The Beach Boys 大阪市中央体育館 2012年8月17日
ザ・ビーチ・ボーイズの大阪公演を8月17日に大阪市中央体育館で見ました。ビーチ・ボーイズを見るのは初めて。ブライアン・ウィルソンの単独公演は1999年、2002年、2005年と3回見ていましたが、まさかブライアンの入ったビーチ・ボーイズを生きているうちに見られるとは夢にも思いませんでした。
ブライアン・ウィルソンの2005年の"SMiLE"ツアー大阪公演の感想はこちら。
http://thenoisehomepage.cocolog-nifty.com/small_talk/2005/02/_.html
しかし、去年の奇跡の"SMiLE"の発売、続く存命メンバーが一堂に会した"That's Why God Made The Radio"の発表により、どんなことが起こってもおかしくはない状態だったといえるでしょう。
1991年のブライアン抜きでの武道館公演はNHKで放送され、ベータマックスに録画したものが実家に残っています。それ以前の江ノ島のジャパン・ジャムなどはおぼろげに記憶がある程度。
前日の千葉公演で、先着100名にサイン入りパンフレットを定価2,500+2,000円の追加価格で販売したとのことで、とりあえず開場の2時間前に現地に到着。自宅から地下鉄で1本で行けるので20分程で着きました。既に物販の列に70人くらいが並んでいて、1時間待機したところで物販開始。
サイン入りの数は少なく、1人1冊のみの販売にさせてもらう旨と、途中で売り切れる可能性があるとのアナウンス。100冊なら何とか買えると思っていたけど、替えたのは最初の30人弱ほどで、私の15人程前で売り切れ。通常のパンフを買ったが、これも開演前に売り切れてしまったとのことです。
パンフレットは豪華な執筆人によるレビューや再結成ツアーの曲目解説、日本盤シングルのリストや「おそ松くん」のイラストまで登場する日本独自の非常に内容の濃い、96ページもある豪華な装丁だったのでもっと印刷するべきだったと思いますが、これは当初サマー・ソニックにて招聘するつもりが単独になったので、印刷数が少ないままになったという噂です。セット・リストが2部構成でない短縮ヴァージョンだったのも、フェス向けセットリストだったからとの噂。
会場に入ると、アリーナ21列目のど真ん中という最高に見やすい席で感激。客層はやはり中高年ばかりだけど、ブライアン・ウィルソンのソロやビーチ・ボーイズの本質からずれるけど話題性の高い"Pet Sounds""SMiLE"から入ったと思われる若い人も結構いました。
19時よりスペシャル・ゲストのGerry BeckleyとDewey BunnellによるAmericaのステージがスタート。枯れた感じかと思っていたら、現役感バリバリの覇気に溢れた水準の高いステージでした。70年代もビーチ・ボーイズの前座を多く務めていたとのこと。ママス&パパスの"Carifornia Dreamin'"約1時間で『名前のない馬』で終了。
America Setlist
01. Tin Man
02. You Can Do Magic
03. Don't Cross The River
04. Daisey Jane
05. I Need You
06. Ventura Highway
07. Cornwall Blank / Hollywood
08. Woman Tonight
09. Only In Your Heart
10. Carifornia Dreamin'
11. Lonley People(with Christopher Cross)
12. Sandman
13. Sister Golden Hair
14. A Horse With No Name
アメリカの終了後、セットチェンジのために30分の休憩に入るとのアナウンス。既に20時を回っていたので、観客から「終演がそんなに遅くなるのか」とのどよめきが起きました。遠方から来た人は終電とか気にしないといけなそうで気の毒です。
20時半になっていよいよ開演。ブライアンのソロ・ツアーの音楽監督でもおなじみのJeffrey FoskettやWondermintsのメンバーを中心とする、10人編成のバック・バンドが演奏を始め、ビーチ・ボーイズのメンバーを1人づつ紹介して登場させるという趣向。アリーナの観客は早くも総立ち。年配者の多いこの手のコンサートはほとんど座って見ることが多かったので、これにはびっくり。いかに期待が大きかったかを物語ります。やはりブライアン・ウィルソンへの歓声が格別に高かったです。
セットリストは下記のとおり
Setlist
01. Do It Again
02. Little Honda
03. Catch A Wave
04. Hawaii
05. Don't Back Down
06. Surfin' Safari
07. Surfer Girl
08.Getcha Back
09. Don't Worry Baby
10. Little Deuce Coupe
11. 409
12. Shut Down
13. I Get Around
14. That's Why God Made The Radio
15. Sail On Sailor
16. Heroes And Villains
17. Isn't It Time
18. Why Do Fools Fall In Love (Frankie Lymon & The Teenagers cover)
19. When I Grow Up (To Be A Man)
20. Cotton Fields (Lead Belly cover)
21. Forever
22. God Only Knows
23. All This Is That
24. Sloop John B
25. Wouldn't It Be Nice
26. Good Vibrations
27. Then I Kissed Her (The Crystals cover)
28. California Girls
29.All Summer Long
30. Help Me, Rhonda
31. Rock & Roll Music (Chuck Berry cover)
32.Do You Wanna Dance? (Bobby Freeman cover)
33. Surfin' USA
encore
34. Kokomo
35. Barbara Ann (The Regents cover)
36. Fun, Fun, Fun
ほとんど継ぎ目なくメドレー形式でたたみ掛けるように演奏され、息つく暇もない盛り上がり状態が続きました。コーラスワークがやはり素晴らしい。主役はやはりマイク・ラブで、とても71歳とは思えないバイタリティでステージ狭しと歩きまわり歌いまくります。
各人ソロをとったけど、ブルース・ジョンストンはソロで歌わず。声の調子が良くなかったという噂もあり。
ブライアンはステージ左手でキーボードの前に座り、いつもの無表情を貫いて、黙々とコーラスをこなし、弾いてない時は手ぶら状態のポジションでピクリとも動かずでした。「体調が悪そう」との声もあったようですが、ソロを3回見ている目からは、無理な愛想を振りまいたり、周りの目を気にしたりしない自然体のいつものブライアンでいるだけで、問題はなさそうでした。
"Surfin' Safari"まで一気に突っ走った後にようマイクから「ドウモアリガトウゴザイマース!」の挨拶。「ビーチ・ボーイズの50周年記念ツアーにようこそ。次はいとこのブライアンが会場の全てのレディーのために歌います」とアナウスして"Surfer Girl"をプレイ。大歓声。
新作の"That's Why God Made The Radio"はライブでも栄える名曲で、50年もたって、なおこのような瑞々しい曲が生まれることに驚いてしまいます。60年代証初期からの車、サーフィン、トランジスター・ラジオ全盛期が実体験もないのに目に浮かびました。
SMiLEの"Heroes And Villains"も奇跡と言わんばかりの大歓声。ブライアンのソロでも聴けたが、本物のビーチ・ボーイズによって演奏されるなんて・・・。
"Why Do Fools Fall In Love"のカバーも嬉しい。ジョニ・ミッチェルが"Shadows And Lights"のライブでカバーしていたのを聴いてから大好きになった曲。ビーチ・ボーイズのコーラスワークが本領発揮というところ。
"Forever""God Only Knows"では、故デニス・ウィルソン、カール・ウィルソンの映像が流れ、故人が歌うテープに合わせて演奏が行われるという感動の演出がなされ、ビーチ・ボーイズの試練の数々を物語っていて、自然に感動しました。
"Sloop John B""Wouldn't It Be Nice"と"Good Vibrations"のPet Sounds期のナンバーは待ってましたとばかりの凄い歓声で、盛り上がりましたが、特別な扱いでなくビーチ・ボーイズの長い活動の一編として位置づけていたのは良かったと思います。
"California Girls"~"Surfin' USA"の超名曲メドレーで最高潮に達して本編終了。アンコールはブライアン抜きで全米No.1になった"Kokomo"当時はMTVでもかかりまくっていたし、マイク・ラブの底意地を見せたヒット曲なのでアンコールのリラックスした雰囲気を演出するにはぴったりだった。
"Barbara Ann""Fun, Fun, Fun"ではAmericaの二人、クリストファー・クロスも飛びいりしての大団円。誰もが大満足のフィナーレ。
"Fun, Fun, Fun"を聴くと、なぜか、とり・みきの漫画『ポリタン』のエピソードでパトカーがファン・ファン・ファンとサイレンを鳴らしながら大量にやってくるという"Fun, Fun, Fun"を思い出してしまう。
ブライアンは自分の演奏が終わると早々にキーボードを離れて黙々と歩いてステージ中央に向かい、全員で合流して一列で手を組んで挨拶。
おそらくこれが最後のビーチ・ボーイズで最後のブライアン・ウィルソン。
もう思い残すことは無し。再結集してくれて、来日してくれたことに感謝。
9月23日にWOWOWでライブの模様が放送されるようで、今から楽しみです。
大阪市中央体育館
Osaka Prefectural Gymnasium
August, 17, 2012
The Beach Boys
Mike Love / vocals, percussion
Brian Wilson / vocals, keyboards, bass
Al Jardine / vocals, guitar
Bruce Johnston / vocals, keyboards
David Marks / vocals, guitar
Jeff Foskett / guitar, mandolin, percussion, vocals
Scott Totten / guitar, vocals
Nicky Walusko / guitar, vocals
Probyn Gregory / guitar, horns, bass, tannerin, percussion, vocals
Mike D'Amico / bass, drums, vocals
Darian Sahanaja / keyboards, mallets, vocals
Scott Bennett / keyboards, mallets, percussion, vocals
Paul von Mertens / woodwinds
Nelson Bragg / percussion, vocals
John Cowsill / drums, vocals
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コメント
tangerineさん、ごめんなさい。関係ないコメントしちゃいます。やー、やりましたね。KARA!! 新曲のPANDORAに完全にノックアウトされちゃいました。ここまで、完璧にカムバックするとは。今日だけで、10回ぐらいPV見ました。特に、スンヨンがよかった!ジャンピンの時もショックだったけど、今回のスンヨンもやってくれましたねー。でも、あっという間に、音楽チャート1位。鉄壁のPSYの「江南スタイル」を押しのけたのは、さすがです!すごすぎる!これで、日本での凱旋コンサートができる。おっと、それは逆か。ついつい、KARAは日本の宝物と思ってしまいました。ギュリに竹島問題の質問をしたピンボケ記者なんか気にしなくていいから、頑張れKARA。君たちは、日韓のジュエリーだよ。ファイティン!!
投稿: たむまさ | 2012/08/23 22:33
こんばんは.残暑お見舞い申し上げます.
プログレ担当コメントのトースケです.
ココってプログレとK-POPで完全に2分していておもしろいですね.
今回はBeach Boysですね.あまり詳しくはないものの、知ってる曲はざくざくあると思います.
Americaのヒット曲なんて、懐かしくて涙が出ます.中学生の頃だったかなぁ.
tangerineさんも守備範囲広いですね.しかもとり・みきまで(笑)
「愛のさかあがり」が好きでした.
そうそう、コメントしませんでしたけどUKのライブレポートもありがとうございました.
今度はまともな画質のビデオ出ますかね?
ワタシもK-POPは嫌いではなく、単に聴く機会が無いというだけで、プログレファンのtangerineさんがハマるのだから何か通ずるところがあるんだろうか、とか. 無いですよね・・・.
今はYouTubeという良いものがあるので、追々いろいろ聴いてみようかと.
投稿: トースケ | 2012/08/23 22:36
>たむまささん
返信遅くなりました。すみません。
KARAのPANDORAやっと昨晩にHMVかた到着しました。まだ聴きこんでいないのですが、PVやTV出演で先に見て、期待値より遥かに上の完成度に感嘆しました。さすがはKARAです。
早くも新曲をライブで見たくなりました。
投稿: tangerine | 2012/08/31 08:39
>トースケさん
返信遅くなりました。
ビーチ・ボーイズはいろいろ確執やメンバーの死別を乗り越えて、70歳を超えて再集結し、有終の美を飾れたと思います。
とり・みきは昔から好きで、『愛のさかあがり』もでっかい初版本で3巻揃えています。とり氏もビーチ・ボーイズに行って感動したとtwitterに書いていましたね。
UKも今回は大盛況だったので、ぜひDVD出してほしいものです。
K-POPはイタリアン・プログレのように奥が深くて宝の山状態です。最近の邦楽に見られない「ひとひねり」がなされていて、クセになってしまいますね~。
投稿: tangerine | 2012/08/31 08:44
ハミルを敬愛してプログレに陶酔している中年男子です。よくセットリストでお世話になっています。ビーチボーイズもこの時同じ場所で感動していました。海外にもよく行かれてるのでうらやましい限りですが、またそのレポート楽しみにしています。
投稿: kevin kazuki | 2012/09/09 16:09
>kevin kazukiさん
はじめました。コメントありがとうございます。
ビーチ・ボーイズ、大阪公演素晴らしかったですね。あの場所にいられて幸せでした。
ハミルは先日、VDGGを川崎と日比谷野音に見に行きました。こちらも近日中にレポートをアップしようと思います。
投稿: tangerine | 2012/09/11 10:12