音楽

2015/01/28

追悼 Edgar Froese (Tangerine Dream) 1944-2015

Edgarfroeseizu01

1970年のレコード・デビューから45年のキャリアを持つドイツの音楽グループで最初期からのエレクトロニクス・ミュージックのパイオニアであるTangerine Dream(タンジェリン・ドリーム)の創始者であり唯一のオリジナル・メンバー、Edgar Froese(エドガー・フローゼ)が1月20日に自宅のあるウィーンで急逝したとのこと。死因は静脈血栓塞栓症で享年70歳。

私のネットでのハンドル名tangerineはこのTangerine Dreamからとったくらいのファンで、ショックで言葉が出ませんでした。

訃報が発表されたのは日本時間の1月24日の未明で、その前日まさにタンジェリン・ドリームの2011年からのメンバーでヴァイオリニスト山根星子さんのソロ・プロジェクト"Tukico"を大阪 阿波座のnu thingsで鑑賞したところでした。ライブはPCでのループ音にヴァイオリンでのインプロヴィセーションを重ねていくという心地よいものでタンジェリン・ドリームの音楽の発展系が日本人のメンバーによってここにも息づいているという感動的な内容でした。

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ライブ終了後に山根さんと少し会えたのですが、次のツアーのことなども話しておられ、この時点では訃報を知らなかったようです。

去年11月20日のオースラリア・ツアーのメルボルンのACMI Melbourneでの"SORCERER"(恐怖の報酬)のサウンドトラック再現を中心とする内容のコンサートがエドガー・フローゼのタンジェリン・ドリームとしての最後となりました。

Kraftwerk, Cluster, Klaus Schulzeらと共にジャーマン・エレクトロニクス・ミュージックの黎明期を築いたミュージシャンで「電子音楽」というものが一般的でなかった70年代初頭において当時は値段が車1台分もしたシンセサイザーという未知の楽器を全面的に押し出して作曲やライブ活動を展開し、ワールドワイドに成功した最初のグループ。

クラフトワークの『アウトバーン』とタンジェリン・ドリームの『フェードラ』が共に1974年に世界的ヒットとなったのも象徴的です。

エドガー・フローゼ自身はギタリスト出身でジミ・ヘンドリクスのフィードバックのようなドローンなインプロヴィセーションを得意としていたようで、電子音楽になっても「混沌」と「静寂」を表現する不安定さが所期タンジェリンの特徴となっていました。それは図らずも「二度と同じ音が作れない」当時のアナログ電子楽器の電圧的にチューニング不安定な構造と、シンプルで力強いシーケンサーのパターンの絶妙な組み合わせが醸し出すマジックだったと感じます。

ただエドガー・フローゼ本人は「思った音の出ない」当時のアナログ機材に不満もあったようで、デジタル時代になってからの膨大な作品量は自分の表現を具体化するのにテクノロジーが追いついたというのもあったかもしれません。しかしそれらの作品のなかにもタンジェリン独特のメロディーにならない「音響」が存在していてそれが幾度のメンバー・チェンジを重ねようとグループのアイデンティティーとなりうるものだったと思います。

以前のブログでも書きましたが初めてリアルタイムで聴いたのが、1977年の映画『恐怖の報酬』(Sorcerer)のサウンドトラックのテーマ曲『裏切り』(Betrayal)で、NHK-FMの映画音楽番組でかかったものでしたが、あまりのカッコ良さにエアチェックしたテープを繰り返し聴きました。

個人的には1972年のサード・アルバム"ZEIT"(ツァイト)が一番好きで、人生で重要な10枚に挙げているほど聴きまくったアルバム。一時期は眠れない夜に毎日聴いていました。リズム無し、メロディ無しで、ひたすら混沌とした音響が続く2枚組レコード。ただ唯一聴き易い部分が1曲目でゲストのPopol VuhのFlorian Frickeが演奏するモーグ・シンセサイザーの旋律だけ。

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タンジェリン・ドリームを見たのは下記の4回。それぞれのレポートは過去のブログに書いています。
1983年6月28日 大阪 フェスティバルホール
2008年7月18日 ドイツ Loreley, Prog Fes
2009年9月5日 伊豆 Metamorphose09
2012年5月10日 ドイツ Berlin, Admiralspalast

2009年の伊豆METAMORPHOSEのライブDVDボーナス映像に現地サイン会でエドガー・フローゼと握手する満面の笑みの自分の姿が映っていて喜んだのでした。

Withedgar2009

手持ちのタンジェリン・ドリームのCDを整理してみると約130枚。膨大なディスコグラフィーで廃盤も多く不所持ものも多いです。近年の自主レーベルからのリリースは多すぎてフォローできず。

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エドガー・フローゼのソロ。タンジェリン・ドリームと比べて聴き込みが足りませんでしたがやはりaquaとepsilon in malaysian paleが好きです。

Edgarfroesesolo01

エドガー・フローゼの不在はエレクトロニクス・ミュージック全体において大きすぎる喪失ですが20人以上のメンバーが在籍したタンジェリン・ドリームの音楽はそれぞれのメンバーとフォロワー達の中で大きな遺産として受け継がれていくと思います。

公式な訃報にも書かれていたエドガーの言葉は素敵すぎて安らげます。

"There is no death, there is just a change of our cosmic address."
 
 
山根星子さんの追悼文
http://www.hoshikoyamane.com/%E8%BF%BD%E6%82%BCedgar-froese/

冒頭の写真は2009年の伊豆メタモルフォーゼ公演で自分が撮ったエドガーです。

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2014/09/03

Kate Bush London Hammersmith Eventim Apollo 2014年8月26日 part3

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*among intermission

第2部セットリスト
■A Sky Of Honey
14. Prelude
15. Prologue
16. An Architect's Dream
17. The Painter's Link
18. Sunset
19. Aerial Tal
20. Somewhere In Between
21. Tawny Moon (New Song by Bertie)
22. Nocturn
23. Aerial

encore
24. Among Angels
25. Cloudbusting


休憩を挟んでの第2部は"Prelude"の幼かった頃のBertieの呟き声のテープから始まり、"A Sky Of Honey"の完全演奏となりました。

夏の日の夜明けの鳥による生命の息吹と躍動から始まり、次の日の夜明けを迎えるまでの画家である主人公の芸術家としての葛藤と悟りの一日を描いた組曲。

正直なところCDまるまる1枚分を完全再現するとは思わず、近作を数曲やって1部ではやらなかった初期ナンバーをやるのではないかと予想していましたが、浅はかな考えで、ライブアクトのブランクなど存在しなかったかのように最先端のアーティストとしてシアトリカルでプログレッシヴなこの組曲を圧倒的な技量と構成力で表現した第2部でした。

曲間に演技も挟まれ1曲1曲も引き伸ばされて、CDでは42分だった組曲が約65分の長尺にアレンジされていました。

ケイトのピアノ弾き語りで始まる"Prologue"

陽だまりの心地よさまで伝わってきそうな、ゆったりとした"An Architect's Dream"はうっかり眠りについてしまいそうに。

セットで聖堂にあるような大きな扉が登場。大きなキャンバスに蜂蜜色の空の絵を描く若者(Bertie)と脚立を持つ助手。

扉の向こうから操り師が1mほどの子供を模した木のパペットを自分の前に立たせて(足は自分の足と同期して動くようにパペットと固定)演技をさせる。パペットは無垢で純真な子供の魂の象徴のようでもあり、本編の最期までパフォーマーや演奏者の傍に寄り見つめ続ける傍観者という存在のようにも見えました。

パンフレットの表紙になった巨大な扉と木製パペット
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若者の絵を覗き込むパペットに"piss off!!"と冷たい言葉を投げかける画家。しょんぼりとうつむいて去っていくパペット。"Ohhhh~"と哀れみの声を上げる観客。

"The Painter's Link"でアルバムではRolf Harrisが歌っていたものをあご髭をたくわえた画家に扮したBertieが歌う。

"Sunset"のフラメンコ風に盛り上がる場面では観客の手拍子。

その後、アルバムには未収録のBertieが歌う新曲(ネットニュースでは"Tawny Moon"と書かれている)を初披露。ミュージカル風のタメの効いたリズムが特徴のスローながら力強いナンバー。歌詞も知りたいところです。

静かにじわじわと盛り上がる"Nocturn"に古風な舞台衣装に着替えパフォーマンスに加わるコーラス隊

バックバンドの場所に大きな木が生えてくる

今回のコンサート・タイトル"Before The Dawn"のテーマにもなっている"Ariel"の最初の1行"The Dawn has come"

アルバムでは夫のダン・マッキントッシュが弾いていたギター・ソロを鳥のマスクをつけたデヴィッド・ローズがプレイ。
舞台前に出てきたデヴィッド・ローズの凶暴なギター・ソロを鳥のように腕を羽ばたかせてパフォーマンスで迎え撃つケイト・ブッシュ。

David Rhodesのfacebookにあった写真
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ラストのクライマックス、大きな黒い翼が背中に生えたケイトがワイヤーで宙吊りになり空高く飛翔するところで暗転し、本編が終了。
観客は衝撃に打ちのめされたかのような感嘆の叫びとスタンディング・オベーション。

雷のような拍手でケイトが登場し、ピアノで"50 Words For Snow"のラスト曲"Among Angels"を静かに歌う。

ケイトがバンドとコーラスとパフォーマー達を紹介しステージ上に呼び戻したところで、オマー・ハキムが12インチシングルの"Organon Mix"ヴァージョンのスネアリズムでイントロを叩き"Cloudbusting"をプレイ。最後に80年代の古い名曲をもってきてくれて観客も大興奮で手拍子に加わりラストはさらに大歓声。

アンコール終了後、客電がついても10分近く延々と拍手。スタッフが楽器を片付けて幕を下ろすまで続きました。

会場外に出ると雨も上がり、複数のテレビ局が観客にインタビューを行っていて観客も興奮気味に語っているのが印象的でした。

正直、第2部本編はアルバムの聴き込みも足らず、第1部の内容の濃さに続く超大作でもあり、前半の緩やかさもあって、感情的にも内容にも把握が追いつかない状態でした。できればもう1回見たかったところです。

息子のBertieにとってはまさにベストの状態でのステージ・デビューであり、彼の今後の活躍も期待したいです。

総じてはケイト・プッシュの「35年ぶりの復帰公演」という総括的なものというよりは、ブランクなど無しで長い年月ずっと定期的に公演をやり続けてかのような、時代に合わせて最新にアップデートされたアーティストとしての情熱と探究心に満ち溢れた瑞々しささえ感じたコンサートでした。

22回公演のうちにケイトとステージがどんな進化を遂げていくのか、今後のコンサート・レポートを読むのが楽しみです。

世界中のケイト・ブッシュの熱心なファンを差し置いて偶然にチケットが取れてしまったこと、色々と状況は難しかったのに渡英を実現させてくれ、一生に一度のステージを見ることを可能にしてくれた全ての人々に感謝します。

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オマケ:帰りの飛行機で配られていた新聞にケイトの記事
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2014/09/02

Kate Bush London Hammersmith Eventim Apollo 2014年8月26日 part2

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第1部後半セットリスト
■The Ninth Wave
07. And Dream Of Sheep
08. Under Ice
09. Waking The Witch
10. Watching You Without Me
11. Jig Of Life
12. Hello Earth
13. The Morning Fog

"And Dream Of Sheep"のピアノの弾き語りから始まる"The Ninth Wave"。
海で遭難した女性と愛する人と別れてしまうことの恐怖を綴った物語。

ケイトの全作品の中で個人的に最もプログレッシヴな作品で一番好きで一番聴き込んだアルバムが"Hound Of Love"なので、このB面を通してのライブ完全再現はまさに夢のような贈り物でした。

6月頃に報道素材としてアップされた救命胴衣を着て水に浮かぶケイトの映像がバックスクリーンに流れ、口の動きにシンクロさせて生のケイトが歌う演出。

後で友人と笑ったのですが「映像のケイトの顔が実物と比べて痩せすぎててフォトショップ大活躍だね!」というほど加工されて見えました。

"Under Ice"では氷の下で凍り漬けになっているケイトが発見され、捜索隊がチェーンソーで切り出すというパフォーマンス。舞台のせり上がり装置の床の正方形がそのままチェーンソーの切り口になる仕掛け。

"Waking The Witch"のイントロの色々な人がWake Up!!と語りかけるスタジオ版の効果音は会場の後方にも配置されたサラウンド・スピーカーから音が出て、あちこちからの"Wake Up!!"の声に囲まれるというピンク・フロイドのステージのような音の魔術。

舞台の床全体を覆う布が現れ、人力でなびかせて海のうねりを演出。

魚の骨格の頭と衣装を着た"fish people"たちによるパフォーマンス。

スタジオ盤ではPink Floydの"The Wall"の"Another Brick In The Wall Part1"で使われていたヘリコプター音の素材を拝借したという"Waking The Witch"の後の遭難捜索ヘリコプターの演出では、客席の天井から吊り下げられたヘリコプターを模したクレーンで移動する宙吊りの照明装置が登場し、客席のあちこちにスポットライトを浴びせながら救助無線の連絡が流れるという演出。この装置はピンク・フロイドが1988年の来日公演でも使っていたものと同型に見受けられました。

壊れかけ傾いた部屋のセットが登場し、ベッドに座ったケイトの息子のBertieとコーラスの1人の男性との寸劇。観客から笑いもとっていたけど、早口すぎてちょっと字幕がほしいところ。途中から2人の後ろからケイトが登場し黙って見守る。次の"Watching You Without Me"の「あなたに私の声は聞こえない」に向けての演出のようでした。

ケルト的な弦楽器編成で緻密な構成の"Jig Of Life"がスタジオ版と寸分違わずに演奏される。"Waking The Witch"や"Jig Of Life"などという複雑極まりない構成の曲も完璧に再現してしまうバンドとコーラス隊の力量は心底凄いと感嘆。

"Hello Earth"の静寂、観客は物音ひとつたてずに息を飲んで見守っている。ケイトの歌声が最高潮にピュアに響く。

ラストの"The Morning Fog"、バックバンドがそれぞれアコースティック楽器に持ち替えてステージ前方に集まり、コーラス隊と共に穏やかに組曲のラストを盛り上げていく。静かな大団円。観客は絶賛のスタンディング・オベーション。

ケイトから感謝の言葉と休憩の告知らしきものが語られるも歓声が大きすぎて聞き取れず。その後会場ナレーションで20分の休憩のアナウンス。

part3に続く

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2014/09/01

Kate Bush London Hammersmith Eventim Apollo 2014年8月26日 part1

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■注意:セットリストを含むネタバレが含まれています。
■Note: This feature contains spoilers with setlist.

Kate Bushの35年ぶりの復帰コンサート "Before The Dawn"初日を8月26日にロンドンのEventim Apollo (耳馴染みのある昔の名前はHammersmith Odeon)で見ました。

圧巻すぎて言葉も出ないほど。「ノスタルジックな興行」に陥らずアーティストとして妥協せずに表現し続けることの何たるかを思い知らされたステージでした。

ケイトが前回フル・コンサートを行ったのは1979年5月14日の同会場ハマースミス・オデオンということで、まさに「気の遠くなるような長い年月を経てケイトが帰ってきた」感のあるファンにとっては奇跡のコンサート初日。

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22公演分のチケットは3月28日現地時間10時のオンライン発売とともに数分で完売。私も本当に行けるかどうかもわからずダメモトでトライしたら偶然にも初日のチケットを買うことができました。クレジット清算を終え2日目も取ろうとしたら既に完売でした。チケット代は135ポンド、手数料、保険、送料を含めて163ポンドで人生で一番高いコンサートチケットとなりました。

チケットは公演約2週間前に到着。転売ができないよう購入者の名前が入っており、当日入り口で写真付き身分証明と照合する仕組み。

前日の25日にドバイ経由で雨のロンドン入り。コンサート当日も朝から本降りの雨。

ホテルのTVで見てるBBCのニュースでも「今晩いよいよケイト・ブッシュの35年ぶりのコンサートですねー」と朝から報道しているので、やはりイギリスでは一般的にも大事のようです。

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雨が小止みになり16時頃にハマースミスに到着し会場の下見に行くと既に100人ほどのファンが列を作っていてテレビ局も取材をしており盛り上がっている状態。ケイトのコスプレの女性(なぜか年齢も今のケイトくらいのおばちゃん多し)も何人かいて入れ込みの激しさを物語っています。なんといっても地元なので実際に35年前のコンサートを見た人も大勢来ているでしょうし、まさに「待ちに待った」ファンが押しかけた状態でした。

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同じくケイトを見るロンドン在住の知人と別の場所で待ち合わせて30分ほどお茶して再度会場に。もう開場15分前位で列も膨れ上がり、テレビ局の取材もあちこちに。また小雨が降り始め、列に並んでいる間に身分証明書とチケットに印刷された名前の照合を受けて先に進み入場。

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まずは構成に関するデータ

■開演19時45分、終演22時50分

■途中20分の休憩の入る2部構成で約3時間、全25曲(うち1曲はケイトの息子"Bertie"ことAlbert Macintoshが歌う新曲)

■バックバンドは7人編成、コーラスは5人編成、他にパフォーマー多数

■コーラス&パフォーマーとしてケイトの息子のBertieことAlbert Mcintoshが全面的に参加しており親子共演となった

■演劇的なセットを使用する場面が多く、コンサートというより舞台を見に来た雰囲気。まさに35年前のケイト・ブッシュのコンサートと同じコンセプト

■1st~4thと6thアルバムからは1曲もプレイされず、本編は5thの"Hounds Of Love"と7thの"The Red Shoes"、8thの"Ariel"の3作のみから選曲。

■第1部は後半に"Hounds Of Love"のB面"The Ninth Wave"を完全演奏。歌詞のとおり海での遭難がテーマで、「魚」がモチーフ。パフォーマーは「魚の骨格」をイメージしたFish Peopleを演じている

■第2部は"Aerial"のDisc2 "A Sky of Honey"を完全演奏。「鳥」がモチーフとなっている

■アンコールで最新作の"50 Words For Snow"からも1曲プレイ

■lineup
David Rhodes / Guitar
Frissi Karlsson / Guitar, Bouzouke, Charango
John Giblin / Bass
Jon Carin / Keyboards, Guitar, Vocals, Programming
Kevin McAlea / Keyboards, Accordion, Uilleann Pipes
Mino Cinelu / Percussion
Omar Hakim / Drums

Albert Mcintosh(Bertie) / Chorus
Jo Servi / Chorus
Bob Harms / Chorus
Sandra Marvin / Chorus
Jacqui DuBois / Chorus

■Setlist
01. Lily
02. Hounds of Love
03. Joanni
04. Top of the City
05. Running Up That Hill (A Deal with God)
06. King of the Mountain
・The Ninth Wave
07. And Dream of Sheep
08. Under Ice
09. Waking the Witch
10. Watching You Without Me
11. Jig of Life
12. Hello Earth
13. The Morning Fog
intermission
・A Sky of Honey
14. Prelude
15. Prologue
16. An Architect's Dream
17. The Painter's Link
18. Sunset
19. Aerial Tal
20. Somewhere in Between
21. Tawny Moon (New Song by Bertie)
22. Nocturn
23. Aerial
encore
24. Among Angels
25. Cloudbusting

バンドは1列に配置で左からキーボード、ギター、ベース、ドラムス、パーカッション、ギター、キーボード
コーラスは舞台下手に配置

ギターのデヴィッド・ローズは言わずと知れたPeter Gabrielバンドの人でピーターのライブでも4回見ています。
ベースのジョン・ギブリンはBrand Xの出身でケイトのアルバムにも参加。
キーボードのジョン・キャリンはPink Floydの再結成後のツアーやここ数年続いていたRoger WatersのThe Wallツアーでのサポート・ミュージシャン。88年のフロイドの来日公演と2010,2012年のロジャーのコンサートを見ました。
もうひとりのキーボードKevin McAleaはケイトの79年のツアーにも参加しており、79年から数年Barclay James Harbestのキーボードだった人でした。Hounds of Loveにも参加。
ドラムのオマー・ハキムはWeather Report参加後も有名ミュージシャンのバックでプレイしている大物。1992年8月2日に万博お祭り広場で開催されたLive Under The SkyのTHE MARCUS MILLER PROJECT FEATURING DAVID SANBORNで見たことがあります。ケイトはWeather Report出身のドラマーではPeter ErskineもSteve Gaddもアルバムで起用してるのでファンなのかも。

舞台装置にせよ演出にせよ、小さなホール・コンサートながら、あそこまでできるのは他にはPeter Gabriel, Pink Floydくらいかと。その両方のバックミュージシャンが参加しているのも頷けました。

入場後ロビーは凄い人。入り口すぐのところでパンフレットのみ売っており15ポンドで購入。1Fと2FのロビーでTシャツやマグカップ、ポスター等のグッズを売っているも列を作らずダンゴ状態の人だかりで買うのに時間がかかり過ぎで物色を断念。

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ロビーではビールやワインなどのアルコールを販売しており、他の欧米のコンサート同様にほぼ全ての人がワイワイと飲んでいる状態。椅子のある会場内でもアルコール持ち込み可能で、アイスクリームの売り子が巡回していてアイスを食べながら見ている人も。

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ケイト自身から事前にネットで開演中は撮影禁止の要望があったので、開演前や休憩中のステージを数枚。ほぼ全ての観客がスマホで撮影しており、ステージをバックに2ショットしている人も大勢。上演中はさすがにケイト直々の要請だけあって撮影している人は見かけませんでした。

自分の席はCircleと呼ばれる2階の楕円形に配置された席の2列目。

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開演時間となり大歓声の中最初にバンドが登場し演奏を開始。"The Red Shoes"収録の"Lily"をオープニングにもってくるという渋さ。アルバム・ヴァージョンよりビートが効いているアレンジ。続いて舞台上手からケイトがコーラス隊を引き連れてリズムをとりながら登場。観客の熱狂は凄まじくて登場した時の歓声は鼓膜が破れるかと思うほどの前代未聞の激しさでした。ケイトは黒いゆとりのある衣装に裸足といういでたち。

ケイトはステージ全編に渡ってずっと裸足で、衣装換えもするけど全部黒い衣装。ギターのDavid Rhodesも裸足。

当初は久々のステージ復帰に向けて体も絞り込んでくるのかと思っていましたが、数年前の授賞式の映像で見た「ふくよか」なまま。ケイトなら自分の意思で絞ることも出来ただろうけど、それをしなかったのは「どこにでもいる子育ての終わった母親」である56歳の女性である表現者としてのありのままの自分をみてもらいたかったからなのかもしれません。

声はかなり仕上げて衰え知らずの絶好調。さすがに20代前後だった頃のハイトーンは出ませんが、声に艶があります。前半はほぼハンドマイクを使っての歌唱。後半には70年代にケイトがパフォーマンス用に原型を開発したといっても過言でもないヘッドセットマイク(あの頃の最初期タイプから随分と進化したはず)を使用。

1曲目が終了し、ケイトが軽く挨拶するも歓声の大きさにかき消されてしまう。ケイトが喋っている途中で"Hounds Of Love"のイントロの演奏が始まり、懐かしい曲に観客がさらに熱狂(しかし今回のセットリストではこれが一番古いアルバムなのですが)

2曲目終了後にケイトがバンドとコーラスを"fantastic band, beautiful voice!"という感じに紹介。

次のMCでは美術や照明など裏方チームに讃辞を送り、そしてコーラスで参加の息子のBertieを紹介し、物凄い歓声と拍手。まさか全面的に親子共演が見られることになろうとは。

"Running Up That Hill", "King of the Mountain"と耳馴染みの深いアルバムのオープニング曲が続く。どの曲もアルバム・ヴァージョンを忠実に再現していて、バンドの演奏力の高さを物語っているようです。リズム隊のパワフルさと、ギターのデヴィッド・ローズのフィードバックを多用したアヴァンギャルドなプレイで、名曲が数段パワーアップした感じ。

"King of the Mountain"終了後にステージ前面にスクリーンが降りてきて「望遠鏡で天体観測をしていたらしい男性が、海で難破している船を偶然に発見したと電話で通報している」シーンを上映。「場所はどこだ」と訊かれるも「海の上で場所はわからない!」など会話がかみ合わず観客の笑いを誘う。

そのイントロダクションから予想できるように、遭難した船で漂流する主人公をテーマにした組曲"The Ninth Wave"の完全演奏が始まります。

part2に続く

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2014/08/23

ロンドンに

今からちょっとKate Bushの35年ぶりのステージ復帰コンサートを見にロンドンに行ってきます。3月の発売日に偶然にもネット購入で繋がり、買うことができたので。

全世界のファンの間で話題沸騰という感じで、チケットも22公演が即完売で、後ろの席でも数十万円のプレミアがついているとか。

ケイト・ブッシュはファン歴も35年位なので、本当に生きている間にコンサートが見られるのは夢のようです。

また帰国したらレポートいたします。

※KARAの新作は帰国前後に到着予定ですので、その時にレビューを書きたいと思います。すみません!

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2014/08/21

Perfume 大阪公演 2014年8月19日 大阪城ホール

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■注意:セットリストを含むネタバレが含まれています。

Perfume 5th Tour 2014「ぐるんぐるん」大阪公演を8月19日に大阪城ホールで見ました。2012年のツアーを同会場で一緒に見た友達がチケットが余ったので譲っていただいたもの。

京セラドーム以来13回目で大阪城ホールでのPerfumeは5回目。あいかわらず立ち見も出る超満員の入り。
今回はアルバムではなく4曲入りシングル"Cling Cling"のリリースに伴うツアーという変則的なもので、レア曲もけっこうやったので古くからのファンにも楽しめる内容でしたが、初見のファンとかは有名曲がごっそりと欠落しているので戸惑ったかもしれません。

個人的にはドラマ『スミレ16歳!!』のエンディング・テーマが印象的だった『エラミックガール』が嬉しかったです。あと"SEVENTH HEAVEN"も今のツアーで聴けたことに感動。

変化球なセットリストを長いトークや観客参加PTAコーナーの面白さでカバーし、トータルには不変のPerfumeのいつもどおりのコンサートに仕上がっていました。コスプレの観客をいじるのもいつもどおり。

あ~ちゃんを「綾香~!!」と呼ぶファンが本人たちにウケていて、「私実は綾香っていうんですよ。知っている人は少ないじゃろう」と言って自分も「あ、そうか。綾香だった」と今更のように新鮮な気持ちになったり。多くのコスプレ女子たちに「のっち役」が全然いなくてのっちがふくれてしまったりして爆笑。
声出しのチーム分けは「くい」「だお」「れ」でした。

終盤にはあ~ちゃんの妹のちゃあぽんがやってる9nineの武道館が明後日で、舞い上がっているという話。9nineが苦労して武道館まで上り詰めたことにあ~ちゃんも自分たちを照らし合わせて感動していたよう。

アンコールの"MY COLOR"は、なんというか個人的にはもういいかなーという曲なのですが、今のPerfumeのスタンダードなクライマックス曲に定着しつつあるようです。日替わりで"wonder2"や"PUPPY LOVE"に変わっている模様。後の2曲が聴きたかったところです。京セラドームのようにアンコール1曲だけの潔さは大変良いのですが、曲が終了後に2曲目があるんじゃないかと思うほどの長いトークがあり、これは止めたほうが良かったと感じました。

余談ですが、5年以上前から定番になってる、開演時間よりかなり前からの手拍子も個人的には好きではないです。あれを楽しみにしている人もいるんでしょうけど。ギリギリに来場される方もいるし、会場内で重要な会話のやりとりをするスタッフもいるだろうし、手拍子で気持ちが焦ってしまったり会話が聞こえなかったりして安全の妨げになっているのではと感じることがあります。せめて開演時間になってからか開演アナウンスがあってからにすればよいかと。手拍子が絶頂になった開演時間以降に注意事項を告げるアナウンスが入ったのも、ヒートダウンさえる意図もあったのではないかと感じました。そしてそのアナウンスに「はーい!」とか「えー!」とか合いの手を入れるのも気分が悪かったです。あ~ちゃんもMCでやんわりと注意していたし。

コンサートの基礎になっているものは何も変わらず、ハードコアなリピーターも初心者も安心して楽しめる普遍的なエンタテインメントとして確立してしまった感じで、その変化の無さはGrateful DeadやAC/DCやKraftwerkのように鉄板です。
バンドもつけず、ダンサーもつけず、ソロ・コーナーも無しという方針を貫くのはPerfumeのチームとしての戦略なのでしょうけど、これで永遠にやっていくのか興味深いところです。


Osaka Castle Hall, August 19 2014
setlist
01. Cling Cling
02. Handy Man
03. ClockWork
04. レーザービーム
05. いじわるなハロー
06. I still love U
07. 恋は前傾姿勢
08. エレクトロ・ワールド
09. DISPLAY
10. SEVENTH HEAVEN
11. Patry Maker
12. GLITTER
13. セラミックガール
14. ジェニーはご機嫌ななめ
15. チョコレイトディスコ
16. Hold Your Hand
encore
17. MY COLOR


過去のライブレポート
名古屋ガイシホール 2009年9月26日

大阪城ホール 2009年10月10, 11日

Zepp Osaka 2010年3月10日

東京ドーム 2010年11月3日

京セラドーム 2013年12月8日

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Summer Sonic 2014 Osaka 2014年8月16,17日 大阪 舞洲特設会場

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Summersonic201404

去年に続いてサマソニ大阪に参戦してきました。今回は初日クイーン、二日目ロバート・プラントということで、両日チケットを購入。BABYMETALの凱旋公演も楽しみでした。何より31年ぶりにソロ・アルバムを作って再始動したBen Wattを観られることが夢のようでした。

今回は昔からのロック友達と一緒に行き退屈せず過ごせた2日間。
初日は終日に渡って豪雨、小雨、曇りの繰り返しが延々と続く悪天候でした。

■でんぱ組.inc
噂のアイドルグループということで去年の9月1日のあべのキューズモールのイベントを1回見ていました。音楽や歌はガチャガチャしていて忙しなくて好みではないのですが、ダンスや曲構成にオリジナリティーがあって、今回も見るのを楽しみにしていました。トップバッターにもかかわらずかなりの観客数で人気が覗えます。開始と同時に豪雨となりメンバーも自虐ネタ。バンド入りで全力疾走。

setlist
01. ちゅるりちゅるりら
02. VANDALISM
03. でんパレードJAPAN
04. くちづけキボンヌ
05. でんでんぱっしょん

Summersonic1403

■きゃりーぱみゅぱみゅ
1曲も曲目知らない初心者でしたが、ソニックステージ超満員で旬の盛り上がりを実感。「曲名は知らないけど聴いたことある」が数曲あってライト層の雰囲気を味わえました。ミニきゃりーみたいな衣装のバックダンサー小学生キャリーキッズのダンスがキレキレで凄すぎ。

setlist
01. インベーダーインベーダー
02. きゃりーANAN
03. にんじゃりばんばん
04. do do pi do
05. きらきらキラー
06. PON PON PON
07. もったいないとらんど
08. ファッションモンスター

■Ben Watt with Bernard Butler
ベン・ワットは生きているうちに絶対見られないと思っていたのに、まさかの来日で感涙。
元Suedeのバーナード・バトラーも見るのはスエードの初来日公演(93年7月6日サンケイホール)以来。
31年ぶりのソロ・アルバム"Hendra"を中心にバーナードのギターと二人だけでの演奏で、ベン・ワットはギターのほかにピアノの弾き語りも。
人生でベスト10に入る好きなアルバム"North Marine Drive"からも"Some Things Don't Matter"と"North Marine Drive"をやってくれてもう思い残すことは無い程でした。最後にエブリシング・バット・ザ・ガール時代の"25 December"もやってくれて感激。
ソニック・ステージの広いアリーナに観客が200人ほどしかおらず、もったいなかったです。11月には単独来日ツアーをするとのことで楽しみ。

setlist
01. Hendra
02. Young Man's Game
03. Forget
04. Some Things Don't Matter
05. The Gun
06. Nathaniel
07. North Marine Drive
08. Spring
09. Golden Ratio
10. The Heart Is A Mirror
11. 25th December (Everything But The Girl cover)

■Queen + Adam Lambert

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過去のセトリを見るとポール・ロジャース時代にはやらなかった曲も結構あって楽しみにしていましたが、やはり圧巻でした。アダム・ランバートのカリスマ性は絶頂。77年頃からのファンとして生でクイーンが見られなかった(ブライアンのソロのみ2回見た)ことがずっと後悔の念に駆られていて、遂にスッキリとした感じ。

個人的には最初の2曲と"Seven Seas of Rhye"でヤラれました。日本だけの特別な『手をとりあって』はスクリーンにQueenの初来日の模様のビデオが流れ、観客も一緒に大合唱。"Love of My Life"ではスクリーンにフレディーも登場。

雨が途中から激しくなって、アダムがお詫びしたりするも、次第に止み、最後にまた降るという悪天候が観客をさらに熱くしているようでした。アダム・ランバートとKARAのハン・スンヨン、1年に生で"We Will Rock You"を2バージョンを見られるたのは貴重でした。"We Are The Champions"で完全燃焼。

setlist
Procession (intro BGM)
01. Now I'm Here
02. Stone Cold Crazy
03. Another One Bites the Dust
04. Fat Bottomed Girls
05. Seven Seas of Rhye
06. Killer Queen
07. Somebody to Love
08. Teo Torriatte (Let Us Cling Together)
09. Love of My Life
10. These Are the Days of Our Lives
11. Under Pressure
12. Who Wants to Live Forever
13. Radio Ga Ga
14. I Was Born to Love You
15. Crazy Little Thing Called Love
16. Bohemian Rhapsody
Encore:
17. We Will Rock You
18. We Are the Champions
God Save the Queen (outro BGM)

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途中からとか一部分だけ見たのは、Suzu、Dinosaura Pile Up、家入レオ、矢沢永吉、Metronomy、miwa、Richie Sambora featuring Drianthi、Avril Lavigne
永ちゃんはラスト3曲だけでしたが圧倒的迫力。本当のシンガーというのはこうなんだなと納得。
リッチー・サンボラは1984年のボン・ジョヴィ初来日のスーパーロック'84以来30年ぶりに見ました。

Queen終演後、ずぶ濡れで帰って熱いシャワー浴びて気絶。

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2日目は前日と打って変わって快晴。日焼けしまくり。
1996年のJimmy Page - Robert Plantの武道館公演で買ったTシャツを着て参戦。ロバート・プラントを見られるのも、その時以来で興奮。

Pageplant

■CNBLUE
K-POPのイベントでは何回も見ているバンド。女性ファンも多く見に来ていた。今まで見た合同イベントではセットチェンジの関係もあって、ほぼカラオケを使っており、まともに演奏しているのを聴くのは初めて。ドラマ等での仕事が忙しいらしくライブに向かう空港で初めて顔合わせすることも多いとMC。バンドである以前にタレントでありアイドルのようで、そういった彼らがバンドとしてのアイデンティティーを発揮できるのがこういったロックフェスなのでしょう。

setlist
01. Ryu Can Do It 
02. In My Head 
03. Wake up 
04. Coffee shop
05. I'm sorry 
06. Lady 
07. Can't Stop

■Gacharic Spin
なんじゃこりゃー!と呆然の全員楽器超絶テクニックのガールズ・メタル・アイドル? 特にドラム凄かったです。ドラムセットがイエスのアラン・ホワイトやムーン・ダンサーの使っていたタムが曲がっている変形ドラムで有名なNorthでタダモノではないという感じ。ベースもチョッパーをバシバシきめてくる。ボーカルも全員が上手い。調べると女性4人とも楽器の教則DVDに出るほどのテクニシャンでAKBにも楽器指導しているとか。あとアイドル的なダンスパフォーマンスをする女性が2人。夏らしく浮き輪をつけて踊っていてハジケてるなーと感心。キーボードのお姉さんはラストはビキニ姿になってキーボードの上に乗っかって弾くという荒業。ベビメタファンも結構見てました。

setlist
01. Lock On!!
02. Never say never
03. ハンティングサマー
04. ダンガンビート
05. BROKEN LOVER

■BABYMETAL
ロバート・プラントに向けてツェッペリンを聴いて盛り上がろうとしても、頭の横から「あたたたたた、ずっきゅん!どっきゅん!ネバネバネバー!」とBABYMETALのギミチョコが入ってきて、正直ベビメタちゃんへの期待度がいかに大きいか思い知らされます。

観客の多さは去年を圧倒的に凌駕してて、海外ツアーでのマーケティング効果は絶大だったことを示していました。曲間にも例の有名メタル・ミュージシャンとの2ショット写真をスクリーンに映したりして、メタル四天王たちも狡猾な宣伝材料にされているのかもしれませんが「カワイイから許す」と大目に見ようといった感じでしょうか。ニコニコと2ショット写真に応じるメタルの重鎮たちも「陽気なおっちゃん」モードで微笑ましくて、これはこれで良いと思います。「カワイイ・メタル」最強。

曲目はいつものごとく。欧米ツアーを制覇しての堂々たる凱旋公演でした。ファンのいつものWall Of Deathのサーキュレーションが泥んこ合戦に。ラストの煽りでYUIMETALがフラッグが見つからなくてオロオロするのが可愛かった(ライブ直前に風で飛んでステージ下に落下しまったとのこと)。MOAMETALもフラッグが綺麗に拡がらなくて必死に拡げようとして微笑ましかったり。

もうこの構成でのライブは満腹感があり、今後どう展開するのか興味深いところです。個人的にはKISSがメンバー全員同時にソロ・アルバムを作った時みたいに、3人に本来好きなバリバリにアイドル的なソロ・アルバムを作ってもらいたい気もします。

setlist
01. BABYMETAL DEATH
02. ギミチョコ
03. Catch me if you can
04. メギツネ
05. ヘドバンギャー!!
06. ド・キ・ド・キ☆モーニング
07. イジメ、ダメ、ゼッタイ

■CHTHONIC(ソニック)
台湾のブラックメタル。メタルビートに合わせて琵琶や笛、笙などの台湾の民族楽器を演奏する女性5人がバックについて違和感が凄いというかゴージャス。やはり美人ベーシストのドリスに目が行きます。「台湾と日本の友情が永遠に続くことを願う」というMCが熱かったです。

setlist
01. Oceanquake
02. Supreme Pain for the Tyrant
03. Broken Jade
04. Next Republic
05. Sail Into the Sunset's Fire
06. Defenders of B -tik Palace
07. Takao

■Superfly
CHTHONICを見た後で移動して後半を鑑賞。2010年のFUJI ROCKで見て以来。当時は和製ジャニス・ジョップリンみたいな感じで好きだったのですが、最近の動向はよく知らないままでした。でも耳馴染みのある曲がいっぱい。バンドが70年代テイスト溢れているのも相変わらずです。

setlist
01. Alright!! 
02. Wildfrower 
03. Bi-Li-Li Emotion
04. Dancing On The Fire 
05. Free Planet
06. タマシイレボリューション 
07. 愛を込めて花束を
08. 輝く月のように 
09. マニフェスト

■Robert Plant
18年ぶりに見るロバート・プラント。めちゃ声が出ていて再結成の時より調子良かったかも。西アフリカの民族楽器奏者をゲストに呼んだりしてペイジ+プラント時代のようなエスニック、ブルース、カントリーなどを混ぜ合わせた無国籍なサウンド。キーボード奏者はムーグ・シンセでホークウインドみたいな音出してた。ツェッペリンの再結成なんかより前向きで新しいことをやっていて良いです。このバンドは過去も未来も関係なく今現在を意識しているというプラントのMC。
ツェッペリンも5曲。セットリストの紙には"Rock'n Roll"も書かれていたそうなので、やっぱりやってほしかった。

setlist
01. Babe, I'm Gonna Leave You
02. Tin Pan Valley
03. Turn It Up
04. Black Dog
05. Rainbow
06. Going to California
07. Little Maggie
08. What Is and What Should Never Be
09. Fixin' to Die
10. Whole Lotta Love

Summersonic201410

■Avenged Sevenfold
体力が残っていたので観戦。前回2010年のLOUDPARK神戸で見た時はマイク・ポートノイがゲストで叩いていたけど新しいドラマーも最高でした。メタリカの曲調に似ている曲も多いと感じましたがメタルの新世代を代表するバンドを見て世代交代を実感。

setlist
01. Shepherd of Fire
02. Nightmare
03. Bat Country
04. Hail to the King
05. Almost Easy
06. Buried Alive
07. So Far Away
08. Afterlife
09. This Means War
encore
10. A Little Piece of Heaven
11. Unholy Confessions

Summersonic201411

今回は観客動員数が目に見えて少なかった感じ。物価上昇、消費税増税、フェス数の増大などで呼べるラインナップも限られてくるからでしょうか。方向性を失って、さらにラインナップも迷走化しているのは否めないかもしれません。来年に期待したいです。

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2014/07/11

Rick Wakeman 大阪公演 サンケイホールブリーゼ 2014年6月30日

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6月30日にサンケイホール・ブリーゼでリック・ウェイクマンのソロ・コンサートを見ました。リックを生で見るのは2003年9月12日のイエス大阪厚生年金会館以来。ABWHや8人イエスを含めて計5回も見てるけどソロは初めて。

この夏に予定の英国ツアーみたいに『地底探検』再現ライブにしてほしかったけどピアノ・ソロとのことで間が持つかな~と心配でしたが素晴らしいライブでした。

本当にスタンウェイのグランドピアノが1台置かれているだけで、楽譜も無し。開演時間になり暗転とともに弦楽カノンのSEテープが流されて、そのまま正装にコンバースのスニーカーといういでたちでリック登場。SEに合わせてピアノを伴奏するというユルい始まり。

プログレ・ファンなら誰もが1回聴けばわかるリック独特のアルペジオで「ああ本物なんだなー」と感動がこみ上げてきます。

15分の休憩を挟んでの2部構成で、『ヘンリー8世と6人の妻』『地底探検』『アーアー王と円卓の騎士たち』など初期ソロ名作、キャット・スティーヴンスの『雨にぬれた朝』、デヴィッド・ボウイの『ライフ・オン・マース』等の有名なセッション参加作、ABWHの名曲『ミーティング』、イエスの『同志』『不思議なお話を』、ビートルズのカバー『ヘルプ!』『エリナー・リグブー』と盛り沢山なセットリストでした。

演奏もさることながら間のトークが最高でジェネシスのフィル・コリンズのように日本語のカンペを読みながら『サッカー、ワールドカップ、イングランド、ヘタクソ、マイ・ジャパニーズ、ヘタクソ」とか「ヘンリー8世と私は共通点があってどちらも6人奥さんが」と言ったりして観客爆笑でほのぼのとした空間ができ、キース・ジャレットみたいに演奏中に咳をしてしまっても怒られない気楽な雰囲気がよかったです。

演奏の間に水を飲むときにプラスチックのカップが床に落ちてしまい、そのままサッカーのように舞台袖に蹴っ飛ばしてガッツポーズして歓声が上がったり。

キャット・スティーヴンスやボウイとのセッションのエピソードも貴重。ジョン・アンダーソンとの共作のABWH"The Meeting"にいかに想い入れがあるかも良い話でした。

イエスの曲も個人的に大好きな『不思議なお話を』を聴けたことに本当に感動。

初期三部作のソロ演奏は力強さに満ち溢れた圧巻の演奏で、バックにオーケストレーションが聴こえてきそうなほど。バンバンと鍵盤を叩くように弾く指の力強さが伝わってきました。

『ヘルプ!』を哀しい旋律で、『エリナー・リグビー』を楽しい旋律で弾いてみますというMCでのビートルズ・カバーもやっぱりリックならではの解釈がファンには嬉しい演奏。

もうイエスに復帰することはないと断言しているリックですが、音楽性の素晴らしさは衰え知らずでした。次はジョン・アンダーソンと一緒に来日を期待したいです。

Rick Wakeman
Sankei Hall Breeze
2014 June 30

Setlist
Set 1
01. Pachelbel's Canon In D
02. Catherine Of Aragon / Catherine Howard
03. Morning Has Broken (Cat Stevens Cover)
04. Journey To The Centre Of The Earth
05. The Meeting (Anderson Bruford Wakeman Howe)
06. Merlin The Magician
Set 2
07. The Jig
08. Life On Mars? (David Bowie Cover)
09. The Dance Of A Thousand Lights
10. King Arthur Suite
11. And You & I / Wonderous Stories (Yes)
12. Help! / Eleanor Rigby (The Beatles Cover)
encore
13. Gone But Not Forgotten

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2014/05/18

H.R.Giger追悼 1940 - 2014

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スイスの画家でクリエイターのH.R.ギーガーが5月13日に自宅階段からの転落事故で亡くなったとのこと。享年74歳。

エアブラシを用いた機械と有機体(生殖器)の融合した悪夢のような世界は1度見たら忘れることのできないインパクトを残しました。

日本でもブレイクして1987年3月に東京池袋西武Studio200で行われたギーガー展"Giger In Tokyo"に行きました。映画『ギーガーズ・エイリアン』と『ネクロノミコン』の上映と講演会、終演後にサイン会があり、握手もしてもらいました。サインしてもらったのはトレヴィル出版86年刊行『ギーガーズ・エイリアン』 。サインの時に「ダンケシェーン」と言ったらギーガーが微笑んでくれました。

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ロック・ファンとしてはエマーソン・レイク&パーマー(ELP)の『恐怖の頭脳改革』の特殊な見開きジャケットでで強烈な印象を受けたのが最初で、その後映画『エイリアン』の総合デザインで世界的に有名になりました(アカデミー賞視覚伝達効果賞受賞)。

ギーガーがジャケット・デザインをしたレコードで持ってるのは写真の4枚位。ELP『恐怖の頭脳改革』、アイランド『ピクチャーズ』、マグマ『アタック』、デボラ・ハリー『クークー』。4枚とも大好きな作品です。

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エイリアンの造形には本当に驚愕させられた。あそこまでヒットしたのはギーガーの完璧なデザインと、それをほとんど画面に映さなかったリドリー・スコットの戦略の勝利といえるでしょう。エイリアン・シリーズはDVDでもボックスを買い、例のエイリアンの卵の模型付きのブルーレイ・ボックスも購入しました。

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実家に帰ったついでに87年当時6千円位出して洋書屋で買った巨大な装丁の1977年発表の作品集ネクロノミコン (Necronomicon) を見直して追悼。これにも直筆サインのようなものがあります。アレハンドロ・ホドロフスキー監督で製作が進められ頓挫した幻の『デューン 砂の惑星』(その後デヴィッド・リンチ監督で完成)用の作品も収録。まさに悪夢そのままです。

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2014/05/16

Spock's Beard 大阪公演 2014年5月9日 梅田AKASO

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5月9日に梅田AKASOでアメリカのプロフレッシヴ・ロック・バンド、Spock's Beardのライブを鑑賞しました。元メンバーのNeal Morseは2008年にドイツ、ローレライでのプログフェスで見ましたが、スポックス・ビアードは長いキャリアでの初来日。

90年代デビュー組としてプログレバンドでは新世代に属するも、もうデビュー20年のキャリアを誇るベテランバンド。日本人キーボーディストの奥本亮氏が在籍することでも有名です。

私も当初知らなかったのですが、98年にドイツでジェネシスを見た時に知り合ったデンマークの友人がイチオシで勧めてくれて聴くようになりました。その友達に頼まれて日本盤の奥本氏のソロアルバムを買って送ってあげたこともありました。

スポックス・ビアード、音楽的にはGentle Giantの新世代ヴァージョンという感じで他にIt Bites, Utopia, Kansas, Marillion風な部分もあります。

脱退までの6作でほぼ全てのソング・ライティングを担当していたボーカル&キーボードのニール・モーズが去った後は、ジェネシスのようにドラマーだったNick D'Virgilioがボーカルを担当し、ライブではJimmy Keeganをサポート・ドラマーを入れて活動し続けるも、前作でニックが脱退し、新作Brief Nocturnes and Dreamless Sleepからは元EnchantのTed Leonardをボーカルに迎えての新体制で再始動となりました。

正直、来日は奥本さんという日本人がいるにもかかわらず遅すぎた感があります。プログレ・フェス的なイベントでももっと早く呼べたのではないかなと。しかし満を持しての来日公演に期待が高まりました。

ライブはスタジオ盤を凌駕する凄まじいテクニックでやはり生で聴くと圧倒的。ニール・モーズ時代の初期の名曲もやってくれて感動しました。日本人メンバー奥本さんの他のメンバーの通訳になってない通訳とアットホームなトークも最高でした。

奥本さんが「今日のライブは写真撮影・ビデオ撮影、一切OKです。どんどんネットにアップして広めてください」とMC。嬉しい展開で、最後尾立ち見席から何枚か撮影。今の時代、ネットで拡散することが一番のプロモーションであるということが分かっていない権利にうるさいだけのアーティストやプロダクションが多すぎると思います。

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終盤はエキサイトした奥本氏による鍵盤に乗っての両手両足奏法が炸裂。今日は久々の日本、さらに地元ということもあってお父さんが観に来られていてステージから紹介していました。あと「タコヤキの亮を舐めたらあかんでー!」と大阪弁も炸裂!

アンコールには1stアルバムの大作"The Light"を演奏。まさかこの曲を生で聴けるとは思いませんでした。

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最後に奥本さんが来日公演実現に尽力してくれたファン、関係者、スタッフ、SMASH WESTの南部さん(80年代から関西のインディーズ・プログレ関係を担当)に感謝の言葉。
久々に熱気のあるプログレを見られて感激。早くも再来日に期待したいです。

Spock's Beardをようやく見られたので、Marillion, Dream Theater, Flower KingsとTransatlanticのメンバーの出身4バンドのライブ全部見られたことになり、ちょっと嬉しいです。トランスアトランティックにも来日公演を期待したいです。

Alan Morse / Guitar, Vocals
Dave Meros / Bass, Vocals
Ryo Okumoto / Keyboards, Vocals
Jimmy Keegan / Drums, Vocals
Ted Leonard / Vocals, Guitar, Keyboards

Setlist
01. Something Very Strange
02. Crack The Big Sky
03. Walking On The Wind
04. Hiding Out
05. On a Perfect Day
06. Submerged
07. Afterthoughts
08. Waiting For Me
09. The Distance To The Sun
10. Go The Way You Go
encore:
11. The Light

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