KRAFTWERK 大阪公演 2013年5月18日 なんばHatch
5月18日にKRAFTWERKの日本ツアーをなんばHatchで見ました。大盛況で観客が手拍子しまくり、一緒に歌いまくりの異常な盛り上がりでした。
クラフトワークは過去に以下の4公演を見ており、今回が5回目です。
1998年06月03日 東京 赤坂Blitz
1998年06月04日 東京 赤坂Blitz
2002年12月15日 大阪 Zepp Osaka (ELECTRAGLIDE 2002)
2004年02月24日 大阪 なんばHatch
1981年の初来日公演は行けなかったのですが、9月8日の中野サンプラザ公演は当時NHK-FMで1時間に渡ってオンエアされ、録音したカセットテープを今でも大切に持っています。
98年の再来日時はまさか生きているうちにクラフトワークが再始動するとは思わなかったので、狂喜して東京まで見に行きました。かなり舞い上がってたのを覚えています。最後にメンバーを模したロボットが登場してびっくりでした。
2002年の来日はSQURREPUSHER, ANDREW WEATHERALL, TIM DELUXEなどが出演するテクノフェスのトリとしての出演。機材がシンプルなノートパソコン中心になって、イメージ・ビデオも変更なく、ロボットも登場しませんでした。
2004年は久々のニュー・アルバム"TOUR DE FRANCE SOUNDTRACKS"を携えてのツアーでしたが、大まかなセットリストは同じで、やはりイメージビデオも定番のもの。最後にロボットが登場しました。
今回は既にニューヨーク、デュッセルドルフ、ロンドンで行った歴代アルバム8枚を日替わりで演奏する"3-D CONCERTS 1 2 3 4 5 6 7 8"を東京で8公演こなしての大阪での最終1公演で千秋楽に相応しい内容の予感がしました。
定番のイメージビデオが、3-Dとしてどのようにアップデートできているか楽しみでした。
東京公演は行きたかったけど、諸事情で遠征できなかったので、ネットなどで情報は追わずに大阪公演に臨みました。
友人に取ってもらったチケットの整理番号はかなり若かったので「これは最前列を狙える!」と開場前に到着すると物凄い賑わいで、さすがはクラフトワーク9年ぶりの大阪と感動。以前の2公演を一緒に見たプログレ友達が親子4人の家族連れで来ていて、テクノ家族と命名。子供さんも東京まで遠征してきたとのこと。チケットをとってくれた友人は仕事で遅れるとのことで、一人での鑑賞となりました。
若い人も多く新しい世代のファンがいっぱい来ていて嬉しくなりました。やはりテクノのゴッドファーザーとして敬意を受けているのでしょう。
開場時間になり、入場し紙製の3-Dメガネを受け取り、エレベーターを上がって猛ダッシュ。即効でドリンクを受け取ってなんとか最前列をゲット。1時間待機するも、わくわくしてそんなに苦痛ではありませんでした。
3-Dメガネも東京でも日替わりでデザインが変わっていたとのこと。
開演時間前に係員が「カメラのフラッシュは炊かないでください」と注意。東京でもメンバー公認で撮影が許可されていたとの情報を得ていました。あと「開始後すぐに垂れ幕が落ちてくるので、最前列は万が一降りかかってくる可能性がありますので注意してください」とのこと。
いつものごとくラルフのドイツ語のボコーダー・ボイズから開始。何を言っているかわからず「何て!?」と客の掛け声があって全員大爆笑。
"THE ROBOTS"がスローテンポで始まってだんだんアップテンポになるオープニング。幕が落ち、いきなり後方のスクリーンに3-Dのロボット映像がズーンと出てきて一同「おおおーー!」と歓声。
4人は蛍光チューブをめぐらせた例の衣装で、機材の内容が一切見えないボードを前にして演奏。フットペダルも見えるメンバーもいたのでボリューム調整など行っていたのかもしれません。
"METROPOLIS"の超高層都市のCGも高速エレベーターや空中俯瞰のようでトリップしました。
"NUMBERS"では数字が前方に飛び出してくる3-D演出。「イチ・ニー・サン・シー」も大合唱。
"COMPUTER WORLD"へのメドレーとなるのもお馴染みのセット。"HOME COMPUTER", "COMPUTER LOVE"と同アルバムからの曲が続き、アブストラクトや波形をモチーフにしたなCG映像。
"THE MAN MACHINE"はお馴染みの単語が重なっていくイメージ・ビデオに3-Dを付加したもの。
"SPACELAB"は宇宙から見た地球の夜明けと人工衛星が映され、今回のライブで一番美しくてトリップした内容でした。人工衛星が琵琶湖のあたりがわかるまで日本の上空に接近し、3-Dで観客のすぐ目の前まで接近するというもの。これも大歓声。
"THE MODEL"は過去のものと同じ古いモノクロ・フィルムのモデルの映像。
"NEON LIGHTS"はカフェやクラブ、薬局など商店のネオン看板が3-Dになって浮かび上がる新作ビデオ。
"AUTOBAHN"で大歓声。これも全て3-Dで作り直された映像で、フォルクスワーゲンやベンツがまったりとアウトバーンを走る、わざとチープめの雰囲気も残したままで良い感じ。
"Tour De France"は今回のハイライトといって良い内容で、観客の「ツールド・フランス!」の掛け声もバッチリ。2003年ヴァージョンも盛り上がって、観客から手拍子が入り始め、だんだんと大きくなって壮大なグルーヴが作られていってトリップしてしまいました。やはり電気的でありながら肉体派のグループなんだと実感しました。終了後も大歓声と鳴り止まない拍手の嵐。
"VITAMIN"も前回までの2次元CGを3-Dに作り直しており、舞い落ちるカプセルが立体になり、水に溶けた錠剤の粒子が客席まで飛んできました。
"RADIOACTIVITY"は去年の7月8日の幕張メッセでのNO NUKESで披露された「HIROSHIMA」の部分を「FUKUSHIMA」に変えたヴァージョンでプレイ。「日本でも放射能、今日いつまでも、福島放射能、空気、水、すべて、いますぐやめろ」との新しい歌詞も去年のとおり。去年は同時期にニューヨークに遠征中で見に行けなかったのでした。
"TRANS-EUROPE EXPRESS"は古い列車の実写映像とレトロな模型列車のモノクロ映像のイメージ・ビデオだったものが3-DのCGに変わっており、疾走感が増した感じ。終演後に友人も言ってましたが、古いヴァージョンの連結器がガシャンと繋がるシーンは残してほしかった気がしました。
"AERODYNAMIK ~ TITANIUM"は4人の自転車の疾走CG。もうちょっと前にプレイしたほうが効果的だった気がしました。
"BOING BOOM TSCHAK"は例の初期の原始的なCGによる顔の輪郭のビデオをそのまま残して3Dを微妙に付加した感じ。音符記号がこちらにむかって飛んでくる3-D。
"MUSIQUE NON STOP"でメンバーがリズムやパッド操作やキーボードなど1人づつソロをとり、1人づつ挨拶をして退場するといういつものパターン。最後にラルフが「グッドイヴニング、アウフヴィーダーゼーエン、サヨナラ」といって退場し、本編終了。
強烈なアンコールの拍手と掛け声でメンバーが再登場し、"POCKET CALCULATOR"。途中で『電卓』のシングル・ジャケットが背後に映って、日本語で『電卓』をプレイ。観客の大合唱は過去最大級に凄かったです。
最後にチルアウト的にスローな2000年のハノーヴァー万博のテーマ"Expo 2000"と同メロディーの"Planet Of Visions"をプレイし、全員で舞台上手に出てきてお辞儀をして退場。
ライブを見るのが5回目の私でも、今回のツアーが大阪が初日だったら東京まで絶対に遠征していただろうという中毒性のある映像といつもながらのテクノの創始者だけが持ち合わせる絶妙な音感に今回も圧倒されました。
東京公演も見に行った人の話によると大阪のほうが客のノリが良くて、手拍子も掛け声も歌も数段激しかったとのことでした。
パスカル・ビュッシー著のクラフトワーク研究本のラストのエピソード(2060年のクラフトワーク)のように、クラフトワークはオリジナル・メンバーがいなくなっても永遠に続いていきそうな気がします。40年以上続けてなお10代の若者を熱狂させる彼らの音楽は恒久的なものになるでしょう。
早くも次のライブが楽しみです。
この5年間にManuel Gottsching, Tangerine Dream, Klaus Schulze, Cluster, Michael Rother, Kraftwerkというジャーマン・エレクトロニクスの創始者達が来日公演を行い、現役感を保っていることは本当に素晴らしいと感じます。
Kraftwerk / Namba Hatch, Osaka - May, 18, 2013
Ralf Hutter / Vocals, Vocoder, Synthesizer
Fritz Hilpert / Electronic Percussion
Henning Schumitz / Electronic Percussion, Keyboards
Falk Grieffenhagen / Live Video Technician
Setlist
The Robots
Metropolis
Numbers
Computer
Home Computer
Computer Love
The Man Machine
Spacelab
The Model
Neon Lights
Autobahn
Tour De France
Tour De France 2003
Vitamin
Radioactivity
Trans-Europe Express
Aerodynamik - Titanium
Boing Boom Tschak
Musique Non Stop
encore
Pocket Calculator - Dentaku
Expo 2000 - Planet Of Visions
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
ほんとに大阪公演よかったですね。彼らの世界にトリップしていた時間がなんとあっという間だったことか!私もその前週にオズフェス前夜祭として赤坂に行こうと思いましたがさすがに2日連続のオールスタンディングは回避してしまいました。TEEの公演は観たかったです。嗚呼若さと身長が欲しいです!後残念なのはグッズの販売段取りが悪く買えていない人が多くて可哀そうでした。(時間制限とグッズの量が少なかったこと)
投稿: kevin kazuki | 2013/05/20 20:00
>kevin kazukiさん
来られていたのですね。最高でしたねー。オズ・フェスト行けるようならついでに東京でも見たかったところです。
グッズは東京でも友人が2時間くらい並ばされたそうです。Tシャツも日替わりで背面の日付のデザインが違っていて、コンプリートしたい人もいたようです。大阪はほとんど残っていなかった感じですね。クラフトワークの事務所が海外から持ってきたものを売っていたようで、数量に限界があったそうです。
また来日してほしいものです。
投稿: tangerine | 2013/05/20 23:12