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2009/06/11

UKZ 大阪公演

Ukz01Eddie Jobson率いるUKZのジャパン・ツアーを名古屋に引き続いて6月10日、大阪BIG CATにて見ました。

名古屋の友人とプログレコーナーが充実している日本橋のディスクピアで待ち合わせていると、30年前の1979年5月31日の大阪厚生年金会館でUKを見ているという別の友人にも偶然出くわして、盛り上がりました。

会場に着くと、入場を待つ長蛇の列。名古屋BOTTOM LINEも200人近く入っていたと思いますが、BIG CATも約240席の椅子席に加えて、立ち見も出ていた模様で大変盛況。

1曲目はUKの79年の日本公演を収録したライブアルバムからのタイトル曲"Night After Night"でこれ以上のオープニングはないと思える最高の盛り上がりでスタート。名古屋は音響に不備が多々見られ、肝心のエディーのオープニングの早弾きフレーズで全く音が出ておらず、ボーカルも音が出ていなかったので出鼻をくじかれた感がありましたが、大阪はしっかりと聴き取れて安心。これは当時、最初に聴いた時は手弾きとは思えない速さで、シーケンサーで出していると思ったほど。

今でも海外に出かける時、飛行機に乗るとこの曲がいつも頭の中で再生される、軽快でワクワクする曲です。

メンバーはエディーがネットで公募したらしいですが、超絶テクニシャン揃いで、急ごしらえにしては安定した演奏。日本公演がデビュー・ギグのニューヨーク公演以来らしいですが、そうとは思えないほどのプロフェッショナルな仕事をしていました。ボーカルのアーロン君は、結果的にほとんどジョン・ウェットンの声域をカバーしなければならず、不利な立場ですが、しっかり役をこなしていたと思います。

続く"Alaska"もYAMAHA CS80の音を完全に再現した重圧すぎるサウンドで完璧に音の洪水を再現してて、圧倒されました。Alex MachacekはTerry Bozzioの久々の日本公演におけるOut Trioのバンド・リーダーとして見ましたが、ポストAllan Holdsworthと言える完璧な再現力でこの曲を演奏。

で、UK史上最もエキサイティングで難易度の高い曲、"The Only Thing She Needs"に続いて、もうこれで完璧にモトはとれたという感じ。サビのYAMAHA CP80のエレピ・サウンドも完璧に再現。そして、あのエレクトリック・ヴァイオリン・ソロでは新たに作ったのか、エディーが青いアクリルのヴァイオリンに持ち替えて、ソロを展開。もう言うことなしの最高のソロ。

UKが残した3枚のアルバムから1曲づつ終えたところで、エディー自身による30年もたってしまたけど、日本に戻ってくれて嬉しいというMC。名古屋では「30年前UK見に来てくれた人はいる?1,2,3,4,5人?」と数えてくれましたが、大阪では無し。続いて、ドラムのマルコがアコースティック・ギターの弦をドラム・スティックで叩いて奏でる"Houston"。まだ日本盤が出ていないせいか、UKZの本来のオリジナル曲はまだまだ馴染みが薄いようでした。

続くエディーのソロ・パートこそ、今回個人的に最も感動した瞬間でした。エディーのファースト・ソロである"ZINC / The Gree Album"収録の小品集から美しくもテクニカルな"Prelude"のピアノ・ソロが展開され、そのソロ・パートを聴いた元タンジェリン・ドリームのピーター・バウマンが、ぜひうちのレーベル(プライベート・ミュージック)のアルバムを創ってほしいと依頼され、製作したニュー・エイジ・ミュージック (今でいうヒーリング・ミュージックというやつ)の金字塔"Theme Of Secrets"からタイトル曲が例のピンポン玉が跳ねるシーケンス・サウンドと共に再現。何回も書いてますが、個人的に所有している約5千枚のCDのなかで1枚目に買ったCDでした。

そして、超名曲"Nostalgia"をヴァイオリンで奏でられて、号泣。最近自転車通勤しているのですが、いつもこの曲を鼻歌で歌っていたのでした。これほど心安らぐ曲を知りません。

そしてディストーションをかけたアグレッシヴなソロが展開され、エディーのソロ・パートは終了。続いて、ドラム&ベース、ギター、ドラムとメンバーのソロ・パートが長時間披露されました。個人的には不要なパートとも思えましたが、結成して間もないバンドにとって、試行錯誤する上で必要なパートなのでしょう。カバー曲ばかりやるしかない現状では、メンバーの力量を発揮する機会となっていたようです。

その後、"Tu-95"に続いて、名古屋では"日本では30年ぶりに披露する曲"とアナウンスされ、あの『ランデヴー602』のイントロが・・・。エイジアでジェフ・ダウンズのヴァージョン、ジョン・ウェットンのソロでジョン・ベックのヴァージョンを聴いたことがありますが、やはりオリジナルのエディー・ジョブソンが弾くヴァージョンは格別でした。間奏の超絶なピアノ・ソロも完璧に再現してて、うっとりしてしましました。UK最高のバラードです。

"Carrying No Cross"もテンション高すぎて、気力負けしそうなほど凄まじく、続くUKZオリジナルの"Radiation"でやっと本来のこのバンドの持ち味を発揮できたようです。しかしこの路線でオリジナル・アルバムを作製して、どれだけリスナーがついてくるか少々微妙な気もします。新生クリムゾンの"ProzaKc Blues"を彷彿とさせる感じ。

続いて本編ラストとしてUKのテーマ曲でもある『闇の住人』のイントロが奏でられ、場内の興奮は最高潮に達しました。アレックスのギター・ソロは名古屋のほうがよりホールズワース的だった気もしました。

スタンディング・オベーションでのアンコールは、何と伝説のクリスタル・ヴァイオリンを持ち出したエディーが、「この曲をやれて嬉しい」とアナウンスして、エディーがデヴィッド・クロスのパートにオーバー・ダヴィングしたキング・クリムゾンの1975年リリースのライブ・アルバム"USA"から『太陽と戦慄パート2』を披露。これ以上のアンコールは考えられないほどの盛り上がり・・・。

1981年の再結成以降、15回見たキング・クリムゾンのライブで必ず演奏された名曲ですが、オリジナルどおりのヴァイオリンをフューチャーした生演奏は初めて・・・。2004年にオリジナル・ヴァイオリニストのデヴィッド・クロス本人のライヴでも演奏されなかっただけに、本当にこれ以上の興奮はないというほど感動しました。

でもアンコールはそれだけで終わらず、続いて同じくヴァイオリン・ロックの金字塔"Caesar's Palace Blues"がプレイされ、終盤の超絶ヴァイオリン・ソロも30年前と全く遜色なく演奏されて、アドレナリンが噴出してしまいました。

さらにとどめを刺すかのように、UKと袂を分かってからのビル・ブラッフォードのアルバム、"One Of A Kind"から"Sahara Of Snow Part2"がプレイされて、びっくり。確かにUK第1期のブートレッグを聴くと、アルバム収録のデイヴ・スチュワートのヴァージョン以前にエディーによって演奏されていた曲なのでした。しかしなぜこの曲がアンコール・ラストに来たのか・・・。きっとエディーが気に入ってたのでしょう。エディーはファースト以降もブラッフォードにUKに残っていてほしかったのかもしれません。

Ukz02Ukz03b完全燃焼して、友人たちと喜びを分かち合い、サイン会の列に。UKZのシングルと最近紙ジャケで再発された"Theme Of Sedrets"にサインをいただきました。エディーに「Nostalgiaで涙が出ました。美しい曲です。Zincのグリーン・アルバムが再発されることを望んでいます。」と伝えると、「本当に?私もなんとか再発を試みているんだ。」と応えてくれました。

エディーはまだまだ若いし、再来日もきっとしてくれると思います。今後の活動が楽しみです。

UKZ / Osaka Big Cat / 2009/06/10

Eddie Jobson / Keyboards, Electric Violin
Aaron Lippert / Vocals, Guitar
Trey Gunn / 10-stringl Touch Guitar
Alex Machacek / Guitar
Marco Minnemann / Drums, Guitar


01.Night After Night
02.Alaska
03.The Only Thing She Needs
04.Houston
05.Eddie Solo
Prelude / Inner Secrets / Nostalgia / Vivaldi
06.Jacaranda (Trey & Marco)
07.Legend (Alex & Trey & Marco)
08.Marco Minnemann Drum Solo
09.Tu-95
10.Rendezvous 6:02
11.Carrying No Cross
12.Radiation
13.In the Dead of Night
encore
14.Larks' Tongues in Aspic Part 2
15.Caesar's Palace Blues
16.The Sahara of Snow Part 2

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コメント

感動です!
昨日、見に行っていた者ですが、貴殿のブログでの解説に、またまた感動です!
これほど、詳細に昨日のライブを語ったブログは、ないでしょう!!

バンドで、Night After Nightをやっていた学生時代を思い出し、泣いてます。

詳細な解説、ありがとうございました┏○ペコ

投稿: 駿駿 | 2009/06/11 17:47

> 駿駿さん

どうもコメントありがとうございます。
昨日のライブは本当に感動しましたね。
今頃は東京の最終公演で盛り上がっているでしょう。

バンドで"Night After Night"されていたのですね。昔キーボード・マガジンにこの曲のスコアが載った号が出て、弾けもしないのに買ってしまった覚えがあります。

この曲を、今の時代に本人の演奏で聴けたというのは、本当に夢のような奇跡の出来事でしたねー。

投稿: tangerine | 2009/06/11 20:38

はじめまして!
自分は、東京の最終日に行きました。
いまだに「The Only Thing She Needs」が
頭の中で流れています。
名古屋、大阪も大盛況だったのですね。こちらのブログ記事を読ませていただいて、あの興奮がよみがえってきました。
「Theme Of Secrets」プライヴェート・ミュージックだし、ヴァイオリンを弾いていないし、ということでパスしてしまったのですが、「聴こう!」と決心しました。TBさせてください。よろしくお願いします。

投稿: べんしま | 2009/06/20 19:36

>べんしまさん

はじめまして。どうもコメントありがとうございます!こちらもトラックバックさせていただきました。
最終日も盛り上がったようで、今回のツアーは大成功だったようですね。UKで一番カッコイイ曲、"The Only Thing She Needs"を生で聴けるとは思いませんでした。もう言うことなしでしたね。
ヴァイオリンをされているのですね。エディのクリスタル・ヴァイオリンを見られただけで大満足でした。"Nostalgia"は本当に名曲だと思います。
エディはカーヴド・エア時代に造ったクリスタル・ヴァイオリンのほか、グリーン・アルバムの時のグリーン・ヴァイオリン、その後出す予定だったピンク・アルバムのためのピンク・ヴァイオリンを造った(ピンクはキーボード・マガジンに写真が載ったことがありました。)ようですが、今回メインに使ったブルーのヴァイオリンはいつ造ったのでしょうねー。

"Theme Of Secrets"はヴァイオリンなしだし、全編シンクラヴィアのみで作っているようですが、ヨーロッパの雰囲気が出た美しいアルバムだと思います。紙ジャケで再発されるまでに23年もかかってしまいましたが、ぜひ聴いてみてくださいませ。

投稿: tangerine | 2009/06/21 16:28

グリーン・アルバムのあとに、ピンク・アルバムを出す予定で、ヴァイオリンまで作っていたなんて…。

 初めて知りました。!(゚0゚)!

ピンクのヴァイオリンも気になるけど、そのアルバム用に作った曲もどうしちゃったのか気になりますね。
東京の最終日では、使用したキーボードのオークションがありました。ヴァイオリンのオークションがあったら間違いなく参加していました。

投稿: べんしま | 2009/06/21 22:01

>べんしまさん

どうもです。ピンク・アルバム、聴いてみたかったですね。グリーンがコケてしまって、しかし元タンジェリン・ドリームのピーター・バウマンがグリーンのインスト3小品を気に入って、"Theme Of Secrets"の製作に至ったようです。何曲かはピンクが元ネタになっているのかもしれません。

キーボードのオークション、日本で用意したものを処分して予算に計上したのでしょうか。誰も損をしない、良い方法ですね。ヴァイオリンはきっとエディが持参しただろうから、オークションは無理かもしれませんが、クリスタル・ヴァイオリンはぜひ欲しい一品ですねー。

投稿: tangerine | 2009/06/22 20:53

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