

東京パフォーマンスドールの大阪公演『PLAY×LIVE「1×0」(ワンバイゼロ)COMPLETE』を7月4,5,6日にシアターBRAVA!にて鑑賞しました。
新生TPDは以前書いた阿倍野と西宮のCDリリース・イベントで見たのみで本編であるPLAY×LIVEを見るのは初めて。
東京では昨年6月のデビュー当初からCBGKシブゲキ!!にて定期的に上演されてきた独特の構成によるパフォーマンスで、前半70分ほどの演劇・ミュージカルパートがあり、その後30分ほどのノンストップの歌とパフォーマンスのダンスサミット・パートがあるというもの。
全5公演で同じストーリーに基づいた芝居のパートが各エピソードごとに主人公を変えて展開し、最後に収束するという内容。
各エピソードのタイトルは
Episode1 Lost Without You (主演:小林晏夕・高嶋菜七)
Episode2 In The Wonderland (主演:脇あかり・上西星来)
Episode3 Secret Garden (主演:櫻井紗季・浜崎香帆)
Episode4 Bitter Sweet Memory (主演:神宮沙紀・飯田桜子)
Episode5 The Perfect Day (主演:橘二葉)
東京公演を80公演以上こなした上でのファイナルを大阪で迎えるということで、このステージを見るチャンスは最後。東京公演を多数鑑賞しているファンも大勢が遠征して集まってきているようでした。
内容はTPD自体が90年代前半を象徴する現象だったのに準じたのか、演劇パートのウォーリー木下による脚本も90年代テイストが溢れており、(同じ事務所の)ナイロン100℃など当時の芝居を彷彿とさせるものでした。板倉チヒロという同事務所の劇団員からの出演も劇団テイストを深めるアクセントになっていました。
結論から書くと東京公演に通っていた先代TPD時代からのファンの友人によると、東京公演で未熟だったと感じた部分が全て向上されており、大阪公演は文句の入る余地がなかったほどの完成度だったとのこと。
試行錯誤の途上だった東京公演がDVD化されていますが、構成的にも演技的にもこの芝居におけるメンバーの成長の完成形である大阪公演を映像記録に残せなかったのは本当に残念です。
5月のイベントの時点では菜七、星来を2トップに感じていましたが、演劇パートを見ると力量の素晴らしさは9人の個性も相まって完全に互角。その中でも浜崎香帆、神宮沙紀、小林晏夕の力量を再確認させられた次第。
エピソード1はとにかく初めてなので、畳み掛けるような展開で呆気に取られてストーリーもよく噛み砕けないでいる間に終わってしまい、押しメンの高嶋菜七と才能を感じる小林晏夕が主演だったのでもう1回見たかったところ。
エピソード2はとにかく仕掛けが面白くて脇あかりのポジティブさと上西星来のナイーヴさをうまく引き出している感じ。
エピソード3が「親友の死」を扱った重たいテーマで、主演の浜崎・櫻井たち本人も「嫌いなエピソードなので一番好きになるよう努力した」と挨拶で涙ながらに語ってましたが、アルゴミュージカルや南青山少女歌劇団の脚本で有名な犬石隆の書くストーリーのように「死を乗り越えた感情で人生を悟り友情を深めていく」というポジティブで爽ややかな後味を感じました。
核となった『秘密の花園』はブロードウェイ・キャスト招聘による素晴らしいヴァージョンを1994年元旦に京都で見ました。
むしろ「明るくポジティブでもどこか抜けている」飯田桜子・神宮沙紀を配したエピソード4のほうが現実的で重たく感じてしまいました。
エピソード5はもう「何でもないシーン」でさえ涙腺が緩んでしまう状態で、中盤で橘二葉が車を運転して他メン演じる動物のぬいぐるみ達と海に向かうシーンだけでも
( ;∀;)イイハナシダナー
と涙が溢れてしまう状態。動物のパペット芝居のパートもそんなに稚拙でなくストーリーにうまく馴染んでいたし(想像するに初期はメンバーの照れとかも芝居に見えてたんじゃないかなと)最年少の二葉のけなげさと他メンの絶妙なバックアップが心に染みて大団円に向かってジワジワと盛り上がりました。

演劇パートにおける3Dプロジェクション・マッピングの完成度は素晴らしく、この設備の無い会場では上演できないという縛りがあるのも頷けます。プロジェクション・マッピングはRoger Watersの2002年の来日公演あたりから体験しており、2010, 2012年とカナダ、アメリカで見たThe Wallのショーでも凄まじい規模で使用されていました。
同じシアターBRAVAでは2011年12月にK-POPのRAINBOWのコンサートでもオブジェに対して限定的にプロジェクション・マッピングを使用していたのを見ています。
またPerfumeのライブでも使用されるようになり昨年の京セラドームでも見ることができました。
TPDのプロジェクション・マッピングは「映写」というよりはより「動的」で立方オブジェをメンバー達が運び積み上げ、それが次々を表情を変えていく効果的なもので、一部の隙も許されない完璧な動作が必要な練習の賜物といえるものでした。
演劇の後のダンス・サミットはもう圧巻の一言。往年の旧TPDによるダンサミのダンスパートをより現代的に進化させて先代ファンから見ても新生TPDに軍配を上げてしまうセットリストでした。芝居パートで歌われた全5曲もメドレーで披露。ぜひアルバムとして発売してほしいです。
菜七、香帆、晏夕の新生ゴルビーズによる"Just Like Magic"で昇天(まさかこの曲を2014年に生で聴くことができるとは!)。10回以上見た先代TPD市井由理のヴァージョンを凌駕する、らこ・うさきの「おちゃめなジュリエット」はバックの4人のダンスもゴージャスすぎ。「東京ハッカーズ・ナイトグルーヴ」の完成度に思わずTPD DASH!!のアルバムを聴き直しました。 "WEEKEND PARADISE"はただただ涙。
Dance Summit Setlist
01. ダイヤモンドは傷つかない
02. Just Like Magic (高嶋菜七&浜崎香帆&小林晏夕)
03. おちゃめなジュリエット (神宮沙紀&飯田桜子)
04. 東京ハッカーズ・ナイト・グルーヴ
05. Lost without you (高嶋菜七&小林晏夕)
06. In the wonderland (上西星来&脇あかり)
07. Secret Garden (櫻井紗季&浜崎香帆)
08. Bitter Sweet Memory (神宮沙紀&飯田桜子)
09. The Perfect Day (橘二葉)
10. Dreamin'
encore
11. We Are TPD!
12. Brand New Story
13. Weekend Paradise
千秋楽。座席に着席すると目の前の席に陣取ったのは、あの阿倍野と西宮のリリースイベントで猛威を振るった「高嶋菜七親衛隊」の女子高生たち(私服モード、でもしっかりTPD NANAのハチマキ着用)。もうこの席のダンサミでの盛り上がりは保障されたようなもので、遠征組男性ファンを凌駕する一糸乱れぬコールを再び目の当たりにすることに・・・。菜七がアンコール曲ですぐ傍まで来た時の悲鳴はあまりにも強烈で台風直撃のようでした。
アンコールの挨拶で号泣モードのメンバー達、菜七も溢れる鼻水を手で隠しながらも感動の表情で他メンが「ティッシュ!テッシュ!」と叫ぶ状態。
1回づつしか観ることができなかったのは一生の不覚と思えるほどの感動。次のPLAY×LIVEが早くも待ちきれないです。
TPDに関しては、地下アイドルが苦労してメジャーになっていくというPerfume以降の定番の展開とは異なり、最初から大きなバックグラウンドがあり曲のストックも予算も活動場所も与えられているという贅沢な環境故に、アイドル・ファン心理的に全国的なブレイクに至ってない要因を感じる部分もあります。
先代TPDも初期ルイード時代は観客が数人の状態から常連がつくようになり、常連にチケットを買い占められて狭い小屋故に新規ファンが付きにくいという状態になりましたが、ルイード以外にも出演を増やしていき徐々にメジャーになり青年館~大阪公演~新宿厚生年金~武道館とキャパシティーを拡げていった経緯がありました。
先代からのファンから見て「懐かしい」と思われてしまうことの、本人達や若いファンからのもどかしさも理解できるので、レパートリーを増やすことも含めてどんどん新しい表現を押し進めていって欲しいと感じます。
とりあえずはダンス・サミットを十分堪能できると期待が膨らむ8月22日の梅田クアトロでのワンマン・ライブが楽しみです。

P.S.
高嶋菜七の話術とアドリブ力は元モダチョキの濱田マリを彷彿させます。シングル付属ドキュメントDVDのナレーションを聴くと特にそう感じてしまいました。
P.P.S.
新生TPDにハマって久々に「よい子の歌謡曲」1991年7月号を引っ張り出してきました。当時メディアとしても本格的に東京パフォーマンスドールを斬新な切り口で取り扱った最初の雑誌で想い入れがあります。

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