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2013/09/03

KARA 4th Alubum "FANTASTIC GIRLS" 感想 part1

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KARAの日本4枚目のオリジナル・アルバム "FANTASTIC GIRLS"が8月28日に発売され、初回限定盤A,B,Cを購入しました。

限定盤Aは6月23日に横浜アリーナで行われた『KAMILIA SCHOOL KARA FAN MEETING 2013』のセカンド・ステージを収録。

初回盤Bは3月2日に幕張メッセで行われた『U-EXPRESS LIVE 2013』で歌われた全8曲をトークも含めて収録。

初回盤Cはボーナストラックとして『ハッピー ハッピー ラブ』(作詞:上田起士 作曲:Kim Tesung、Cha Cha Malone、Casper)を収録。

9月2日発表の韓国での1年ぶりのカムバック作、第4集 "Full Bloom"とほぼ同時進行で製作されたと思われ、常人では想像すらできないタイトなスケジュールを、KARAのとてつもない超人的努力と才能で完成させた賜物といえるでしょう。

過去3作のリリースタイトルがカタカナ表記だったのと違って、英語で表記されているのは何か意味があるのでしょうか。

最近のシングル曲2曲とそのカップリング2曲に加え、アルバム・オリジナル曲は前作『ガールズフォーエバー』と同じく6曲。


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4枚目にしてようやく「トータルなオリジナル・アルバム感」が出たということでは画期的なアルバムと感じます。そしてマーケティング的にみればかなりリスキーな収録内容のアルバムと思いました。

日本進出後の『ガールズトーク』から前作『ガールズ フォーエバー』までのアルバムに演歌のベスト盤のごとく必ずボーナストラックなどの形で入っていた『ミスター』と『ジャンピン』が入っていないのは見事でした。3rdアルバムにもリミックスとして入っていた日本での最大のヒット曲『GO GO サマー!』『ジェットコースターラブ』すら入っていません。

かつて「LPレコードの収録曲」は、ヒットしたシングルの楽曲そのものより、アーティストそのものに魅力を感じる人が購買層の中心となったように、「爆発的な定番ヒット曲が入っていないアルバム」というものは本質的なアーティストのファンの規模をリサーチする物差しのように感じます。

そういう意味で本作は新たにKARAのファンになった人が「最初の1枚」として買う入門アルバムにはなりにくいと。

iTuneなどダウンロード全盛時代で、気に入った曲のみを「つまみ食い」的に購入することに抵抗のないライト層が主流となる昨今で、このようなアルバムを製作するのはやはりリスクが伴うかと思います。

ダウンロード全盛の韓国では「アーティストのフル・アルバム」というものの存在が随分以前に壊滅的になってしまい、収録数を半分以下に絞った「ミニ・アルバム」に市場活路を見出したようですが、日本ではまだ「2曲入りのシングル」と「10曲程度入ったフル・アルバム」の観念がかろうじて生き残っており、チャートのリサーチもあって発売形態はなかなか変われないようです。

今回はボーナスDVDが魅力的なファン・ミーティングやライブ・パフォーマンスの映像だったので、そちらを目当てに高額な限定盤を買ったファンも多かったのかもしれませんが、やはりこういうキッチリしたアルバムを作ってくれたことには感謝したいです。

もう日本デビューから3年とあって、語学力の飛躍的向上も伴い、日本語での歌唱力も表現力も最初に2枚頃とは比較できないほど旨くなりました。もう他のK-POPアーティストの追随を許さないレベルまで達していると思います。

しかし、トータル感があって良いというのと、個人的に好みの曲が入っているかどうかというのは別問題というのも正直なところです。

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個人的に気に入ったのは下記の3曲。

■レスキューミー
アメリカのハード・ロック・バンド Mr.Bigの代表曲 "Green-Tinted Sixties Mind"を思わせるサビがキャッチーで最初聴いた時一番印象に残りました。80年代~90年代のフレーバーのある曲です。

■プロミス
個人的なベストトラック。何十回リピートしても飽きない美しさを持っています。音色も曲調も清々しくて、もっと真夏に聴いたら涼しげだったかもと感じました。バックのシンセ音のリフレインも、リズム・パターも女性ボーカルもののヒーリング・ミュージック、プロフレッシヴ・ロックを連想させ、洋楽的でツボにハマってしまいました。ライブ向けではないかもしれないですが、KARAの歌声の美しさが堪能できます。
作曲のJeff Miyahara氏は海外ものではリア・ディゾン、ビビアン・スー、東方神起、少女時代、ウェザーガールズを手がけ、メンバーの好きなJUJUなどにも提供しているとのことで要チェックのようです。

■エンドレスナイト
ステージでも椅子に座ってゆっくりと歌いこめるようなポジティヴなミドル・テンポさが新しいです。Perfumeの『マカロニ』調のまったり感じ。というかそのまま『マカロニ』の歌詞で歌えてしまいそう。途中でリズム・スクラッチを入れて「音飛んでる!」とハッとさせる遊び心も楽しいです。

あと初回盤Cの謎のボーナストラック『ハッピー ハッピー ラブ』は意表を突くジヨンのラップといい、KARAらしからぬ「やさぐれ感」があって気に入ってます。


逆に、おそらくほとんどの人は気に入っただろうけど、個人的には苦手だったのが『一番にわたしを抱きしめて』です。磯貝サイモン氏作では5曲目とあってKARAとのコンビネーションは完璧で「まるで磯貝サイモン風」ともいえるバラード曲。
しかし初めて聴いた気がしない凡庸なJ-POPバラードでアルバムのフックとしての完成度は高いけど「それ風に作ってください」と依頼されて「それ風」に作りましたという壮大さ加減がピアノのイントロから既に感じられ、「取って付けた盛り上がり」感が否めないです。この曲のみ渋谷のABS Recordingスタジオでレコーディング(他はDSPスタジオ)。KARAが最高の歌唱を披露していることで救われている感じ。KARAファンの風上にも置けないと非難されそうですが、KARA本人達も気に入っているという『HANABI』も上記と同様の理由で自分は苦手です。もう完全な「量産型J-POPバラード」の世界に思えて・・・。
すみません。まあ単にJ-POPというものを聴く習慣がなく、カラオケに行く習慣もない私個人の嗜好の問題なので。


2年前の韓国アルバム曲『マイボーイ』の日本語ヴァージョンで最後を締めるというのもどうなのか?と一瞬感じもしましたが、やはりこういうポジティヴな名曲がアルバムをきっちり完結さえてくれるのは正解かと思います。

といいつつ、前作『ガールズフォーエバー』のオリジナル曲を聴き直してみると、全然聴き込み方が足らず、消化不足だったことに気付いて唖然としております。
『スーパーガール』では衣装換えのBGMも含めて『オンリー フォー ユー』意外の全曲がツアーで披露され耳馴染みがありましたが、前作は東京ドーム1回公演のみで披露された『キスミー トゥナイト』1曲のみで、しかもトロッコで移動中のダンス無しヴァージョンでした。前作のオリジナル曲も意表を突く曲調が少なくなかったので好きなのですが、ツアーとツアーの間にリリースされたのでそのままライブで披露されることなく埋もれてしまう感があり残念に思います。
1stアルバムの『ベイビー・アイ・ニード・ユー』に至っては、もはや「無かったこと」にされているに等しくて不憫で・・・。

本作からはおそらく来月からのツアーにおいて何曲か取り上げられると予想され、パフォーマンスも含めて楽しみです。
 
 
Part2に続く。
 
 
キーワードは

・リリース・タイミングの前倒しについて

・韓国カムバック作の露払いなのか

・ダブルスタンダードの限界

・NHK『Rの法則』のアンケートから読み解けるもの

・「日本人は無尽蔵にお金が使える」前提のマーケティングに関して

・K-POPと政治問題

・2ndツアーに向けて

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コメント

こんにちは。
ショーケースの映像やFullBroomの音源もあがってたみたいですね。冷静に考えれば日本と韓国、同時期にまったくコンセプトの違う楽曲、アルバムを出すというのは、もうこれは離れ業?としか言いようが。

でもやっぱり韓国ではカッコイイKARA、気合の入れ方が違うってわけでもないかもしれませんが、それが本国なら当たり前とわかっていてもちょっと嫉妬してしまいますね「ニコル、そんなカッコしちゃダメだよ!」みたいな(^^;
まぁ今はせっかくカワイイKARAも日本で観れるのだから、どっちのKARAがいいというのはナンセンスかなぁという感じもします。

そういえば最近、韓国の番組でもギュリ姉さんがセーラームーンやってましたね、若干長めで(^^;

part2も実に興味深い。(福山風)

投稿: tak | 2013/09/03 15:46

>takさん

ショーケースの映像、私も見ました。うー、もうジェラシーしかありません。毎年、期待を遥かに超えるものを引っさげてカムバックしてくれるのが凄いです。

バラエティーなどでの日本での可愛い路線も結構韓国のKAMILIAさん達にウケているようなので、まあお互いに無いものねだりしていて交流が進んでいいかなーと思ったりします(笑)。

姐さんの韓国版セーラームーンポーズ、私もYouTubeで見ました。

実は実家でもパジャマ姿とかで鑑を見ながらポーズをとって「やっぱり私美しい~」と陶酔してるんでしょうねー。いやぜったい!(笑)

投稿: tangerine | 2013/09/03 22:47

未だに、入手前でして(苦笑)、しっかり、予習させて頂きました。有難うございます。

何の番組だったか忘れましたが60歳代ぐらいの喫茶店のマスターさんで店に音響設備を整えてる程の音楽好きのこの方が「自分の店へ来る常連の若い子達は、アルバムなんか買わずに好きな曲ばっかしか聴かねぇーんだよなぁ~」って、ボヤいてました。(笑)

投稿: ロッテンマイヤー | 2013/09/04 13:13

>ロッテンマイヤーさん

偏った感想で予習になるかどうか・・・。恐縮です。

音楽喫茶って、ジャズとかクラシックが中心ですが、昔よく京都のロック喫茶に通って大音量でアルバムを流してもらっていましたねー。今でもあるんですね。

YouTubeやMP3プレーヤー世代の若い人にもハイファイ・オーディオでスピーカーで空気を通して大音量で聴いて良さを知ってもらいたいものです。

投稿: tangerine | 2013/09/05 03:31

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