Steve Hackett / Out Of The Tunnel's Mouth
スティーヴ・ハケットの新作、"Out Of The Tunnel's Mouth"をライブ・ボーナス・ディスク付きスペシャル・エディションで購入。前作"Tribute"がアコースティック・ギターによるクラシックのカバーだったので、"Wild Orchids "以来約4年ぶりのオリジナル・アルバム。
ライナーノーツによると、ハケット自身が数年前に見た夢 (巨大な蒸気機関が居間に乱入してきて床が崩れるかと思った)がタイトルの由来となった模様。
長年連れ添ったKim Poorと一昨年離婚して、ウェブサイトも一新し、新たな出発を切った意欲を感じる新作だった。
1曲目のイントロからいきなり"Supper's Ready"のオルゴールのフレーズが出てきたりして、おっと思った。ボーカル・ナンバー中心で、ゆったりとした哀愁漂う雰囲気の中にも不気味な要素が入っているハケットが得意とする音楽や、プログレ・ギターが炸裂するハードなナンバーも入っていて、やはりハケットならではの何でもありの世界が展開する。
近作のパートナーであるキーボードのロジャー・キングが全曲に参加している他、実弟ジョン・ハケットも2曲で参加。何とアンソニー・フィリップスとクリス・スクワイアも2曲で参加していて、かなりゴージャス。総勢13人のミュージシャンが参加している。ドラムスのクレジットがないので、打ち込みかもしれない。
ボーナス・ディスクは2009年3月のイタリア公演のライブ・テイクが5曲と、スタジオ曲が1曲収録されている。ライブはジェネシス時代が 4曲とファーストの"A Tower Struck Down"で、ジェネシスの曲はよくある抜粋テイクでなく、フル・バンドで完全に演奏していて嬉しい。"Blood On The Rooftops"が素晴らしい。"Wind And Wuthering"の中で一番好きな曲。
8月20,22日には5回目の来日公演が実現する。しかも、過去の企画ものやアコースティック・ユニットではなく、フル・エレクトリック・バンドでの来日で、今度こそ"Spectral Mornings"が生で聴くことができるんじゃないかと期待している。
http://thenoisehomepage.cocolog-nifty.com/small_talk/2006/11/post_99f7.html
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コメント
こんにちは。私も昨年11月にHackettのサイトから購入し、一時はこれしか聴いておりませんでした。気合いの入った、とてもいい作品ですね。私個人は、少々、贔屓目に見ている感もありますが、いえいえどうして、Voyage以降、クオリティの高い作品を発表し続けるこの人の意欲に脱帽しております。
ただ、今回気になったのはあまりに全体がDarkで、聴き疲れしたことは確かです。ここ数年の作品で見るならば、Strutton GroundとかBrand Newのようなもう少し軽快なナンバーも欲しかったなあ、と思っています。よくばりでしょうかね。
そういえば2年ほど前から制作が進められているChris Squireとのジョイントアルバムが完成したとか。法的な拘束があるのか、それともSquireの活動に影響されるものなのか、なかなかアルバムリリースに結び付きませんが、こちらもとっても楽しみにしております。あ、その前(?)に来日しますね!私もHackettの来日公演はすべて見ていますが、裏切られたことはありません。どれも素晴らしい内容でした、
投稿: おじりーん | 2010/06/01 07:57
>おじりーんさん
コメントありがとうございます。ハケットのサイトで直買いされていたんですね。凄い。ダークでヘヴィな内容ですが、聴き応えありますね。
"Last Train To Istanbul"とか中近東フレーズも加わってバラエティに富んでいると思います。
私は"Guitar Noir"のラスト曲"Tristesse"が大好きで、昔ドイツの片田舎に滞在していた時、真冬の夕方に近くの湖のほとりでイヤホンで聴いて哀愁に浸っていたことがあります。
ああいう感じのハケットの泣きのギターが大好きです。
クリスとのジョイント・アルバム楽しみですね。
ぜひリリースしてほしいですねー。
来日公演も川崎・日比谷とチケット買いました。楽しみです。
投稿: tangerine | 2010/06/01 23:44
たて続けでスミマセン。
おおお!こんなところでGuitar Noirのタイトルが出てくるなんて!ずっとフォローしているHackettリスナーでなければこのアルバムをピックアップしてくれることはないですね。
私はすべてのアルバムを買い求めていたものの、Cured以降はHackettがどこに向かおうとしているのか分からずじまいでした。いつか音楽シーンから消えてしまうのではないのか・・・と思ったほどです。そんな折にリリースされたのがこのGuitar Noirでした。カンドーしちゃったなあ、あのときは。
Tristesseも好きですが、Take These PearlsやSierra Quemadaが私は大好きです。
それにしても・・・GTRが1986年ですから、1993年のGuitar Noirまで7年間。クラシックアルバムやライヴアルバムはあったものの、本人にとっては本当に地味で長いトンネルだったのではなかったでしょうか。私はこのGuitar Noirこそ、現在のHackettに至る第一歩ではなかったか、と思います。
その7年って、ジェネシスがセールス面で絶頂期を迎えたことと対照的でした。それが今は・・・ソロ制作やライヴの充実度から言えば、Hackettはジェネシスのほか3人と完全に立場を逆にしちゃいましたね。浮き沈みの激しいミュージシャンライフといえど、今のような形勢逆転など、だれも予想しなかったにちがいありません。
そんなことを考えながら8月のライヴを聴きます。ホント、Every DayやSpectral Morningsのイントロが流れ出したら、びぇんびぇん泣いちゃうかもしれませんです、はい。
投稿: おじりーん | 2010/06/02 00:12
>おじりーんさん
ハケットのソロ活動、'82年のHighly Strungから11年もたっての純粋なエレクトリック・ソロ・アルバムとして'93年の"Guitar Noir"はやはり重要なターニング・ポイントだったのですね。
その後、"Dark Town"時は"Guitar Wars"で来てくれたけど、"To Watch The Storms","Wild Orchids"のツアーでは来なかったので、今回のエレクトリック・バンドには本当に期待しています。待った甲斐があったといえるライブになることを信じたいですねー。
投稿: tangerine | 2010/06/03 22:06