The Crimson ProjeKct 大阪公演 2013年3月13日 なんばHatch
King Crimsonのメンバー3名を中心とするThe Crimson ProjeKctの大阪公演を3月13日になんばHatchで見ました。
昔キング・クリムゾンを一緒に見た友達たちも大勢来ていて懐かしい雰囲気でした。
内容は前座としてTony Levin率いるStick Menが約55分演奏し、休憩無しでそのままAdrian Belew率いるAdrian Belew Power Trioが約45分演奏し、休憩の後2つのユニットが合体した6人編成のクリムゾン・プロジェクトとして約55分演奏するというもの。
トニーのブログでもジャパン・ツアーの模様が恒例のトニー撮影の美しい写真入りでレポートされています。
http://www.papabear.com/tours/cpjapan13/cpjapan13_1.htm
トニー・レヴィンはキング・クリムゾンで11回、ABWHで2回、ピーター・ガブリエルで4回、 BRUFORD LEVIN UPPER EXTREMITIESで1回、ラリー・ファースト、ジェリー・マロッタ等ピーター・ガブリエルのバック・バンドのメンバーを率いたソロで1回、Stick Men (2010年)で1回、California Guitar Trioで1回見ており、今回で22回目。
Stick Menの2010年のライブ・レポートはこちら
http://thenoisehomepage.cocolog-nifty.com/small_talk/2010/06/stick-men-184a.html
エイドリアン・ブリューはトーキング・ヘッズ(1981年)で1回、キング・クリムゾンで15回、ProjeKct2で1回見ており、今回で18回目。
パット・マステロットはRobert Fripp & David Sylvian(1993年)で2回、キング・クリムゾンで15回、スティーヴ・ハケットやジョン・ポール・ジョーンズと一緒にやったGuitar Wars(2003年)で1回、Stick Men (2010年)で1回見ており、今回で20回目。
2000年と2003年のキング・クリムゾンの来日公演ではトニー・レヴィンは参加していなかったので、トニー・レヴィンとエイドリアン・ブリューが共演するのを見るのは1995年のダブル・トリオでのキング・クリムゾンの来日公演(9回見に行った)以来約18年ぶりとなりました。
周知のようにロバート・フリップが音楽活動から引退したとのことで、クリムゾンの音楽をライブで継承する意図でフリップ公認の元結成された今回のグループ。
フリップ不在というのは2002年に見たイアン・マクドナルド、マイク・ジャイルズ、ピーター・ジャイルズ、メル・コリンズ等からなる初期クリムゾンのトリビュート・バンド、21Century Schizoid Bandと同様のコンセプト。
21Century Schizoid Bandが良い意味で「栗抜きの栗ようかん」のような歯ごたえに欠けるけど濃厚な味わいのあるものだったと例えるなら、今回のクリムゾン・プロジェクトは良い意味で「エビの入っていない衣だけの天ぷらそばだけど、ダシと麺と衣が美味しくて満足した」という感じです。
まずStick Menが舞台下手にセッティングされた位置にトリオ編成で登場。
Stick Menは2010年にも素晴らしいライブを体験しており、今回も期待通りの重圧な演奏をしてくれました。"Vroom Vroom"、『太陽と戦慄パート2』などのクリムゾン・ナンバーに加えて、トニー自身も参加したロバート・フリップのソロ・アルバム"Ecposure"から『呼吸困難』も演奏し大興奮。学生の頃バンドをやってた時にカバーした曲です。
トリオでここまで重圧な音を出せるのはStickという楽器なれではの編成故のものだと改めて実感しました。
すぐに入れ替わりという感じで舞台上手のセッティング位置に登場。事前に音源など聴いて予習することができなかったのですが、ヘヴィでクリムゾンを彷彿させる音楽。
女性ベーシストのJulie Slickはちょっとぶかぶかのワンピースに裸足というラフな格好だったけど、かなりのテクニシャン。ドラムのTobias Ralphも手数の多いプレイで格好良かったです。
途中でラップトップ・パソコンで操作していたシーケンス音源が止まらなくなってしまい、ブリューがお手上げの仕草をして笑いを誘ったりもしました。最後にはクリムゾンの"Beat"から"Neurotica"を演奏。1981年の初来日時も未発表曲として演奏され、カッコ良さに興奮したのを思い出しました。
「5分休憩してクリムゾン・プロジェクトとして演奏します」とブリューがMCをしてインターミッション。男性トイレの列が長かったりして、最終的に15分位の休憩時間。
クリムゾン・プロジェクトはツイン・ドラム・ソロのB'Boomから始まり、懐かしくもブラッフォードの不在が残念に感じました。
ダブル・トリオの音はやはり重圧そのもので、微妙で意図的でもある「ズレ」が音楽に面白みを増しています。
95年のダブル・トリオ編成での公演は9回見ることができたので、あの感動が蘇ってきました。特に"Red"の音の厚みは凄まじかったです。
昨年の夏にドリーム・シアターのサポートでツアーをしたとのことで、普段は2つの別々のプロジェクトもある程度のコンビネーションが整っていたと思うので、できれば『ヴルーム・ヴルーム』『太陽と戦慄』『ニューロティカ』もリハーサルをして6人編成で聴いてみたかったです (川崎公演も1ユニットが引っ込んでの演奏となったとのこと)。
川崎公演の2,3日目には"Three of a Perfect Pair"もやったそうで、聴いてみたかった。
あと特にダブル・トリオの必然性はないけど、せっかくなので『待ってください』もやってほしかったです。
本編最後の"Indiscipline"でテンションは最高潮に達して、オール・スタンディング・オベーションの中、ノリノリで"Thela Hun Ginjeet"をプレイ。恒例ともいえるトニーのカメラでのオーディエンス撮影。鳴り止まない拍手の中、再度登場して、全員で挨拶し終了。
トニーが終演後にオフィシャル・ブートレッグ購入者にサインをすると言ってたので、売店で購入するも、スタッフから「終演時間が押したのでサイン会はできなくなった」とのことで、退散。時間のある友達と3人で居酒屋で打ち上げ。
オフィシャル・ブートは昨年夏のドリーム・シアターのツアーの前座をした時の音源で、ドリーム・シアターの好意で録音できたものということ。Mr.BigがRushの前座をした時にDATで一発録りしたオフィシャル・ブートの"Raw Like Sushi"に近いと感じました。
フリップの引退により、もうクリムゾンの音楽を本来の形で聴くのは難しいと諦めかけていたのですが、今回のようなライブはクリムゾンの音楽の持つダイナミズムを実現化してくれた本当にありがたいものでした。
ロックの世代もそろそろ鬼籍に入る人が増え始めている昨今、このような音楽がライブで継承されることは素晴らしいし、ぜひ後継者を作って生演奏が続けられることを望みたいものです。
Setlist
■Stick Men
Tony Levin / Stick, Bass, Vocal
Pat Mastelotto / Drums
Markus Reuter / Stick, Touch Guitar
Vrooom Vrooom
Nude Ascending Staircase
CUSP
Hide The Trees
Breathless (Robert Fripp Cover)
Crack in the Sky
Soup
Open Pt. 3
Larks' Tongues in Aspic Pt. 2
■Adrian Belew Power Trio
Adrian Belew / Guitar, Vocal
Julie Slick / Bass Guitar
Tobias Ralph / Drums
b3
Ampersand
Beat Box Guitar
Young Lions
Madness
Of Bow and Drum
Neurotica
■The Crimson ProjeKct
B'Boom
Thrak
Elephant Talk
Red
Dinosaur
Frame by Frame
Indiscipline
encore
Thela Hun Ginjeet
(セットリストはネットと友人のブログを参考にしました)
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コメント
いつもながらエビのない云々というたとえは素晴らしいですね!私も行こうかどうしようか迷っていたのですが、リンゴやサンタナ等のコンサートもあり断念したを、少し悔やみます。無理かもしれませんが、ミュージシャン独特の気まぐれで、フリップも復活してほしいですね。(ボウイは見事復活!)
投稿: kevin kazuki | 2013/03/20 19:22
>kevin kazukiさん
リンゴはトッド・ラングレンやスティーヴ・ルカサーも参加して良かったようですね。89年の初来日は大阪城ホールで見ました。
フリップも74年にクリムゾンを解散した後は、ミュージシャン引退してグルジェフ・ベネット神秘主義の修行をしたりしてその後また復活したので、今回もひょっこりと復活してくれたらいいですね。
投稿: tangerine | 2013/03/20 23:35
トニー・レヴィンの名を始めて聞いたのは Liquid Tension Experiment
でしたが、ジャズ/フュージョン系の偉い人?くらいに思い込んでいて。
プログレの大御所というか、ほとんど源流?起源?のようなすごい方
だったんですね〜(^_^;)
最近ヒマな?マイク・ポートノイあたりと新プロジェクトみたいなのも
期待したいです。この頃プログレ界もワクワク感がなくて...実験も一通り
やり尽くしてしまったのでしょうか。現代のような混乱と閉塞の時代に
こそ何か新しいムーブメントの登場を期待しているのですが...
投稿: Anarchy X | 2013/03/21 21:30
>Anarchy Xさん
LTEは私も2枚持っています。あれも1stはほぼ一発録音で1,2日で作ったそうなので、凄いテンションですね。
トニーは基本セッション・ミュージシャンなので、ジョン・レノン、ダイアストレーツ、ピンク・フロイド、野口五郎など無数のレコーディングに参加していますが、パーマネントにメンバーになったのはキング・クリムゾンとピーター・ガブリエル・バンドだけのようです。
マイク・ポートノイは先日ビリー・シーンらとカバーもののユニットで来てましたね。そろそろ大きなグループを作ってほしいとも思いますが「新鮮味が無くなったのでしばらく休みたい」という理由でドリーム・シアターを勝手に休止しようとして脱退となった手前、本格的には自分主体のグループを始動したくないのかもしれませんね。
ドリーム・シアターにも未練あるようですし。
でもカッチリと構成された曲をアルバムでリリースできるバンドを初めてほしいものです。
投稿: tangerine | 2013/03/22 01:14