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2014年9月

2014/09/21

KARA / Day & Night ・ マンマミーア! 日本一遅いレビュー

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申し訳ありません。おそらく日本で一番遅いKARAの新作レビューになるかと思います。すっかりタイミングを逸してしまった感があります。

ロンドンから帰国後に前日に到着してた"Day & Night"のCDをコンビニで受け取り、続いて日本盤の『マンマミーア!』のシングル初回限定盤Aを買うつもりが、まさかの発売と同時の売切れ。今までこんなことはなかったのでプレス枚数を見誤ったのかと思いましたがどうなんでしょう。

アマゾンもHMVもJoshinも品切れで、タワレコのみ入荷予定があり注文するも、再入荷し発送・到着したのが9月8日でした。その時だけ一時的にアマゾンやHMVにも入荷してたので、予約キャンセル分かと思いきやチケット先行抽選シリアルナンバーが入ってなかったので再プレスしたのでしょうか。

曲ごとの感想とかも書いてみたのですが、今更ブログに書いても新鮮味ないなーと思い、煮詰まった状態でずるずる日々が過ぎていくので、もうオンラインの状態で書きなぐってしまおうかと。

"Day & Night"、グループ存続の最大のピンチを最高の作品を作ることによって大きく飛翔できた傑作だったことに本当に安心し感動しました。

続く日本語ヴァージョンのシングルも、日本デビュー曲『ミスター』以来の韓国先行発売曲の日本語カバーということで、この方針も大成功だと感じました。

日本オリジナル・シングルには、はっきり言ってしまえば駄作もあり(特に前作)、潔く本国ヴァージョンをそのまま売り出したほうがアーティストとしてのクオリティーを維持できるのにと感じていたのでした。

まあ『GO GO サマー!』のように「あちゃ~」と頭を抱えていたものが、日本でのKARA最大のヒットとなったような誤算もありますが。あれは本当に裏をかかれたなーと思うとともに当時の製作サイドのマーケティング力の素晴らしさに感服しました。

その「GOGOサマ」をわざわざ韓国語ヴァージョンにして初めて本国KAMILIAに披露した8月18日のショーケースからみても、新機軸のヴァリエーションに富んだKARAを感じるものがありました。

イダンヨプチャギのサウンドプロデュースはGirl's Day, Apinkなどの最近のトップ・ガールズ・グループの楽曲を意識しつつも前作"Full Bloom"の"1+1"や"In The Game""2Night"などの明るくて跳ねる感じの路線を推し進めたようなエレクトリック・ファンク路線を堪能できるものになっていました。

メンバーチェンジによる違和感のないボーカリゼーションの気持ちよさ。ひたすらポジティブで心地よいサウンド。メンバー4人の歌声のミックス加減が絶妙です。逆をいうとヨンジのボーカルの個性がまだ弱めに感じてしまうところも。

"So Good"でのハラちゃんのラップにはびっくりで、今後のライブにおける過去曲でも披露するか楽しみなところです。

ヨンジのパフォーマンスにおける溶け込み具合の自然さが尋常じゃなくて新加入とも思えないほど。別の見方をすれば冒険的で斬新なメンバーが入らなかったことで新鮮さに乏しい部分はあるかもしれません。KARAにピッタリすぎて安全コースを選んでしまった感が無きにしも非ずという感じ。

アルバムラスト曲のギュリ、スンヨン、ハラが作詞した『物語』(Story)はレコードのスクラッチノイズの効果音から始まり、KARASIAファーストの衣装替えの時に上映されたメンバーがレコードを愛おしそうに手に取る映像を思い出しました。

「私たちの思い出が、美しい記憶が遠ざかる。息が止まりそうで、涙でにじんで消されるようで、あなただけに言うことができない話」(自動翻訳ソフト使用し意訳)という詩の内容は過去に多くのロック・グループなども作っている「去っていったメンバーに対するメッセージ」が暗喩されているとも感じました。

プロモーション活動は韓国に重点が置かれ、日本でのプロモーションは1泊2日だけでTV生出演は「スッキリ!」のみ、ライブは「お台場新大陸」のミニライブのみという潔さ。あのMUSIC JAPANでさえコメント出演のみというあっけなさ。

コメンタリーのみの出演はそこそこありましたが、いずれも表情が固くて以前のような明るくて溌剌とした雰囲気ではなく緊張し憔悴しているようにも見えるほどでした。唯一「王様のブランチ」でのスンヨンへの今更の蚊の鳴きマネのムチャ振り時に「なんですか!この流れは!」というスンヨンの言葉で、パッ!といつもの笑いの絶えないKARAが蘇った感じがしました。これが日本で愛されるKARAの表情なんだと。

韓国では歴史あるファンサイトも脱退騒動で分裂したりして、ファン層が不安定なこともあり、本国でしっかりと足場を固めKARAとしてのパフォーマンス力を今一度たっぷり時間をかけて披露したかったのかもしれません。TV出演はいくつか見ましたが、どれも素晴らしいパフォーマンスで、"So Good"の躍動感から"Mamma Mia"の絶頂感への流れは何度見ても昇天しそうです。

チャートは日韓ともに以前ほど満足いくものにはなりませんでしたが、日本盤もプロモーション活動不足や販促イベント無しの状態を考慮すると健闘したほうではないかと思います。韓国ではやはりメンバーチェンジによる古参ファンのしこりが残っていることと、それまでの約半年間のブランクによる一般的な知名度の低下が影響したのかと。

10月からの大規模なツアーがどういう構成になるのか興味深いところですが、シングルのプロモーション不足やチケット代金が過去最高に高額なこともあって、集客力はどうなのだろうと思うところもあります。

今回は家庭の諸事情で地方遠征はラストの横浜も含めて行けそうになく、大阪公演も割とギリギリまで予定が立つか不明という感じで、過去のようなレビューが書けないのは申し訳ない限りです。ラストのライブ・ビューイングはなんとか見たいところです。

ジヨンも日本の芸能事務所と契約し、いきなりのオールナイトニッポン出演~10月からのドラマ出演と大きく羽ばたこうとしており、ニコルの活動再開も含めて、KARAファミリー全ての活躍を見守っていきたいです。

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2014/09/16

ドバイ Burj Khalifa (バージュ・カリファ) に昇ってきました

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先日のロンドン旅行の際エミレーツ航空を利用したので行きでドバイに1泊してきました。アラブ首長国連邦は初めての滞在。

目的は『ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル』で一躍有名になった世界一の高さ(828m)のビル、Burj Khalifa (バージュ・カリファ、バージ・カリファ、ブルジュ・ハリファとも発音。アラビア語なので難しいようです)に昇ってくることでした。プチ高所恐怖症なのに高い場所好きという性格なので。

実際の展望台は124階(452m)にある"At The Top"で、東京スカイツリーとさほど変わりませんが砂漠の真ん中にある都市から見た景色には興味がありました。

ベルリンのテレビ塔、バルセロナのサグラダ・ファミリア、トロントのCNタワー、台北の台北101、ニューヨークのエンパイアステートビル、ベトナムのサイゴン・スカイデッキなど、世界の高い建築物に上ってきた煙突の煙のような私ですが、今回はそのハイライト。

オフィシャルサイトで調べると時間を指定しての予約だと130ディルハム(約3,650円)で、当日券だと300ディルハム(約8,500円)と激高とのことで、オフィシャルサイトでネットで予約。時間は夕刻の日没が楽しめる18:00にしました。

http://www.burjkhalifa.ae/en/

ネットの予約証
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早朝5時前についたので、ドバイ・メトロでホテルに移動し荷物を預けてチェックイン時間までざっと観光。

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ホテルの近所からも見えました。
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2009年開通の無人運転鉄道ドバイ・メトロ
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ニュー・ドバイのホテル街
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旧市街オールド・ドバイのスーク(商店街)
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渡り船に乗ったり
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バージュ・カリファの入り口の超巨大ショッピングモールのドバイ・モール
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スケート場もあります
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水族館もあります。沖縄のちゅら海水族館のような巨大水槽は無料で見られました
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ランチはタンドリーチキン・セット
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ビルの外側を一回りしてきました
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予約した入場時間になりドバイモールの地下入り口に行き発券
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超高速エレベーターで1分少々で到着しました。あとは景色の写真を。

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景色は飛行機から見ているようで、高すぎて実感がなく怖くありませんでした。でも『ミッション・インポッシブル』のトム・クルーズのように外側にへばりついて「ぺったん君」でよじ登るなんてムリムリ!

展望台はWi-Fi無料で使えて、twitterに写真をアップしたり友人にメール送ったり。

下に降りて夜は18:30から30分おきにやってる噴水ショー(高さ150メートルまで噴き上がります)を鑑賞。

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ホテルに戻り夕食。部屋は18畳ほどの部屋が2つ連なり、さらにキッチンも装備された人生で一番ゴージャスな部屋でした(それで1万2千円くらい)。ゴージャスな部屋に泊まるセレブに相応しいカップラーメンのカレー味ディナーを食べて就寝。

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2014/09/03

Kate Bush London Hammersmith Eventim Apollo 2014年8月26日 part3

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*among intermission

第2部セットリスト
■A Sky Of Honey
14. Prelude
15. Prologue
16. An Architect's Dream
17. The Painter's Link
18. Sunset
19. Aerial Tal
20. Somewhere In Between
21. Tawny Moon (New Song by Bertie)
22. Nocturn
23. Aerial

encore
24. Among Angels
25. Cloudbusting


休憩を挟んでの第2部は"Prelude"の幼かった頃のBertieの呟き声のテープから始まり、"A Sky Of Honey"の完全演奏となりました。

夏の日の夜明けの鳥による生命の息吹と躍動から始まり、次の日の夜明けを迎えるまでの画家である主人公の芸術家としての葛藤と悟りの一日を描いた組曲。

正直なところCDまるまる1枚分を完全再現するとは思わず、近作を数曲やって1部ではやらなかった初期ナンバーをやるのではないかと予想していましたが、浅はかな考えで、ライブアクトのブランクなど存在しなかったかのように最先端のアーティストとしてシアトリカルでプログレッシヴなこの組曲を圧倒的な技量と構成力で表現した第2部でした。

曲間に演技も挟まれ1曲1曲も引き伸ばされて、CDでは42分だった組曲が約65分の長尺にアレンジされていました。

ケイトのピアノ弾き語りで始まる"Prologue"

陽だまりの心地よさまで伝わってきそうな、ゆったりとした"An Architect's Dream"はうっかり眠りについてしまいそうに。

セットで聖堂にあるような大きな扉が登場。大きなキャンバスに蜂蜜色の空の絵を描く若者(Bertie)と脚立を持つ助手。

扉の向こうから操り師が1mほどの子供を模した木のパペットを自分の前に立たせて(足は自分の足と同期して動くようにパペットと固定)演技をさせる。パペットは無垢で純真な子供の魂の象徴のようでもあり、本編の最期までパフォーマーや演奏者の傍に寄り見つめ続ける傍観者という存在のようにも見えました。

パンフレットの表紙になった巨大な扉と木製パペット
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若者の絵を覗き込むパペットに"piss off!!"と冷たい言葉を投げかける画家。しょんぼりとうつむいて去っていくパペット。"Ohhhh~"と哀れみの声を上げる観客。

"The Painter's Link"でアルバムではRolf Harrisが歌っていたものをあご髭をたくわえた画家に扮したBertieが歌う。

"Sunset"のフラメンコ風に盛り上がる場面では観客の手拍子。

その後、アルバムには未収録のBertieが歌う新曲(ネットニュースでは"Tawny Moon"と書かれている)を初披露。ミュージカル風のタメの効いたリズムが特徴のスローながら力強いナンバー。歌詞も知りたいところです。

静かにじわじわと盛り上がる"Nocturn"に古風な舞台衣装に着替えパフォーマンスに加わるコーラス隊

バックバンドの場所に大きな木が生えてくる

今回のコンサート・タイトル"Before The Dawn"のテーマにもなっている"Ariel"の最初の1行"The Dawn has come"

アルバムでは夫のダン・マッキントッシュが弾いていたギター・ソロを鳥のマスクをつけたデヴィッド・ローズがプレイ。
舞台前に出てきたデヴィッド・ローズの凶暴なギター・ソロを鳥のように腕を羽ばたかせてパフォーマンスで迎え撃つケイト・ブッシュ。

David Rhodesのfacebookにあった写真
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ラストのクライマックス、大きな黒い翼が背中に生えたケイトがワイヤーで宙吊りになり空高く飛翔するところで暗転し、本編が終了。
観客は衝撃に打ちのめされたかのような感嘆の叫びとスタンディング・オベーション。

雷のような拍手でケイトが登場し、ピアノで"50 Words For Snow"のラスト曲"Among Angels"を静かに歌う。

ケイトがバンドとコーラスとパフォーマー達を紹介しステージ上に呼び戻したところで、オマー・ハキムが12インチシングルの"Organon Mix"ヴァージョンのスネアリズムでイントロを叩き"Cloudbusting"をプレイ。最後に80年代の古い名曲をもってきてくれて観客も大興奮で手拍子に加わりラストはさらに大歓声。

アンコール終了後、客電がついても10分近く延々と拍手。スタッフが楽器を片付けて幕を下ろすまで続きました。

会場外に出ると雨も上がり、複数のテレビ局が観客にインタビューを行っていて観客も興奮気味に語っているのが印象的でした。

正直、第2部本編はアルバムの聴き込みも足らず、第1部の内容の濃さに続く超大作でもあり、前半の緩やかさもあって、感情的にも内容にも把握が追いつかない状態でした。できればもう1回見たかったところです。

息子のBertieにとってはまさにベストの状態でのステージ・デビューであり、彼の今後の活躍も期待したいです。

総じてはケイト・プッシュの「35年ぶりの復帰公演」という総括的なものというよりは、ブランクなど無しで長い年月ずっと定期的に公演をやり続けてかのような、時代に合わせて最新にアップデートされたアーティストとしての情熱と探究心に満ち溢れた瑞々しささえ感じたコンサートでした。

22回公演のうちにケイトとステージがどんな進化を遂げていくのか、今後のコンサート・レポートを読むのが楽しみです。

世界中のケイト・ブッシュの熱心なファンを差し置いて偶然にチケットが取れてしまったこと、色々と状況は難しかったのに渡英を実現させてくれ、一生に一度のステージを見ることを可能にしてくれた全ての人々に感謝します。

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オマケ:帰りの飛行機で配られていた新聞にケイトの記事
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2014/09/02

Kate Bush London Hammersmith Eventim Apollo 2014年8月26日 part2

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第1部後半セットリスト
■The Ninth Wave
07. And Dream Of Sheep
08. Under Ice
09. Waking The Witch
10. Watching You Without Me
11. Jig Of Life
12. Hello Earth
13. The Morning Fog

"And Dream Of Sheep"のピアノの弾き語りから始まる"The Ninth Wave"。
海で遭難した女性と愛する人と別れてしまうことの恐怖を綴った物語。

ケイトの全作品の中で個人的に最もプログレッシヴな作品で一番好きで一番聴き込んだアルバムが"Hound Of Love"なので、このB面を通してのライブ完全再現はまさに夢のような贈り物でした。

6月頃に報道素材としてアップされた救命胴衣を着て水に浮かぶケイトの映像がバックスクリーンに流れ、口の動きにシンクロさせて生のケイトが歌う演出。

後で友人と笑ったのですが「映像のケイトの顔が実物と比べて痩せすぎててフォトショップ大活躍だね!」というほど加工されて見えました。

"Under Ice"では氷の下で凍り漬けになっているケイトが発見され、捜索隊がチェーンソーで切り出すというパフォーマンス。舞台のせり上がり装置の床の正方形がそのままチェーンソーの切り口になる仕掛け。

"Waking The Witch"のイントロの色々な人がWake Up!!と語りかけるスタジオ版の効果音は会場の後方にも配置されたサラウンド・スピーカーから音が出て、あちこちからの"Wake Up!!"の声に囲まれるというピンク・フロイドのステージのような音の魔術。

舞台の床全体を覆う布が現れ、人力でなびかせて海のうねりを演出。

魚の骨格の頭と衣装を着た"fish people"たちによるパフォーマンス。

スタジオ盤ではPink Floydの"The Wall"の"Another Brick In The Wall Part1"で使われていたヘリコプター音の素材を拝借したという"Waking The Witch"の後の遭難捜索ヘリコプターの演出では、客席の天井から吊り下げられたヘリコプターを模したクレーンで移動する宙吊りの照明装置が登場し、客席のあちこちにスポットライトを浴びせながら救助無線の連絡が流れるという演出。この装置はピンク・フロイドが1988年の来日公演でも使っていたものと同型に見受けられました。

壊れかけ傾いた部屋のセットが登場し、ベッドに座ったケイトの息子のBertieとコーラスの1人の男性との寸劇。観客から笑いもとっていたけど、早口すぎてちょっと字幕がほしいところ。途中から2人の後ろからケイトが登場し黙って見守る。次の"Watching You Without Me"の「あなたに私の声は聞こえない」に向けての演出のようでした。

ケルト的な弦楽器編成で緻密な構成の"Jig Of Life"がスタジオ版と寸分違わずに演奏される。"Waking The Witch"や"Jig Of Life"などという複雑極まりない構成の曲も完璧に再現してしまうバンドとコーラス隊の力量は心底凄いと感嘆。

"Hello Earth"の静寂、観客は物音ひとつたてずに息を飲んで見守っている。ケイトの歌声が最高潮にピュアに響く。

ラストの"The Morning Fog"、バックバンドがそれぞれアコースティック楽器に持ち替えてステージ前方に集まり、コーラス隊と共に穏やかに組曲のラストを盛り上げていく。静かな大団円。観客は絶賛のスタンディング・オベーション。

ケイトから感謝の言葉と休憩の告知らしきものが語られるも歓声が大きすぎて聞き取れず。その後会場ナレーションで20分の休憩のアナウンス。

part3に続く

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2014/09/01

Kate Bush London Hammersmith Eventim Apollo 2014年8月26日 part1

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■注意:セットリストを含むネタバレが含まれています。
■Note: This feature contains spoilers with setlist.

Kate Bushの35年ぶりの復帰コンサート "Before The Dawn"初日を8月26日にロンドンのEventim Apollo (耳馴染みのある昔の名前はHammersmith Odeon)で見ました。

圧巻すぎて言葉も出ないほど。「ノスタルジックな興行」に陥らずアーティストとして妥協せずに表現し続けることの何たるかを思い知らされたステージでした。

ケイトが前回フル・コンサートを行ったのは1979年5月14日の同会場ハマースミス・オデオンということで、まさに「気の遠くなるような長い年月を経てケイトが帰ってきた」感のあるファンにとっては奇跡のコンサート初日。

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22公演分のチケットは3月28日現地時間10時のオンライン発売とともに数分で完売。私も本当に行けるかどうかもわからずダメモトでトライしたら偶然にも初日のチケットを買うことができました。クレジット清算を終え2日目も取ろうとしたら既に完売でした。チケット代は135ポンド、手数料、保険、送料を含めて163ポンドで人生で一番高いコンサートチケットとなりました。

チケットは公演約2週間前に到着。転売ができないよう購入者の名前が入っており、当日入り口で写真付き身分証明と照合する仕組み。

前日の25日にドバイ経由で雨のロンドン入り。コンサート当日も朝から本降りの雨。

ホテルのTVで見てるBBCのニュースでも「今晩いよいよケイト・ブッシュの35年ぶりのコンサートですねー」と朝から報道しているので、やはりイギリスでは一般的にも大事のようです。

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雨が小止みになり16時頃にハマースミスに到着し会場の下見に行くと既に100人ほどのファンが列を作っていてテレビ局も取材をしており盛り上がっている状態。ケイトのコスプレの女性(なぜか年齢も今のケイトくらいのおばちゃん多し)も何人かいて入れ込みの激しさを物語っています。なんといっても地元なので実際に35年前のコンサートを見た人も大勢来ているでしょうし、まさに「待ちに待った」ファンが押しかけた状態でした。

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同じくケイトを見るロンドン在住の知人と別の場所で待ち合わせて30分ほどお茶して再度会場に。もう開場15分前位で列も膨れ上がり、テレビ局の取材もあちこちに。また小雨が降り始め、列に並んでいる間に身分証明書とチケットに印刷された名前の照合を受けて先に進み入場。

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まずは構成に関するデータ

■開演19時45分、終演22時50分

■途中20分の休憩の入る2部構成で約3時間、全25曲(うち1曲はケイトの息子"Bertie"ことAlbert Macintoshが歌う新曲)

■バックバンドは7人編成、コーラスは5人編成、他にパフォーマー多数

■コーラス&パフォーマーとしてケイトの息子のBertieことAlbert Mcintoshが全面的に参加しており親子共演となった

■演劇的なセットを使用する場面が多く、コンサートというより舞台を見に来た雰囲気。まさに35年前のケイト・ブッシュのコンサートと同じコンセプト

■1st~4thと6thアルバムからは1曲もプレイされず、本編は5thの"Hounds Of Love"と7thの"The Red Shoes"、8thの"Ariel"の3作のみから選曲。

■第1部は後半に"Hounds Of Love"のB面"The Ninth Wave"を完全演奏。歌詞のとおり海での遭難がテーマで、「魚」がモチーフ。パフォーマーは「魚の骨格」をイメージしたFish Peopleを演じている

■第2部は"Aerial"のDisc2 "A Sky of Honey"を完全演奏。「鳥」がモチーフとなっている

■アンコールで最新作の"50 Words For Snow"からも1曲プレイ

■lineup
David Rhodes / Guitar
Frissi Karlsson / Guitar, Bouzouke, Charango
John Giblin / Bass
Jon Carin / Keyboards, Guitar, Vocals, Programming
Kevin McAlea / Keyboards, Accordion, Uilleann Pipes
Mino Cinelu / Percussion
Omar Hakim / Drums

Albert Mcintosh(Bertie) / Chorus
Jo Servi / Chorus
Bob Harms / Chorus
Sandra Marvin / Chorus
Jacqui DuBois / Chorus

■Setlist
01. Lily
02. Hounds of Love
03. Joanni
04. Top of the City
05. Running Up That Hill (A Deal with God)
06. King of the Mountain
・The Ninth Wave
07. And Dream of Sheep
08. Under Ice
09. Waking the Witch
10. Watching You Without Me
11. Jig of Life
12. Hello Earth
13. The Morning Fog
intermission
・A Sky of Honey
14. Prelude
15. Prologue
16. An Architect's Dream
17. The Painter's Link
18. Sunset
19. Aerial Tal
20. Somewhere in Between
21. Tawny Moon (New Song by Bertie)
22. Nocturn
23. Aerial
encore
24. Among Angels
25. Cloudbusting

バンドは1列に配置で左からキーボード、ギター、ベース、ドラムス、パーカッション、ギター、キーボード
コーラスは舞台下手に配置

ギターのデヴィッド・ローズは言わずと知れたPeter Gabrielバンドの人でピーターのライブでも4回見ています。
ベースのジョン・ギブリンはBrand Xの出身でケイトのアルバムにも参加。
キーボードのジョン・キャリンはPink Floydの再結成後のツアーやここ数年続いていたRoger WatersのThe Wallツアーでのサポート・ミュージシャン。88年のフロイドの来日公演と2010,2012年のロジャーのコンサートを見ました。
もうひとりのキーボードKevin McAleaはケイトの79年のツアーにも参加しており、79年から数年Barclay James Harbestのキーボードだった人でした。Hounds of Loveにも参加。
ドラムのオマー・ハキムはWeather Report参加後も有名ミュージシャンのバックでプレイしている大物。1992年8月2日に万博お祭り広場で開催されたLive Under The SkyのTHE MARCUS MILLER PROJECT FEATURING DAVID SANBORNで見たことがあります。ケイトはWeather Report出身のドラマーではPeter ErskineもSteve Gaddもアルバムで起用してるのでファンなのかも。

舞台装置にせよ演出にせよ、小さなホール・コンサートながら、あそこまでできるのは他にはPeter Gabriel, Pink Floydくらいかと。その両方のバックミュージシャンが参加しているのも頷けました。

入場後ロビーは凄い人。入り口すぐのところでパンフレットのみ売っており15ポンドで購入。1Fと2FのロビーでTシャツやマグカップ、ポスター等のグッズを売っているも列を作らずダンゴ状態の人だかりで買うのに時間がかかり過ぎで物色を断念。

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ロビーではビールやワインなどのアルコールを販売しており、他の欧米のコンサート同様にほぼ全ての人がワイワイと飲んでいる状態。椅子のある会場内でもアルコール持ち込み可能で、アイスクリームの売り子が巡回していてアイスを食べながら見ている人も。

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ケイト自身から事前にネットで開演中は撮影禁止の要望があったので、開演前や休憩中のステージを数枚。ほぼ全ての観客がスマホで撮影しており、ステージをバックに2ショットしている人も大勢。上演中はさすがにケイト直々の要請だけあって撮影している人は見かけませんでした。

自分の席はCircleと呼ばれる2階の楕円形に配置された席の2列目。

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開演時間となり大歓声の中最初にバンドが登場し演奏を開始。"The Red Shoes"収録の"Lily"をオープニングにもってくるという渋さ。アルバム・ヴァージョンよりビートが効いているアレンジ。続いて舞台上手からケイトがコーラス隊を引き連れてリズムをとりながら登場。観客の熱狂は凄まじくて登場した時の歓声は鼓膜が破れるかと思うほどの前代未聞の激しさでした。ケイトは黒いゆとりのある衣装に裸足といういでたち。

ケイトはステージ全編に渡ってずっと裸足で、衣装換えもするけど全部黒い衣装。ギターのDavid Rhodesも裸足。

当初は久々のステージ復帰に向けて体も絞り込んでくるのかと思っていましたが、数年前の授賞式の映像で見た「ふくよか」なまま。ケイトなら自分の意思で絞ることも出来ただろうけど、それをしなかったのは「どこにでもいる子育ての終わった母親」である56歳の女性である表現者としてのありのままの自分をみてもらいたかったからなのかもしれません。

声はかなり仕上げて衰え知らずの絶好調。さすがに20代前後だった頃のハイトーンは出ませんが、声に艶があります。前半はほぼハンドマイクを使っての歌唱。後半には70年代にケイトがパフォーマンス用に原型を開発したといっても過言でもないヘッドセットマイク(あの頃の最初期タイプから随分と進化したはず)を使用。

1曲目が終了し、ケイトが軽く挨拶するも歓声の大きさにかき消されてしまう。ケイトが喋っている途中で"Hounds Of Love"のイントロの演奏が始まり、懐かしい曲に観客がさらに熱狂(しかし今回のセットリストではこれが一番古いアルバムなのですが)

2曲目終了後にケイトがバンドとコーラスを"fantastic band, beautiful voice!"という感じに紹介。

次のMCでは美術や照明など裏方チームに讃辞を送り、そしてコーラスで参加の息子のBertieを紹介し、物凄い歓声と拍手。まさか全面的に親子共演が見られることになろうとは。

"Running Up That Hill", "King of the Mountain"と耳馴染みの深いアルバムのオープニング曲が続く。どの曲もアルバム・ヴァージョンを忠実に再現していて、バンドの演奏力の高さを物語っているようです。リズム隊のパワフルさと、ギターのデヴィッド・ローズのフィードバックを多用したアヴァンギャルドなプレイで、名曲が数段パワーアップした感じ。

"King of the Mountain"終了後にステージ前面にスクリーンが降りてきて「望遠鏡で天体観測をしていたらしい男性が、海で難破している船を偶然に発見したと電話で通報している」シーンを上映。「場所はどこだ」と訊かれるも「海の上で場所はわからない!」など会話がかみ合わず観客の笑いを誘う。

そのイントロダクションから予想できるように、遭難した船で漂流する主人公をテーマにした組曲"The Ninth Wave"の完全演奏が始まります。

part2に続く

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