« アンジェラ・アキ 里帰りライブ アスティとくしま 2010/08/17 | トップページ | Progressive Rock Fes 2010 日比谷野外大音楽堂 »

2010/08/28

Steve Hackett 川崎 クラブチッタ 2010/08/20

Citta01

width="150" height="112" border="0" style="float: left; margin: 0px 5px 5px 0px;" />Steve Hackett のフル・エレクトリック・バンドとしての来日公演を、8月20日に川崎のクラブチッタ、22日に日比谷野外大音楽堂で開催されたProgressive Rock Fesで見た。
スティーブ・ハケットは1996年のジョン・ウェットン、イアン・マクドナルドらとの初来日を3回、2002年の今回と同じアコースティック・トリオでの来日をお台場のTLGで1回、2003年にジョン・ポール・ジョーンズらと共演した企画ライブ"GUITAR WARS"を1回、2006年11月27日の大阪ブルーノートでのアコースティック・トリオでのライブを2ステージ見ていて、今回が8、9回目。

ハケットへの想いは前回来日時のブログに書いているので、割愛するが、前回の感想の最後に書いているとおり、どうしてもフル・エレクトリック・バンドでの来日を実現してほしい、"Spectral Mornings"を生で聴きたい!という想いが遂に実現したので感慨もひとしお。

初めてスティーブ・ハケットを聴いたのは、1980年初頭にNHK FMで深夜に放送された1979年8月26日のレディング・フェスティバルのライブで、放送されたのは
Optigan
A Tower Struck Down
Spectral Mornings
Clocks
I Know What I Like
の5曲 (テープ操作をしているだけの"Optigan"は謎だったが、最近ようやくNTSCフォーマットでも発売された78年11月のドイツでのスタジオ・ライブDVDで、何をやっているのかが見られて感動) あまりの素晴らしさにエア・チェックしたカセットテープをしばらく繰り返して聴き込んだ。いつか生で、"Spectral Mornings"を聴くのが夢だった。

しかし、過去4回の来日はいずれも企画バンドものや、アコースティック・ユニットでの変則的な来日で、本来のエレクトリック・セットを堪能することができず、ハケットが見られて嬉しい反面、複雑な想いがあった。そして初来日から14年目にして、エレクトリック・バンドでの来日が実現。期待は高まった。

Hackettsleeve01

Hackettsleeve02

午後に大阪を新幹線で出発し、新横浜経由で川崎に到着。クラブチッタは1988年にPeter Hammillを見に行ったのが最初で、最後に見た海外ミュージシャンのコンサートは1994年のMarillionだった。しかしアイドル・グループ、 non nonのライブを1996年の1月に見ているので、この会場も14年ぶり。

発売日に買って、K列とやや後ろめだったが、中央で見やすい席だった。事前に最近のツアーのセットリストは見なかったので、何から始まるか、期待が高まった。

最新作の"Out Of The Tunnel's Mouth"をモチーフにした蒸気機関車のSEが鳴って、ハケット・バンド登場。1曲目はなんと"Everyday"だ!もうこの"Spectral Mornings"のオープニング曲だけで、目頭が熱くなってくる。遂にこれが聴けた!そして暗記するほど聴いたあの神業のようなアルペジオと、天空に響くようなソロが、生で演奏される・・・。もうこれ以上のものはない。

Steve Hackett / Guitars, Vocals, Harmonica
Gary O'Toole / Drums, Vocals
Roger King / Keyboards
Rob Townsend / Sax, Flute, Vocals
Amanda Lehmann / Guitars, Vocals
Lee Pomeroy / Bass, Stick


キーボードはいつものRoger Kingで、サックスのRob Townsendと見栄えのする女性ギタリストAmanda Lehmannがメンバーにおり、サウンドは凄く厚くなっている。ベースはNick Beggsが別の仕事で不参加で、It BitesのLee Pomeroyがヘルプで参加していた。08年のドイツのローレライのプログレ・フェスでも彼をIt Bitesで見ている。ドラムスのGary O'Tooleは数曲でリード・ボーカルも担当。

新作から2曲続き、本ライブがノスタルジックなものでなく、最新アルバムのプロモーション・ツアー続行中であることをアピール。続いてファーストの1曲目"Ace Of Wands"。アコースティック・ユニットのライブで何度か演奏されたものだが、本来のエレクトリック・ヴァージョンで聴くのは格別。インストながら随所に聴きどころがあり、練りに練られた構成の曲。

MCで、日本に戻ってこられたことへの感謝と、いつも初日は時差ボケで昏睡状態になるけど、今日は大丈夫というようなことを言って、メンバー紹介。"Sprpentine Song"がプレイされる。

つづいて、いきなり"Spectral Morning"と曲紹介をして、エフェクトをめいっぱいかけた流れるような幻想的なギターのみのイントロなしで『虹色の朝』がプレイされる。てっきり終盤かアンコールに演奏されるものと思い込んでいたので、心の準備が全くできておらず、焦る。ギターのみのイントロは欲しかった。なかなか入り込められない。なおかつギターの音がエフェクト控えめでやたら生っぽい。しかし、中盤から心が盛り上がってきて、「ああ、ついに聴けたんだな」とこみ上げてくるものがあった。

アコースティック・セットでは新作のボーナス・ディスクのライブ・トラックにも入っていたGenesisの"Blood On The Rooftops"のフル・ヴァージョンも演奏。ドラムのGary O'Tooleのボーカルが素晴らしい。 "Wind And Wuthering"で一番好きな曲。同じくボーナス・ディスクに入っていた『幻惑のブロードウェイ』の"Fly On A Windshield"~"Broadway Melody Of 1974"もプレイ。メチャクチャかっこ良い。

「ここで失礼して、ブルースを1曲」と紹介して、新作からバリバリのブルース・チューン"Still Waters"を演奏。ブルースもクラシックもメタルもプログレも、本当に何でもやれてしまう人なのだ。

本編最後の"Los Endos"は96年来日時や"Guitar Wars"でも演奏されたヴァージョンで、"Till We Have Faces"収録の"Myopia"をちょっと演奏してのヴァージョン。ハケット流のアレンジは余計なブレイクとかが多く、ジェネシスのヴァージョンのほうが壮大な大団円を演出している感じがする。トニー・バンクスの不在は大きい。
(8月28日2:50頃、FM802の伊藤政則DJ"ROCK ON"で、本テイクがオン・エアされたが、録音しそこねた。無念!)

スタンディング・オベーションの中のアンコール1曲目はやはり新作のボーナスCD収録の"Firth Of Fifth"でスタジオ版や1973年のツアー・ヴァージョンと同じく完全なピアノのイントロダクション付きで超感動。後半のギター・ソロは本当にこれ以上のものはないという名演。

割れんばかりの拍手の中、コツコツコツという"Clocks"のイントロの時計の音をパーカッションで奏で始め、観客も合わせて手拍子をする。興奮の絶頂のような演奏。長いドラム・ソロの後、もの凄いブレイクで終了。完全燃焼した。

ハケットの素晴らしいバンドを日本に呼んでくれた招聘元に心から感謝。

8月22日の日比谷野音に続く。

01. Everyday
02. Fire On The Moon
03. Emerald And Ash
04. Ace Of Wands
05. Serpentine Song
06. Spectral Mornings
07. Walking Away From Rainbows
08. Blood On The Rooftops
09. Fly On A Windshield
10. Broadway Melody Of 1974
11. Sleepers
12. Still Waters
13. Los Endos
encore
14. Firth Of Fifth
15. Clocks

1, 6, 15 from Spectral Mornings (1979)
2, 3, 11, 12 from Out Of The Tunnel's Mouth (2009)
4 from Voyage Of The Acolyte (1975)
5 from To Watch The Srorm (2003)
7 from Guitar Noir (1993)
8 from Wind And Wuthering (Genesis) (1977)
9, 10 from The Lamb Lies Down On Broadway (Genesis) (1974)
13 from A Trick Of The Tail (Genesis) (1976)
14 from Selling England By The Pound (1973)

|

« アンジェラ・アキ 里帰りライブ アスティとくしま 2010/08/17 | トップページ | Progressive Rock Fes 2010 日比谷野外大音楽堂 »

コメント

 こんにちは、ご無沙汰しておりました。もうすでにtangerineさんがすべてを書いていただいておりますので、なにも言うことは思いつきません。私も……感涙でした。OpeningのEvery Dayは日本向けセットでしたね。この1年、欧米のどのライヴでもFire on the Moonからのスタートですので、Steve本人も意識してこの曲を持ってきたのでしょう。意表を突かれた上に、素晴らしい演奏が重なって私も胸に込み上げるものがものがありました。

 全体の厚みとか高揚感は& His Friends(1996年)の方が上かな、とは思ったものの、そこはHackett単独のバンド来日。やっぱり勢いやらSteve自身の思いが異なるのか、今回の演奏もまた他には代え難いエモーショナルなものとなりました。

 でも、人間というのは欲張りなものですね。Every DayやSpectral Morningsで感じた切ないほど甘美な世界を何度でも味わいたいと思いますし、(私の場合は)Genesisのナンバーではなく、Steve自身の近作からももっともっと聴きたい!またその日を心待ちにして聴き続けていこうかなと思っています。8月20日のCittaは、本当に信じられないほどセンチメンタルな一夜でした。ディスクを聴いたり見たりだけではこうはいきませんもんね。これだからライヴ参戦はやめられません!ありがとうございました。

投稿: おじりーん | 2010/08/28 15:00

>おじりーんさん

どうもコメントありがとうございます。そちらもめいっぱい感動されたようで、何よりです。

"Every Day"日本向けに特別にやってくれたんですね。やってくれて本当に良かった!やはり、20日の公演が今まで見たなかで一番感動しました。「このハケットが見たかったんだ!」という想いでした。"Spectral Mornings"はなぜか野音ではやらなかったので、本当に貴重な1度きりの人生の想い出となるライブでした。

これを機に、新譜が出るたびにエレクトリック・バンドで来日してほしいものですね。

投稿: tangerine | 2010/08/29 02:04

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Steve Hackett 川崎 クラブチッタ 2010/08/20:

« アンジェラ・アキ 里帰りライブ アスティとくしま 2010/08/17 | トップページ | Progressive Rock Fes 2010 日比谷野外大音楽堂 »