見に通った懐かしい場所だが、今は全く行かなくなった場所。NHKの『東京カワイイTV』で久々に現状を見たりした。会場のとなりの天屋で天丼を食べてから入場の列に並ぶ。前3日とも観賞している友達に会う。徐々にハミルのコンディションは向上しているとのことで、期待が持てそうだった。

デヴィッド・ジャクソンが脱退したVDGGは残りの3人でバンドを続行していくことを決意し、トリオ編成でなんとニュー・アルバム"Trisector"までリリースしてしまった。これが新人バンドのように瑞々しくタイトでシャープでパワフルな内容だったので、本当に感動してしまった。結果的にオルガン、ドラム、ピアノ&ギターという変則的な楽器構成も斬新でありながら、分厚いサウンドを産むことに成功していた。

椅子を置いての収容数は100人強というところで、VDGGがやる会場としては、本当に小さなライブハウスである。ローマの巨大なテニスコートで見た時の感動とはまた別の生々しく間近で体験できる感動が味わえた。

19:05頃にメンバーが登場。いきなり1曲目の"Interference Patterns"の出だしからハミルがピアノをおもいっきりミスタッチしてしまい、グダグダになってしまう。ハミルのミスタッチはいつものことだが、なんか会場の雰囲気や音響も手伝って、一瞬だけアマチュア・バンドを見ている気になってしまった。バントンのオルガンとのポリリズムも、本当に間違ってズレているように聴こえてしまい、冷や汗が出る。うーむ。しかしおかまいなしにガンガンと歌っていくのはいつものハミルだ。

続く"(In The) Black Room"もちょっともたついてこなれていない感じ、イタリアでも演奏された曲だが、トリオだとちょっとだけ物足りない。3曲目の"Scotched Earth"から持ち直してきて、本領を発揮。ガイ・エヴァンス&ヒュー・バントンのリズム・セクションが素晴らしい。ヒューはいつものようにベースパートをペダルで演奏。ハミルの絶叫がからんで、凄いテンションで盛り上がった。VDGGではベスト3に入る位好きな曲なので大感動。

新譜からの2曲"Lifetime", "All That Before"が続く。ハミルはギターに持ち替えて、たっぷり時間をかけてチューニングをしてから演奏にかかった。が、やはりPAのバランスの問題上ちょっと小さな音で、物足りない気もした。ヒュー・バントンのオルガンは実にローランドの電気オルガンらしい音色で(自分も1979年発売のVK-1というのを持っているので、よくわかる)、ちょっとそこがシンプルでストレートすぎると感じている人もいるだろう。しかし私はこの音色が大好きで、たっぷりと堪能できた。

「長い曲をやるから、もう1度ギターをチューニングするよ」と言って、演奏されたのは、"Meurglys III (the Songwriter's Guild)"で、結果的に新譜を除けば、唯一2005年のツアーでは聴けなかった曲。最初にVDGGを聴き始めた頃によく聴いた曲で、途中のレゲエっぽいセクションのところとか大好きだったが、忠実に再現してくれた。

さらに新譜からラスト2曲の"Over The Hill", "(We Are) Not Here"が続く。新譜からの演奏はやはりマッチしていて、特にラスト2曲はドラマチックだった。

本編最後にハミルがヒューとガイをを紹介して、"The Childlike Faith in the Childhood's End"を演奏。イタリアで聞いたヴァージョンより生々しくて直接心に響いてくる。やはり小さな会場ならではの感動であろう。最後の絶叫で完全燃焼した感じ。

アンコールはリラックスしつつも熱い、前作からの"Nutter Alert"。ミラノでは曲順を間違えて演奏を飛ばして?しまい、ローマでしか聴けなかった曲。3人のアレンジでも違和感なく、ハードに展開していく感じがVDGGらしかった。

ライブ終了後、交流会があり、1人15秒位の持ち時間で1アイテムにサインしてもらえることとなった。うかつにも新譜を家に忘れてきてしまい、物販コーナーで国内盤で再度購入し、サインをしてもらう。3人に3年前にイタリアにも見に行ったこと伝えた。ヒューには彼のオルガン・ソロ・アルバムであるバッハの『コールドベルグ協奏曲』が素晴らしかったと言ったら、「あれは、バッハの新しい解釈なんだよ」と自信げに言っていた。CDも持参していたので、本当はこれにもぜひサインしてもらいたかったところだ。

終了後、友人達と軽くラーメン屋で打ち上げ。個人的にはイタリア公演のほうが総合的に感動したが、見て本当に良かったと思える公演だった。招聘元に感謝したい。


高額なチケットに関して、招聘元は日本ではマイナーなミュージシャンの招聘に非常に情熱的で、良心的な仕事をしていることを知っているので、いた仕方ない価格設定だったであろうことは十分に理解できる。別の招聘元の話だが、10年位昔のマイナー・プログレ・ミュージシャンの来日ラッシュ時の頃、お客は20人に満たないこともあり、赤字はあたりまえで、ミュージシャンもノーギャラで観光半分で行われていたものが多々あった。VDGGのようにマネージメントがしっかりしているところではそうはいかないだろう。

しかし、今回の価格設定がごく少数の年配のファンや熱狂的なリピーターのためだけにセッティングされ、これから何かを始めようという意気込みのある、新しく若いファン層をおおむね排除していたことも、結果的にみても現実であろう。この条件でなければ、来日公演実現は永久に不可能だったのだろうが、80年代のハミルの来日公演の頃のように、若者が詰め掛けるようなライブの実現が難しいのは、新譜の内容が若さに満ち溢れているだけに、非常に残念である。

Van Der Graaf Generator

Hugh Banton / Organ, Bass Pedal
Guy Evans / Drums
Peter Hammill / Vox, Guitar, Piano


Interference Patterns
(In the) Black Room
Scorched Earth
Lifetime
All That Before
Meurglys III (the Songwriter's Guild)
Over The Hill
(We Are) Not Here
The Childlike Faith In The Childhood's End

encore
Nutter Alert

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コメント

ごぶさたしております。
"Lifetime"は公演で聴いているうちに大好きになりました。ガイのイントロですぐわかりますので、始まると嬉しくなったり。
CDお渡ししたのは私だと思います。素人なので手際が悪かったかと思いますが、新譜のお買い上げありがとうございました。

投稿: ぱと | 2008/07/05 15:46

>ぱとさん
どうも大変ご無沙汰しております。
そうですか、CD物販されていたんですね。
ご挨拶もできずすみません。

新譜からの演奏は非常に良かったですね。
3年前の時のような懐メロ大会も嬉しかったですが、
今回の意気込みのあるライブのほうが若さがあって
エネルギッシュでした。

投稿: tangerine | 2008/07/06 14:46

東京カワイイTVは、来年4月からはTBSが「復活の日」の後継番組として放送するそうです。

投稿: 杉田平和町 | 2008/12/10 22:07

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