UK 大阪公演 なんばHatch 2012年6月19日
3人組UKの33年ぶりの再結成大阪公演を6月19日に、なんばHatchで見た。昨年4月の川崎クラブチッタ公演に続いて2回目。
http://thenoisehomepage.cocolog-nifty.com/small_talk/2011/04/uk-2011416-f274.html
http://thenoisehomepage.cocolog-nifty.com/small_talk/2009/06/ukz-ee48.html
http://thenoisehomepage.cocolog-nifty.com/small_talk/2010/06/eddie-jobson-an.html
エディー・ジョブソンのUKZ, UZPの来日公演に続き、2011年にはマルコ・ミンネマン、アレックス・マカチェックというUKZのメンバーにジョン・ウェットンを加えたUK名義のライブを見ることができ、ジョブソンの完全復活をしかと確認し、思い残すことはないというほどの満足感を得た。
しかし、多くの日本のファンにとって、UKとはテリー・ボジオを加えた3人での1979年の伝説の来日公演であり、それを収録したライブ・アルバム、"Night After Night"であることは皆が認めるところであろう。それが実現したのは奇跡に近い。
公式ライブアルバムに飽き足らず、数多くの日本公演のブートレッグを聴いて、完璧な演奏力にため息をついた世代が、いかにこの3人での再来日を待ち望んでいたかは、今回のパニックのようなチケット争奪戦からも伺えた。
クラブチッタでのチケットは抽選を外れ続け、その後まさかの大阪公演の発表があり、ギリギリ間に合う形で後ろから3列目の座席チケットを買うことができた。
その後5月に観光でプラハを訪れた時、町中にUKの公演ポスターが貼ってあったのを見て、そのツアーの規模の大きさを実感。しかしプラハなど一部公演ではボジオが参加しない4人編成だった模様。
公演当日、大阪に台風直撃の中、地下鉄で会場に向かう。中止にならなくて良かったが、終演後の新幹線は運行中止になっており、地方から来た多くの人が足止めをくうことになった。
会場で名古屋や京都から来た友人達とロビーで談笑しながら期待を高め、コンサートが始まるのを待った。
開演前からUKコールの手拍子が始まり、ライブ・アルバムと同じ展開となる。Perfumeを彷彿とさせる感じ。
もうやる曲はだいたい分かっているので、ボジオを加えたアンサンブルに奇跡が起こるかが今回のテーマである。
ボジオはジェフ・ベックとの来日以降、見るのは6回目で、近年のAnd Forest Music招聘によるライブでの要塞のようなドラム・セットによる「パーカッション・ソロ」的な展開をどうUKに持ち込むのかが興味深かった。
ジョブソンは過去3回と同じくステージ左手で、シンプルなキーボード編成。真ん中にジョン・ウェットン。そしてボジオのいつもの要塞ドラム。
1曲目の"Alaska"からいつものあのジョブソンのあの音が再現されて嬉しい。"Time To Kill"に入る直前で"Night After Night"が始まる。あの早弾きアルペジオが2フレーズ目で音が出ず、ちょっと残念。UKZの名古屋公演でもこの肝心のイントロで音が出ず、悔しい思いをした。今回はジョブソンのスイッチング・ミスなのか、あちこちで音が出ないミスが起こった。
しかし"Night After Night"をトリオで聴けるのは人生最高の体験だった。ボジオのドラムは期待どおりにドコスカとうるさくて素晴らしい。ウェットンの声の調子も上々だった。
"Nothing To Lose"は去年見たクラブチッタ公演のアンコールだったもの。あのクリスタル・ヴァイオリンも登場して大歓声。
終了後、今回のこのプロジェクトのリーダーであるジョブソンがMC。33年ぶりの大阪公演が実現して嬉しいと延べ、ワールド・ツアーをほぼ全て見ている追っかけファンが来ていることへの感謝を述べた。さらに30周年を記念しての演奏で"Thirty Years"をやるとコメント。
"Rendezvous 602"は前回は2人だけの演奏だったのでボジオの繊細なハイハット&シンバルさばきで3人で聴けたのは貴重。
UKの曲で一番エレガントで、これ以上完成されたキーボード・ソロを私は知らないという感じ。すべてライブ盤に忠実。
ASIAやジョン・ウェットンのソロ・ライブでも聴いてきた曲だけど、今回のヴァージョンがやはり最高。
"Carrying No Cross"はセカンドの大作だけどひたすら重苦しい曲であまり聴かない。79年公演のブートレッグを聴くと完璧に再現していてびっくりしたが、今回も忠実に再現。インスト部分はジョブソン&ボジオは大活躍だけど、ウェットンは適当な感じ。
終了後はウェットンのMC、お約束の「キミタチ、サイコダヨ」も。"Amazing Gentleman"といってジョブソンのソロ・コーナーを紹介。
ジョブソンはUKZの公演時のように"ZINC / The Gree Album"収録の"Prelude"や"Theme Of Secrets"のタイトル曲、ヴァイオリンに持ち替えてZINCの"Nostalgia"などを折込みつつ、16分以上のソロを展開。弦が切れていた。個人的にはZINCの曲がUKZ以来再び聴けて大満足。
続くテリー・ボジオのソロは12分にも及んだが、近年の来日公演と同様「パーカッション・ソロ」的なアプローチのものだった。繊細だけど、今回はもうちょっとダイナミズム重視のロック・ドラムに比重を置いても良かったかなとも思う。
ボジオのソロ終了後、ジョブソンが79年の来日公演時に2曲新曲を用意して、1曲は"Night After Night"で、もう1曲の"As Long As You Want Me Here"は先日東京で33年ぶりにプレイし、今からまたやりますとMC。ジョブソンのピアノとウェットンのボーカルの2人のみのシンプルな演奏。終盤は観客にコーラスを求めた。
"Danger Money"は初来日公演のオープニング曲。大仰にも程があるというイントロがオープニングにマッチしていたが、今回は終盤の演奏。ボジオのドコスカしたドラムがとにかくマッチしている。というかこの曲はボジオのドラムあっての曲と再認識。
ウェットンのベース・ソロの部分はジョブソンがベース・シンセで弾いていた。今回はタウラス・ベース・ペダルを使っていなかったのもあり、ジョブソンがベース・パートをヘルプするシーンが随所で見られた。
"In The Dead Of Night~By The Light Of Day~Presto Vivace And Reprise"はギター無しヴァージョンを生で聴くのは初めて。来日公演に忠実なキーボードによるギター代替ソロ。しかしソロの後にジョブソンが拍子を間違えたのかグダグダになってしまっていた。ボーカルが入るところから正常に戻る。"By The LIght Of Day"の重圧なシンセ・ソロが始まって、途中でボジオがダダダダっと入り込んでくる瞬間が大好き。79年のブートで死ぬほど聴きまくった。ガラス細工の結晶のような"Presto Vivache"はボジオのドラムで聴くと重厚。リプライズで大団円。鳴り止まない全員スタンディングでのUKアンコール。
"Caesar's Palace Blues"オープニングでヴァイオリンの音が出ず、またまた出鼻を挫かれた感じ。リード楽器が最初から最後までヴァイオリンひとつだけという珍しい編成のこの曲を本来のトリオ編成で聴けて嬉しい。サビのコーラス"Caesar's Palace Blues!"を客が合唱。ヴァイオリン・ソロは火が出るように凄い。
とどめのアンコール2曲目は、プログレ史上一番疾走感があると思う"The Only Thing She Needs"。何度聴いても凄いし、そして何度も書くけどボジオのドラムで聴くと、とにかく格別。スタンディング・オベーションのままライブ終了。
自分のプロジェクトから再度UKの体裁を成すまでにじっくりと準備を積み重ね、満を持してトリオでのワールド・ツアーを行ってくれたエディー・ジョブソンには本当に感謝。引き受けてくれたウェットン&ボジオにも心から感謝。
Eddie Jobson : Keyboard & Violin
John Wetton : Bass & Vocal
Terry Bozzio : Drums & Percussion
June 19, 2012
Namba Hatch
Osaka Japan
01 Alaska
02 Night After Night
03 Nothing To Lose
04 Thirty Years
05 Rendezvous 6:02
06 Carrying No Cross
07 Eddie Jobson Solo
08 Terry Bozzio Solo
09 As Long As You Want Me Here
10 Danger Money
11 In The Dead Of Night
By The Light Of Day
Presto Vivace And Reprise
encore
12 Caesar's Palace Blues
13 The Only Thing She Needs
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